こんにちは
行政書士・社会福祉士よしかわ事務所の吉川です。
コロナ感染者の数もゆるやかに減少してきました。
社会経済活動も少しずつ元に戻ってきそうですね。
コロナへの対応で、働き方もずいぶん変わりました。
テレワークも浸透して、多様な働き方が普及しました。
色んな面でメリットも報告されています。
しかし一方で、テレワークができない職種もあります。
その一つが介護職です。
介護の職場では、相変わらず人手不足が深刻な状況となっています。
人手不足には色んな要因があると思いますが、今回は離職する理由について調べてみました。
公益財団法人介護労働安定センターが行った
「令和2年度介護労働者の就業実態と就業意識調査」において、前職を辞めた理由についてアンケートが実施されています。
その結果を見ると、様々な理由があるなかで、職場の人間関係に問題があったためという回答が2番目に多くなっています。
1番多かった回答が結婚・妊娠・出産・育児ですので、実際に「辞めたい」と考えた理由としては職場の人間関係の問題が大きな要因だと思います。
他にも法人や施設・事業所の理念や運営のあり方に不満があったためという理由も上位になっています。
これは仕事に対するやりがいや達成感が得られないことにもつながっていると考えられます。所属している職場の考え方、つまり社長や上司の言葉に共感できないと何を目標に仕事をするのかわかりません。
また、一生懸命に働いているのに評価されず給料が上がらなかったりすると、仕事に対するモチベーションは下がってしまいます。
そして、上司や同僚との関係が悪くなってしまうと、誰にも相談できずに離職を決意するというケースもあります。
これらの根本的な原因は社内でのコミュニケーション不足によるものが一因になっていると考えられます。
介護施設の経営において、人材確保の課題は年々重要性を増しています。
いかに職員が辞めずに続けてもらえるかということに注力しなければならない時代です。
コミュニケーションが大事というのはわかってはいるけど難しい
きっとこんな思いを持っている方も多いのではないでしょうか。
人間関係の問題、コミュニケーション不足による離職は介護職に限った話ではなく、どこの職場でも大なり小なり抱えている問題です。
そこで、何か役に立つことをお伝えできないかと考えました。
「ラポール」という言葉を聞いたことがありますか?
社会福祉士の相談援助技術において、人間関係を良好にしてコミュニケーションしやすくする方法としてラポール構築のスキルというものを学びます。
ラポールはフランス語が語源の言葉で、「調和した関係」「心が通い合う関係」という意味を持っています。
心理学の世界では、カウンセリングで対話を重ねる中でクライエントとカウンセラーの間に生まれる、リラックスした関係や信頼関係を指しています。
クライエントはカウンセラーとの間にラポールが形成されなければ、心の中の悩みを吐き出すことはできません。
同じように、仕事の上でも、上司と部下、同僚との関係、顧客との関係、あるいはコーチングの関係でも、ラポールの形成はとても重要です。
職場内では、上司、リーダーによって雰囲気が変わります。良好なコミュニケーションが行われると離職率も下がるでしょう。しかし、よかれと思った言動でも一歩間違えればパワハラといわれる時代、難しいと悩む方も多いのではないかと思います。
ラポールを形成するための最初のコミュニケーションで、「でも」や「けれども」など相手の言葉を否定するような言い回しは要注意です。なぜなら自分を否定するような相手とのラポールの形成は難しいからです。
相手の話に割り込んだり否定したりして、相手の話を遮断せず、相手の話を引き出すために心遣いや共感を示すことが大切になります。
そして個人的に特に重要だと思うのが「傾聴すること」です。以前のコラム「対人援助の基本“傾聴“について」でお伝えした内容は、職場内のコミュニケーションでも役に立つと思います。よろしければご参照ください。
会社としては、せっかくお金と時間をかけて採用した優秀な人材が流出してしまうのは非常に残念ですし、大きな損失になりますよね。
良好なコミュニケーションは自然発生しないと言われます。意識的な取り組みが必要になってきます。今回のラポールという考え方も参考にしていただければ幸いです。