自筆証書遺言書の保管⑦

こんにちは、相続手続きと遺言書の作成を専門にしております行政書士の奥本です。

本年もどうぞよろしくお願いいたします。

前回のコラムでは、法務局に遺言書を預けた『遺言者本人』が行うことができる手続きをご紹介しました。

今回は遺言者の『相続人等』が行うことができる手続きについてお話したいと思います。

まず前提として、これらの手続きは遺言者の方が亡くなった後(相続開始後)でなければ行うことができませんのでご注意ください。相続開始後に相続人等の方が行うことが出来る手続きは以下の三つです。

①遺言書保管事実証明書の交付の請求

②遺言書情報証明書の交付の請求

③遺言書の閲覧

それでは順に見ていきましょう。

①遺言書保管事実証明書の交付の請求

遺言書保管事実証明書は、簡単に言うと『遺言書が保管されているかどうか』を確認するためのものです。請求する者が遺言者の相続人である場合には遺言者の遺言書が保管されているかどうかを、請求する者が相続人でない場合は自分が受遺者・遺言執行者とされている遺言書が保管されているかどうかについて確認をすることができます。

手続きすることができるのは、相続人、受遺者等、遺言執行者等の方、そしてその法定代理人(親権者や成年後見人等)の方です。

交付の請求は、全国どこの遺言書保管所(法務局)でも行うことができます。ただし手続きをするためには予約が必要です。また郵送で手続きをすることも可能です。

請求のために必要となる書類は、

・交付請求書(こちらからダウンロード、または法務局の窓口で入手)

・遺言者が死亡したことを確認できる戸籍(除籍)謄本

・請求者の住民票の写し

です。

また請求者が相続人である場合は遺言者の相続人であることが確認できる戸籍謄本、請求者が法人である場合には法人の代表者事項証明書(作成後3ヶ月以内)、また法定代理人が請求する場合には戸籍謄本(親権者の場合)、登記事項証明書(成年後見人等の場合)の添付が必要となります。(いずれも作成から3ヶ月以内のもの)(※)

なお、手数料は一通に付き800円で収入印紙により納付します。

請求者は予約をした日に、官公署から発行された顔写真付きの身分証明書(免許証、マイナンバーカード等)を持参したうえで遺言保管所の窓口へ赴き、遺言書保管事実証明書を受け取ります。郵送の場合は、住民票に記載された住所に証明書が送付されます。

遺言事実証明書の見本(法務局のホームページより)

②遺言書情報証明書の交付の請求

この証明書には遺言書の画像情報が全て印刷されており、遺言書原本の代わりとして各種手続きに使用することが出来ます。(保管されている遺言書の原本は、遺言者自身による撤回以外で返還されることはありません)

手続きすることができる方、及び場所は先ほどの証明書と同じです。こちらの手続きも予約が必要で、郵送による手続きも可能です。

必要な書類は、

・交付請求書(こちらからダウンロード、または法務局の窓口で入手)

・死亡時通知(遺言者が遺言書の保管時に指定した1名の方に対して送られる通知)

これに法定相続情報一覧図の写し(相続人の住所の記載があるもの)を添付します。法定相続情報一覧図の写しに相続人の住所が記載されていない場合は、相続人全員の住民票の写し(作成後3ヶ月以内)の添付も必要です。もし法定相続情報一覧図の写しが無い場合は、遺言者の出生から死亡までの全ての戸籍(除籍)謄本と、相続人全員の戸籍謄本も必要となります。

上記の『死亡時通知』は遺言者の死亡時に遺言者が指定したお一人の方のみに送られるものですが、これとは別に全ての相続人・受遺者・遺言執行者に送られる『関係遺言書保管通知』というものがあります。

これは、遺言者の死亡後に関係相続人等が遺言書の閲覧(後述します)や遺言書情報証明書の交付を受けた際に、全ての相続人・受遺者・遺言執行者に遺言書が保管されていることを通知するものです。この通知をお持ちの方は、法定相続情報一覧図の写し等を添付する必要がありません。

これらの書類に加えて、遺言書保管事実証明書で説明した(※)の書類を添えて交付の請求を行います。

手数料は一通1,400円(収入印紙で納付)、予約をした日に本人確認書類を持参して窓口で受け取り、郵送の場合、住民票記載の住所に送付されるという点も同じです。

遺言書情報証明書の見本(1枚目)

遺言書情報証明書(2枚目 共に法務局のホームページより)

『遺言書保管事実証明書』と『遺言書情報証明書』の違いは少し分かりにくいですが、前者が遺言書の保管の有無についてのみ証明してくれるものであるのに対して、後者は相続の各種手続きに使える、つまり遺言書の原本に代わるものであるということが言えます。(遺言書情報証明書は、家庭裁判所での検認手続きが不要です)

ではどんな時に『遺言書保管情報証明書』を取得するのかというと、遺言者が生前遺言書を作成したかどうかが全く分からない場合などに遺言書保管所に遺言書が保管されていないかどうかを確認する、というようなケースが想定されています。

また若干ではありますが請求時に必要な書類が『遺言書情報証明書』より少ないため、相続発生後すぐの早い段階で遺言書の有無をまず確認したい場合などに活用することができます。

二つの証明書の違いをよく理解したうえで、交付の請求を行ってください。

『③遺言書の閲覧』については、また次回お話したいと思います。

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行政書士奥本雅史事務所

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