備えとしての「死後事務委任契約」

こんにちは。

介護・福祉の専門オフィス行政書士・社会福祉士よしかわ事務所の吉川昇平です。

 

最近「人生100年時代」という言葉をよく聞くようになりました。

政府は2017年に「人生100年時代構想会議」を設置して、国を挙げて人生100年時代を見据えた経済や社会システムの整備を進めていこうとしています。

 

私はまだ100歳になった自分を想像できていませんし、どんな老後を送るのかについても考えたことがありませんでした。

みなさんにとって、「人生100年時代」とはどんなイメージでしょうか。

 

多くの人が長生きできる長寿社会というイメージであれば、とても嬉しいことですよね。

でも、安心して長生きするためには、これまでのように60代で定年して年金で悠々自適の生活というわけにはいかないようです。

 

せっかくの長寿社会を楽しく安心して暮らすためには、ある程度“老後の備え”が必要になってきます。

 

とりわけ、お金や健康については不安に思う人が多いですね。

投資や資産運用などのお金に関するセミナーや健康教室は連日大盛況のようです。

 

また、終活に注目が集まっているのも、安心して老後を過ごせるようにしたいと考える人が増えているからではないでしょうか。

 

さて、今回のコラムですが、「死後事務委任契約」についてご紹介したいと思います。

死後事務委任契約とは、自分が死亡した後の葬儀や役所の手続きなどを生前に第三者に依頼するための契約です。

 

前回のコラムでお伝えした老後の備えである任意後見契約に加えて、死後の不安にも備える死後事務委任契約を検討される方が増えています。

 

死後の事務とは、例えば以下のようなものがあります。

・死亡届に関する事務

・葬儀、埋葬及び永代供養の手配

・病院、介護施設の精算

・健康保険や年金などの社会保険の資格喪失手続き

・遺品整理

・各種サービスの解約・清算手続き など

 

上記のことは、ご親族が対応されるケースが多いと思います。

でも、身寄りのない方やご親族に迷惑をかけたくないと考える方は、死後の煩雑な手続きを誰かに依頼しなくてはなりません。

 

もし、任意後見契約を結んでいたとしても、 任意後見人の権限は本人の死亡によりなくなります。 したがって、任意後見人に対して死後の事務処理を委任することは基本的にはできません。

(死後の事務であっても緊急を要する場合には、任意後見人は、 任意後見契約に基づく応急措置として、与えられた代理権の範囲内で当該事務を行うことは可能です。)

 

弊所では、任意後見契約のご相談を受ける場合は、死後の事務についてもご意向を伺っています。そして、ご希望があれば任意後見契約に加えて死後の事務委任契約を締結する方法があることをご説明しています。

 

死後の事務委任契約の形式は、必ずしも公正証書で作成する必要はありませんが、弊所では、安心安全な公正証書での契約締結をお勧めしています。1通の公正証書の中に任意後見契約と死後の事務委任契約を定めることもできますし、別々の公正証書でそれぞれ定めることもできます。

 

また、死後の事務委任契約と相続との関係では気を付けるポイントがあります。

たとえば、死後の事務委任契約に基づいて発生する報酬や実費がある場合、相続人は、受任者から支払いを求められることになりますので、場合によっては相続人と争いになるかもしれません。

 

また、委任者が遺言書を作成している場合には、遺言の内容と死後の事務委任契約の内容が齟齬しないように留意する必要があります。

個別の状況やご希望によって、準備する契約書や契約内容が異なりますので、専門家に相談しながら準備されることが大切ではないかと思います。

 

任意後見契約、遺言書作成、死後事務委任契約など、老後や死後に備えた制度が注目を集めています。せっかく準備されるものですから、確実に実現できるようにしたいですね。

 

上記の件についてご不明な点があれば、弊所までお気軽にご相談ください。

 

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