自筆証書遺言書の保管⑧


こんにちは、相続手続きと遺言書の作成を専門にしております行政奥本雅史事務所の奥本
です。


去る 1 月 26 日に令和 3 年度の行政書士試験の結果が発表されました。
受験申込者数は 61,869 名で、前回の 54,847 名と比べて 7,022 名も増加しました。

昨年度も前年比 2,461 名増だったのですが、今年度はさらに大幅な増加となりました。
長引くコロナ禍で、資格の取得に注目が集まっている影響でしょうか。

奈良県の受験申込者数は 772 名で、内 79 名の方が合格されました。(全国の合格者数は
5,353 名)合格された皆様おめでとうございます。

さて今回お話しするのは、相続開始後に相続人が遺言書保管所(法務局)に対して請求す
ることができる『③遺言書の閲覧』という手続きについてです。


これは遺言書保管所へ赴き、実際に保管されている遺言書の内容を確認する手続きです。
手続きすることができるのは、相続人、受遺者等、遺言執行者等の方、そしてその法定代
理人(親権者や成年後見人等)の方です。

閲覧には、遺言書の原本を確認する方法と、モニターにより遺言書の画像等を確認する方
法があります。
原本の閲覧は遺言書を保管している遺言書保管所でしかすることができませんが、モニタ
ーによる画像等の閲覧は全国どの遺言書保管所でも行うことができます。ただしこの手続きを
するためには、閲覧をする遺言書保管所に事前に予約をすることが必要です。

請求のために必要となる書類は、

・閲覧請求書(こちらからダウンロード、または法務局の窓口で入手)

・死亡時通知(遺言者が遺言書の保管時に指定した 1 名の方に対して送られる通知)

これに加えて、法定相続情報一覧図の写し(相続人の住所の記載があるもの)を添付します。
法定相続情報一覧図の写しに相続人の住所が記載されていない場合は、相続人全員の住民
票の写し(作成後3ヶ月以内)の添付も必要です。もし法定相続情報一覧図の写しが無い
場合は、遺言者の出生から死亡までの全ての戸籍(除籍)謄本と、相続人全員の戸籍謄本
も必要となります。


死亡時通知ではなく『関係遺言書保管通知』をお持ちの方は、法定相続情報一覧図の写し
の添付は必要ありません。


また請求者が相続人である場合は遺言者の相続人であることが確認できる戸籍謄本、請求
者が法人である場合には法人の代表者事項証明書(作成後3ヶ月以内)、また法定代理人
が請求する場合には戸籍謄本(親権者の場合)、登記事項証明書(成年後見人等の場合)
の添付が必要となります。(いずれも作成から3ヶ月以内のもの)

請求者は予約をした日に、官公署から発行された顔写真付きの身分証明書(免許証、マイ
ナンバーカード等)を持参したうえで遺言保管所の窓口へ行き、遺言書の閲覧を行いま
す。


なお手数料は、モニターでの閲覧が一回に付き 1,400円、原本の閲覧が一回につき 1,700
円です。(手数料の納付は収入印紙にて)

前回も少し触れましたが、遺言書情報証明書の交付、または遺言書の閲覧(以下、「閲覧
等」という)を関係相続人等(受遺者、遺言執行者含む)が行った場合、その他全ての関
係相続人等に対して『関係遺言書保管通知』が送られます。


この関係遺言書保管通知というのは、遺言者の死亡後であっても、関係相続人等が閲覧等
の手続きをしなければ送付されません。

ただ遺言者死亡後、あらかじめ遺言者が指定した1名の方に対しては『死亡時通
知』が送付され、遺言書が保管されている旨を知らせてくれます。(遺言者が通
知を希望する場合に限る)
例え、遺言者が遺言書保管所へ遺言書を預けているという事実を誰にも告げてい
なかったとしても、『死亡時通知』を受け取った関係相続人等が閲覧等を行った
際に『関係遺言書保管通知』がその他全ての関係相続人等に送付され、結果、関
係相続人等全員に遺言書が保管されていることが通知されることになります。

この通知の仕組みこそが、公正証書遺言にも備わっていなかった自筆証書遺言保
管制度の画期的なシステムであると言えます。

次回は、自筆証書遺言書の保管についてのまとめをしたいと思います。

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