遺言書⑦ 〜自筆証書遺言 前編〜

こんにちは、相続手続きと遺言書作成専門の行政書士奥本雅史事務所の奥本です。

2018年も残すところあと10日ほどとなりました。
年末年始となれば、普段は離れて暮らしているご家族が実家で集まるという方も多くおられるのではないでしょうか。

せっかく家族が顔を合わせる機会ですので『相続や遺言書の話なんて縁起が悪い』などと言わず、一度じっくりそんな話をされてみてはいかがでしょう。

とは言え、、、現実にはなかなか話しづらいものですよね。

でも例えば、「親父は株をやってないの?」とか「自分が(存在を)聞かされてない土地とか無いよね?」などという財産に関する話題をそれとなく切り出してみたり、親戚で相続が起こった場合には相続人の関係はどのようになるのかをみんなで一緒に考えてみるといったことが、話の良いきっかけになるかもしれません。
また、エンディングノートを持参して記入を(あえて)手伝ってもらうというのも一つの手です。
自然な話の流れの中で、自分達の相続について客観的に見つめることができれば大変有意義だと思いますし、そこまで話が進まなかったとしても何か知らなかった新事実が一つ確認できただけで大成功です。
昨今、相続や遺言書に対する意識は徐々に高まりつつありますが、一般的にはまだまだ敬遠されがちな話題でしょう。相続の時に必要な財産などの情報について、一度に全部を聞くことは無理だったとしても、少しずつでもいいので確認をしていくことが大事だと思います。
この年末年始にはぜひ試してみてください。

さて、今回からは『普通方式』の遺言書についてお話しします。遺言書には、死を覚悟した時になってから書くものだけではなく、ある『思い』が生まれた時に書くものもあります。

例えば相続の時に家族が揉めるのを防ぎたい、自分の死後には財産をこう使って欲しい、そういった思いが生まれた時にそれを実現するため『早いうちから』準備をしておくのが普通方式の遺言書です。

普通方式の遺言書には、「自筆証書遺言」「秘密証書遺言」「公正証書遺言」の3つがあります。

まずは自筆証書遺言についてです。
この自筆証書遺言は、この度改正される民法で要件が緩和されることになりました。しかし、改正民法が施行されるまでの間に作成された遺言書に関しては現行の民法の規定が適用されますので、今回は執筆時点(2018年12月21日)の現行の民法に則ってお話しをいたします。

自筆証書遺言は、文字通り遺言者本人が全文を自筆により作成するものです。

自分で書いて自分で保管するため、費用も特にかからず一番手軽に作成できるのですが、作成に当たっては法律で要件が厳格に定められており、その要件を満たしていなければせっかく書いた遺言書が無効になってしまう場合があります。民法第968条で定められている自筆証書遺言の要件は以下の通りです。

《要件》
①遺言者が全文、日付、氏名を自書し、印を押す。
②加除その他の変更は、遺言者がその場所を指示し、これを変更した旨を付記してこれに署名し、かつその変更の場所に印を押す。

全てを自筆で作成するのは、遺言者の最終意思、真意を尊重し、偽造や変造を防止するためです。
したがって、パソコン、ワープロ、タイプライター等により作成することや、他人に代筆させることはできません。

また日付についても遺言者の自書が必要とされています。これは、遺言作成時の遺言者の遺言能力の有無(遺言能力が無い場合の例: 遺言作成時に15歳に達していない、認知症や精神疾患により意思能力がないと判断される場合)や、内容が異なる複数の遺言がある場合に、その先後を明らかにするためです。

日付が無い遺言は無効となります。
日付は年月日を明らかにして記します。西暦、元号はどちらでも構いません。日付は遺言の成立の日が確定できれば問題ないので「平成○○年の私の誕生日」「還暦の日」などという記載でも構いません。
ただし、「○月吉日」という記載は日付の特定を欠くものとして裁判例では無効と判断されています。
押印も原則として遺言者自身がしなければなりません。印鑑については認印でも構いませんが、実印がより望ましいです。
また自筆証書遺言は、遺言の保管者がいる場合には保管者が、いない場合には遺言書を発見した相続人が相続の開始を知った後遅滞なく、家庭裁判所に『検認』を申し立てる必要があります。検認は遺言の有効・無効を判断するものではなく、家庭裁判所が相続人に対して遺言の存在を知らせるとともに、遺言書の形状、加除訂正の状態、日付、署名などを確認してあとから偽造されたり変造されたりすることを防ぐためのものです。検認を経ないで遺言を執行した場合は5万円以下の過料が科されます。
もし遺言書が封印されている場合は、家庭裁判所で相続人またはその代理人の立会いのもとに開封しなければなりません。違反すると5万円以下の過料が科されます。

 

少し長くなりましたので、続きはまた後編で。

 

行政書士奥本雅史事務所
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