こんにちは。
行政書士・社会福祉士よしかわ事務所の吉川昇平です。
最近は朝と晩の冷え込みが厳しくなってきましたね。
気がつけば、もう11月。我が家では寝具の入れ替え、衣替えなど冬支度を始めました。
今年も残り2か月です。
寒さに負けず、2018年のラストスパート、頑張りたいと思います。
さて、今回は、社会福祉法に基づく「日常生活自立支援事業」についてお伝えしたいと思います。
日常生活自立支援事業とは
判断能力が十分でない人に対して、福祉サービスの利用に関する手続きの援助を行ったり、地域において自立した生活が送れるように支援することを目的として導入されました。
判断能力が十分でない人を支える事業というと、成年後見制度が思い浮かびますよね。
「日常生活自立支援事業」と「成年後見制度」
この2つの制度はよく似ていますが明確な違いもあります。
では、順番に説明していきましょう。
日常生活自立支援事業がつくられた背景
まず、日常生活自立支援事業がつくられた背景からみていきます。
介護保険法の施行によって、利用者みずからがサービスを選択し、サービス提供者と契約を結び、その契約に基づいて福祉サービスを利用するしくみが基本となりました。
しかし、福祉サービスを利用する人の中には、判断能力が必ずしも十分でない人も少なくありません。そうした人々にとって、自分で福祉サービスを選択し、契約を結ぶという行為は容易ではありません。
そのため、一連の流れを援助するしくみが必要となったのです。そのしくみとして、日常生活自立支援事業が誕生しました。判断能力が低下した人が安心してサービスを選び、契約を結ぶことができるように支援する成年後見制度も目的としては共通しています。
実施主体は社会福祉協議会
日常生活自立支援事業を実施する主体は、都道府県·指定都市社会福祉協議会です。
厚生労働省は、日常生活自立支援事業を創設した際に、全国のあらゆる地域で実施できるようにするため、全国的なネットワークをもつ公益的な団体であり、すでに各地で先駆的な取組みを行っている社会福祉協議会を中心とした事業としました。
都道府県·指定都市の社会福祉協議会が事業を実施するにあたっては、市区町村社会福祉協議会等に委託することができます。また、利用者の利便性を考慮して、事業の一部については、地域のNPO法人や当事者団体にも委託することができるようにもなっています。ほとんどの場合は社会福祉協議会ですね。
成年後見制度と比べてみると、法定後見では、家庭裁判所に申立てますし、任意後見では公証役場で公証人に任意後見契約書を作ってもらいます。日常生活自立支援事業は社会福祉協議会が中心になっているところが大きな特徴です。
日常生活自立支援事業で受けられるサービス
では、日常生活自立支援事業ではどのようなことを行っているのでしょうか。
認知症高齢者など、判断能力の不十分な人が地域において自立した生活を送ることができるよう、以下のサービスを中心とした援助を行っています。
- 福祉サービスの利用援助
福祉サービスの利用援助では、福祉サービスの利用または利用中止のために必要な手続き·福祉サービスの利用料を支払う手続き、福祉サービスについての苦情解決制度の利用手続きに関する援助を行います。
また、住宅改造、住居の賃借、日常生活上の消費契約や住民票の届出などの行政手続に関する援助なども行います。
- 日常生活における金銭管理
日常生活における金銭管理では、年金や福祉手当を受けるために必要な手続き、医療費の支払いに関する手続き、税金や社会保険料、公共料金を支払う手続き、日用品等の代金を支払う手続きに関する援助を行います。
また、これらの支払いに伴う預貯金の払戻し、預貯金の解約、預貯金の手続きに関しても援助を行います。
- 書類預かりサービス
書類預かりサービスでは、利用者の書類等を預かります。
預かることのできる書類としては、年金証書、預貯金の通帳、契約書類·保険証書、実印、銀行印などがあります。
実施主体である社会福祉協議会の判断により、預貯金通帳等の書類預かりサービスを、福祉サービスの利用援助とあわせて実施することができます。
利用者は、居住している地域の社会福祉協議会と契約して利用する
日常生活自立支援事業を利用する場合、社会福祉協議会との契約になります。この点も成年後見制度と違う点です。
具体的な流れは次回のコラムでお伝えしますね。
対象者は判断能力の不十分な人
では、この事業は、どのような人が対象になるのでしょうか。
それは認知症高齢者、知的障害者、精神障害者など、判断能力が日常生活を送るうえで必要な福祉サービスの利用に関して、自分の判断で適切に決定することが困難な人です。同時に、この事業の契約内容について判断し決定できる能力を有していると認められることが必要です。
つまり、「判断能力が不十分である」、「日常生活自立支援事業の契約内容について判断できる」といういずれの要件にも当てはまる人が対象になります。
なんだか矛盾しているようにも思えますね。
もう少し具体的に言うと、認知症などで判断能力が多少衰えたけど、日常的な生活を支援してもらえれば、まだまだ住み慣れた地域で自立した生活が送れる場合は、日常生活自立支援事業の利用が考えられます。
なお、認知症の診断、療育手帳や精神保険福祉手帳などの所持が利用の要件になることはありません。
一人暮らしなどで少し不安があるという人も利用できますし、もし、判断能力がもっと低下してしまったら成年後見制度につなげます。また成年後見制度と併用するケースもあります。
日常生活自立支援事業を利用するためのしくみ
改めて日常生活自立支援事業を利用するためのしくみを確認すると、サービスは本人と社会福祉協議会が利用契約を結んで行うことになります。
そして、実際にどんな人が支援してくれるかというと、福祉サービスの利用援助や金銭管理などの具体的な援助は、社会福祉協議会に雇用される「専門員」と「生活支援員」が行います。
専門員は、初期相談から、本人に必要な援助の決定(支援計画の策定)、この事業に必要な契約締結能力の確認、契約締結に関する業務を行います。
生活支援員は、支援計画に基づき、定期的もしくは本人から依頼があったときに援助を行います。
専門員および生活支援員は、当然ながら常に本人の自己決定を尊重する権利擁護の視点に立って援助を行っています。
以上が日常生活自立支援事業の概要です。
成年後見制度を利用するほどではないけれど、何か不安があって支援が必要ではないかと考えられる人は地域の社会福祉協議会にご相談ください。
弊所でも日常生活自立支援事業や成年後見制度のご相談をお受けしています。
お気軽にご相談ください。お待ちしています。
次回は日常生活自立支援事業を利用するための手続きや実際の支援の流れをお伝えしたいと思います。