自筆証書遺言書の保管③

これまでのコラム一覧はこちら

こんにちは、相続手続きと遺言書の作成を専門としております行政書士奥本雅史事務所の奥本です。


遺言書は法律の力によって強力な効果を発揮する文書であるため、民法で様式が厳格に定められています。
この遺言書には公正証書遺言、秘密証書遺言、自筆証書遺言という3つの形式がありました。
各形式にはそれぞれに細かい規定があるのですが、今回の『自筆証書遺言の保管制度による遺言書』の様式はこれらとは全く違っており、“4つ目の形式”と言っても言い過ぎではないと思います。

それでは自筆証書遺言の様式と比べて見ていきましょう。
自筆証書遺言(自分自身で保管する場合)には『①遺言者が全文と日付、氏名を自書し、印を押す。 ②加除その他の変更は、遺言者がその場所を指示し、これを変更した旨を付記してこれに署名し、かつその変更の場所に印を押す。』という要件が定められていますが、紙の大きさや余白、用紙のホッチキス止め、封筒の封の有無などについては決まりがないため遺言者の自由です。


ですが、自筆証書遺言の保管制度を利用する場合には、①②の規定に加えて以下のような規定があります。


・用紙はA4(文字の判読を妨げるような地紋や彩色のないもの)

・財産目録にコピーを使用する場合は感熱紙は使わない

・用紙の左辺に 20 mm、上辺と右辺に 5 mm、下辺に 10 mmの余白を設ける(ページ数や 変更の記載等も含め何も記載しない)


・遺言書本文、財産目録の裏面には何も記載しない

・長期間の保管に耐えるようボールペン等の容易に消えない筆記具を用いる

・ホッチキス止めはしない

・封筒の封はせずに持参する


自筆証書遺言の保管制度では、遺言書の原本を保管すると同時に、スキャナを使って取り込んだ画像データも保管するため、このような細かい部分まで規定が設けられています。


また他の形式にはない独自の注意点として、『遺言書本文・財産目録には、各ページ に通し番号でページ数を“自書”する』というものがあります。


自筆証書遺言の保管制度を利用するためには、これらの相違点に注意をしながら慎重に遺言書の作成を進めていく必要があります。


←前の記事 ↑ページの先頭へ 次の記事→


行政書士奥本雅史事務所

http://okumoto.tribute-mj.net