相続⑧ ~相続 まとめ~

こんにちは、相続手続きと遺言書作成を専門にしている行政書士奥本雅史事務所の奥本です。

これまで7回に渡って相続についてのお話をしてきました。今回はここまでをおさらいし、相続手続きのまとめをしてみたいと思います。

まず最初に「相続は、人がお亡くなりになれば必ず発生するものである」ということです。
財産がたくさんあるお金持ちの人だけに起こるものではなく、誰にも等しく関係があります。(詳しくは~相続①~で)
そして、相続の手続きに入るまでには、葬儀はもちろん、たくさんの届け出や手続きがあります。(詳しくは~相続②~で)

ここで特に忘れないでいただきたい点は、『死亡届』は提出する前に、必ずコピーをとっておくということです。提出した死亡届は原則として非公開となり、特別な事由がなければ写しの交付を請求することができません。死亡届は様々な手続きで必要となりますので十分ご注意ください。

次に、相続の『3つの締め切り』についてお話ししました。
一つ目の締め切りは”3ヶ月以内”で、相続放棄あるいは限定承認の申述を行う期限です。(詳しくは~相続③~で)
相続の放棄または限定承認を決めるためには『遺言書の調査』『相続人の調査』『財産の調査』の3つの調査が必要です。

まずは被相続人が遺された遺言書があるかどうかを調べます。

次に相続人を調査するために、被相続人の出生から亡くなるまでの戸籍を取得します。(詳しくは~相続④~で)

そして財産の調査を行いますが、その際には正の財産はもとより、借金などの負の財産にも気をつけなければなりません。(詳しくは~相続⑤~で)

3つの調査が完了すれば、放棄するか承認するかを判断することができます。
またこの調査により二つ目の締め切り、”4ヶ月以内”に行わなければならない『準確定申告』をする準備も概ね整います。

財産を相続することにした場合は、相続人全員で遺産分割協議という話し合いを行い、相続分を決めます。遺産は民法で定められた法定相続分に従って分けられることになりますが、相続人全員の同意があれば異なる割合で自由に分けることもできます。

しかしここでは、「財産が少ないほど揉める」ということもお話ししました。財産の多い少ないに関わらず、”相続の準備は必要“ということを覚えておいてください。(詳しくは~相続⑥~で)

三つ目の締め切りは”10ヶ月以内”です。これは相続税の申告と納税をする期限です。遺産分割協議はこの期限内に完了することが望ましいです。(詳しくは~相続⑦~で)

相続の手続きは、このようにとても複雑です。
さらには、それぞれご家庭の事情も違うため、100人おられれば100種類の相続の形があります。

相続の際には、ぜひお早めにご相談ください。

できるだけ早い段階から伴走させていただくことで、争いなどを未然に防ぐことにつながります。

また、相続は発生する前の準備や対策も大切です。

なにか心配ごとがありましたら、当事務所までお気軽にご相談ください。

 

行政書士奥本雅史事務所 ホームページ
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相続⑦ 〜 最後の締め切り 〜

こんにちは、相続手続きと遺言書作成専門の行政書士奥本雅史事務所の奥本です。

さて、前回のコラムで「遺産分割協議は10ヶ月以内にすることが望ましい」というお話しをしました。

それは相続の3つ目の締め切りである『相続税の申告と納付』の期限が10ヶ月以内だからです。

(税務申告は行政書士の業務ではありませんので、相続税については軽く触れます。)

じつは相続税には控除があり、財産の総額がその控除額以内であれば相続税額は「0」となり、相続税を払う必要はありませんし、申告もしなくて構いません。

では財産の総額が控除額以内の方は3つ目の締め切りは関係ないのか、というとそうとは言い切れません。税額が「0」でも申告をしなければならない場合があるからです。

そして相続税の申告のためには、遺産分割協議を済まさなければいけません。遺産の分け方が決まらなければ、相続税の計算ができないからです。

「でも、2つ目の締め切りからは半年も期間があるし、さすがに話し合いもまとまるのでは?」と思われるかもしれません。

しかし遺産分割協議は相続人全員で話し合うことが必要です。また遺産分割協議では『寄与分』と『特別受益』というものも考慮しないといけないのです。

寄与分とは、たとえば相続人の方が被相続人の事業を手伝ったり、被相続人を引き取って面倒をみたりして、被相続人の財産の増加に貢献したり財産の維持について特別の寄与があった場合に、法定相続分を超える財産を取得させるという制度です。(財産の増加、維持に『特別の寄与』をしたことが必要とされているため、単に身の回りの世話をした等では認められません。)

特別受益とは、相続人の方が被相続人から受けた資金援助や、遺贈(遺言により財産を受け取る)などによる特別な利益のことです。

被相続人から相続人に対して、大学や留学のための学費や住宅の購入資金などの援助があったとき、特別受益に当たる可能性があります。
特別受益を受けた相続人が、もし法定相続分通りに相続したとすると、他の相続人との間で不公平が生れます。

そこで、特別受益があった場合には『特別受益の持ち戻し』という計算を用いて相続分の調整を行います。特別受益を受けた相続人の法定相続分から、特別受益の金額を差し引くわけですが、以下のような計算をします。

①特別受益の金額と、相続財産の金額を合計します(『みなし相続財産』といいます)

②法定相続分で分割した金額を計算します

③特別受益があった相続人の相続分から特別受益の金額を差し引きます

※ ①に関して、特別受益のうち、遺贈については相続財産に含まれていますので加算はしません。


例)

相続財産1200万円を兄弟3人で分ける(法定相続分では平等に400万円ずつ。ただし長男が被相続人から300万円の資金援助を受けていた)

みなし相続財産(相続財産➕特別受益)=1500万円

一人当たりの法定相続分(みなし相続財産➗3人)=500万円

長男の取得分(一人当たりの相続分➖特別受益分)=200万円

相続分は、長男が200万円、弟2人が500万円ずつ


 

このような寄与分、特別受益については各相続人で主張が食い違うケースもしばしば見受けられ、遺産分割協議が長引いてしまう原因ともなっています。

他にも、親子や兄弟姉妹の間柄であっても感情的なもつれがある場合や、相続人が疎遠な親類である、または海外など遠方に住んでいる場合など、思った以上に時間がかかってしまう原因はたくさんあります。

ところが10ヶ月以内に相続税の申告をしないと、【配偶者の税額軽減】と【小規模宅地等の特例】という2つの特例を受けることができなくなるのです。

【配偶者の税額軽減】とは、配偶者は相続する財産が、法定相続分以下か1億6000万円までなら税額が控除されるという制度です。

【小規模宅地等の特例】は、被相続人が居住していた宅地を相続する際、一定の条件を満たした場合に評価額を80%減額するというものです。

どちらも非常にお得と言える制度ですが、適用を受けるためには相続税の額が「0」でも申告をしなければなりません。

「相続財産の総額は基礎控除の額を超えているけれど、この制度を適用すれば控除額以内におさまるから」と思われたとしても、相続税の申告はしなければなりませんのでご注意ください。

※ 相続税の基礎控除=3000万円➕600万円✖法定相続人の数(例えば相続人が、配偶者と子供2人の場合なら4800万円まで非課税)

次回は、相続についてのまとめをしてみたいと思います。

相続⑧につづく、、、

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相続⑥ ~少ないほど揉める?~

こんにちは、相続手続き・遺言書作成専門の行政書士奥本雅史事務所の奥本です。

それでは今回は遺産分割協議のお話をしたいと思います。

ですがその前に、相続手続きの3つの期限の内の2つ目、【4ヶ月】について少しだけ触れておきます。

1つ目の期限は、相続の放棄や承認を決める3ヶ月という期限でした。次の期限は、相続の開始から4ヶ月以内に準確定申告をするという期限です。生前に確定申告が必要だった方、例えば自営業をされていた方や、亡くなった年の給与所得が2000万円以上だった方、年金受給者であれば一年間の受給額が400万円以上の方(400万円未満であっても、それ以外の収入が20万円以上あった方)は準確定申告をする必要があります。

準確定申告のためには、収入の金額を確定しないといけませんし、申告書は相続人の連名で提出しなければいけませんので、相続人の確定も必要です。

ここまで順を追って手続きをしていれば、財産と相続人の確定はできていますので、準確定申告への備えも整っているはずです。
(準確定申告は税理士さんの業務範囲ですので、説明はこの辺にいたします)

それでは、遺産分割協議の話に戻りましょう。遺産分割協議とは、読んで字のごとく「遺産の分け方を決めるための話し合い」です。

この話し合いは、相続人全員で行います。

遺産の分け方は、遺言書が無い場合は『法定相続分』という割合によって分けると民法で定められています。

相続人には順位があり、法定相続分は順位によって取得できる割合が決まっています。その相続人となるのは、まず配偶者と第1順位の方、第1順位の方が誰も(代襲相続者も含めて)いなければ、配偶者と第2順位の方、第2順位の方も誰もいなければ、配偶者と第3順位の方へと順位が移っていきます。
各順位の法定相続分の割合は以下のようになります。


配偶者は2分の1、残りは子(すでに亡くなっている方がいる場合等は孫、孫も亡くなっている場合等はひ孫)へ

 ※子(または代襲相続をする孫、ひ孫)が複数人いる場合は均等に分ける


配偶者は3分の2、残りは親(両親共に亡くなっている場合は、祖父母)へ

 ※父母(または祖父母)が複数人いる場合は均等に分ける


配偶者は4分の3、残りは兄弟姉妹(すでに亡くなっている方がいる場合等は甥、姪)へ

 ※兄弟姉妹(または代襲相続をする甥、姪)が複数人いる場合は均等に分ける


さて、法定相続分の割合が分かったところで、次は実際の分け方について考えてみたいと思います。

例えば一番上の図のように、夫婦と子ども二人のご家庭でご主人が亡くなった場合で、財産が1000万円の現金のみであったとします。

この場合、奥さんは2分の1の500万円、子ども二人が4分の1の250万円ずつを相続します。

これは簡単です。

では、同じく夫婦と子ども二人のご家庭で、今度は財産が評価額800万円の自宅と現金200万円だったらどうでしょう。合計金額は同じ1000万円になりますが・・・。

子どもがすでに独立しているとすれば、自宅は奥さんが住み続けて、現金を子ども二人で100万円ずつ・・・?

もちろん、全員がそれで納得すれば、その分け方でも構いません。

しかし、法定相続分としては、子どもに250万円を取得する権利があるのです。

もしも子どものうちの一人でもその権利を主張すれば、この遺産分割協議は簡単にまとまりません。

このような場合、奥さんご自身の財産から子どもに、さらに150万円ずつを上乗せして250万円にして支払う方法(代償分割)や、自宅を800万円で売却して現金1000万円としてから法定相続分通りに分ける(換価分割)という方法を取るなどの必要があります。

このように、遺産分割協議がまとまらないケースは、主な財産が自宅などの不動産で、分けやすい現金があまり無いという場合に起こりやすいと言えます。
裁判所が公表している司法統計では、平成28年に裁判所に持ち込まれた相続の争いは、財産額1000万円以下が33%、1000万円から5000万円までが42%となっており、財産額5000万円以下が実に全体の75%を占めています。

「うちは財産がないから関係ない」とは決して言えません。
むしろ、「少ないほど揉める」とも言えます。

ですが、この揉め事を防ぐために【遺言書】が非常に有効なのです。

(遺言書については、また後日このコラムで)

 

もちろん、「うちの家族は仲が良いので大丈夫!」という方もたくさんおられるでしょう。

穏便に話し合いが運べば、それに越したことはありません。

スムーズに遺産の分け方の話し合いがまとまれば、各自が相続することになった財産を記載して、そこに相続人全員の署名と実印を押した『遺産分割協議書』を作成します。遺産分割協議書は同じ物を相続人の人数分作成し、各自一通ずつ所持します。

その遺産分割協議書を持参することで、不動産の登記や、銀行口座や自動車などの名義変更の手続きを行うことができます。

なお、遺産分割協議は10ヶ月以内にすることが望ましいです。

次回は、その理由についてお話ししたいと思います。

 

相続⑦につづく、、、

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相続⑤ ~正も財産、負も財産~

新年あけましておめでとうございます。
皆様にとって2018年が素晴らしい年となりますよう心よりお祈り申し上げます。

あらためまして、相続手続きと遺言書作成を専門としております行政書士奥本雅史事務所の奥本です。
昨年から相続についてのお話を連載してきましたが、ここで少しおさらいをしたいと思います。

まず相続は、人がお亡くなりになれば”必ず”発生するものだということ、そして相続手続きの最初の締め切り『3ヶ月』というものがあることをお話ししました。それは「相続放棄」「限定承認」「単純承認」を決めなければならない締め切りで、葬儀や埋葬などの段取りにも慌しく追われる中、死亡届をはじめとする行政機関への手続きや、公共料金等の各種手続きなどを行い、さらにその準備を進めていかなければならない、ということでした。
また、放棄か承認かを決めるためには「遺言書」「相続人」「財産」の3つの調査を行わなければならず、まずは相続人を確定するために亡くなられた方(被相続人)の戸籍謄本を取得しなければならない、というところまでお話ししました。

被相続人の出生から亡くなるまでの戸籍謄本を全て集めると、ようやく相続人を確定することができます。(本当はもう少し詳しく説明しなければならないのですが、また別の機会に改めてご説明させていただきます。)

次にしなければならないのは、相続財産を確定するための財産の調査です。

相続財産に含まれるものは、現金や預貯金、株券や国債などの有価証券、建物や土地等(田畑、森林なども含む)の不動産、ゴルフ会員権、絵画等の美術品、高級な家具類や骨董品、貴金属類、自動車、生命保険(生命保険が相続財産となるのは、亡くなられた方自身が契約者として保険料を支払っていて、死亡保険金の受取人が「被相続人自身」または「指定されていない」という場合です。被相続人以外の方が受取人として指定されている場合は、その方の固有の財産となりますので相続財産には含まれません。)などのほか著作権や特許権などもあります。

また、人に貸しているお金(貸付金)や、貸金庫に預けてある金品なども相続財産に含まれますので、忘れないように調査をしなければなりません。

最近では、ネット銀行を利用されている方もたくさんおられます。ネット銀行の場合には通帳が存在しないので、見落とさないよう十分な注意が必要です。

そして相続財産には、正の財産だけでなく、借金などの負の財産もあります。
ローン等の借入金、クレジットカードのリボ払いやキャッシングの残債、滞納されている税金なども相続財産に含まれます。
ほかにも要注意なケースとして、被相続人が誰かの借金の保証人になっていた、という場合も考えられます。知らずに相続をすると、保証人として返済する義務も引き継ぐことになります。

こうして全ての財産を調べ相続財産が確定できれば、ようやく相続をするのか、放棄するのかの判断をすることができます。

財産よりも借金が明らかに多い場合は、「相続放棄」の申述を家庭裁判所に行うことで、全ての財産を放棄することもできます。(相続放棄をした方は、この相続について最初から相続人ではなかったものとみなされます。)

また財産よりも借金の方が少ない場合は、「限定承認」をすることもできます。これは、~相続➂~で説明したように、財産から借金等を差し引いた残りの部分のみを相続するというものです。ただし、限定承認は相続人全員が共同して家庭裁判所に申述を行わなければなりません。相続人の中の一人でも単純承認をした場合は限定承認はできなくなります。

3ヶ月以内に相続放棄も限定承認も行わなかった場合は「単純承認」したものとみなされ、正の財産も負の財産も含めた、全ての財産を相続することになります。

なお、~相続➀~で”相続手続き完了までに現金や預貯金を使ってしまうと相続放棄ができなくなる場合がある”とお話ししましたが、相続人が相続財産の一部であっても処分した場合は単純承認したものとみなされ、その相続人は相続放棄ができなくなります。(例外として、一般的な額の葬儀費用の支出は認められます。)

いかがでしょう。

これだけの調査を、3ヶ月以内にしなければなりません。

時間的な制約がある中でこれだけの作業をしなければならないのは、物理的にも精神的にもかなりの負担となります。

私は、できるだけ早い段階で専門家にご相談されることをおすすめいたします。

私たち行政書士は、職権で戸籍の収集を行うことができます。
そして財産調査のお手伝いや、この次にお話しする遺産分割協議書も作成いたします。
まずはお気軽に行政書士にご相談ください。

それでは次回は、遺産分割協議書についてお話ししたいと思います。

相続➅へつづく、、、

 

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相続④ ~秘密は墓場まで~

行政書士奥本雅史事務所の奥本です。

前回、相続は亡くなられた方(被相続人)の『出生から亡くなるまで』の戸籍謄本を取得することから始まる、というお話しをさせていただきました。

これは、相続人を確定するために必要なことです。

まず亡くなられた方の除籍謄本を取得します。戸籍にお名前が載っていた方が全て亡くなられたり、家族全員で引越して本籍を移されたとき、あるいは結婚などで戸籍から出られて、その戸籍に誰もお名前が残っていない状態になった戸籍は閉鎖され除籍となります。その謄本(写し)が除籍謄本です。(戸籍にまだ誰かのお名前がある場合は、除籍謄本ではなく戸籍謄本となります)

ここから、順々に遡って戸籍謄本を取得していくわけですが、本籍地を移したときや、結婚をしたときにはその度に戸籍が新しくなりますので、その時の本籍地の市区町村役場で戸籍謄本を取得することになります。

そうやって出生までの戸籍謄本を全て集めていくのですが、一つ注意しなければならないのは、改製原戸籍(かいせいはらこせき)です。

じつは戸籍法の改正により、戸籍が新しい様式に作り変えられることがあります。しかし作り替える時に、全ての情報を移しているわけではないのです。例えば、離婚や認知などの情報は移されません。その作り変えられる前の戸籍が改製原戸籍です。ですので、改製原戸籍も忘れずに取得しないといけません。

これらの除籍謄本、戸籍謄本、改製原戸籍謄本を出生まで途切れなく集めると、全ての相続人がそこに載っていることになります。

相続の各手続きをするためには、必ずこの作業を行うことになります。

ですので・・・

よく”秘密は墓場まで持って行く”なんていうセリフがありますが、離婚した事実や、認知した子どもがいる場合なども、亡くなられた後で必ず判明しますので、むしろ隠さずにご家族でよく話し合っておかれることをおすすめします。(亡くなってから知られては、余計に揉め事が起こります)

さて前回のコラムで「単純承認」「限定承認」「相続放棄」について触れましたが、相続人を確定しないと大変な事態になることも考えられます。

3ヶ月の熟慮期間までに、限定承認も相続放棄も選ばなかった場合、自動的に単純承認したものとみなされます。何の手続きもしなければ財産も負債もすべて相続することになるのです。

例えば、お父さんが多額の借金をしている状態で亡くなったとして、お母さんと子どもが相続を放棄した場合、相続権はお父さんのおじいちゃんとおばあちゃんに移ります。おじいちゃんとおばあちゃんも放棄をすれば、お父さんの兄弟姉妹に相続権が移ります。兄弟姉妹が全員放棄をして、「これで相続人は誰もいないな!」と思っていたのに、もしも誰も存在を知らない、離婚した前妻さんとの間の子どもや、お父さんが家族の誰にも内緒で認知していた子どもがいたとしたら・・・

やはり相続人の調査をきちっとしないのは危険です。

(※注 熟慮期間は『相続の開始を知ったときから3ヶ月』です。亡くなられたことを知らなかった場合は熟慮期間は進行しません。)

とはいえ、限られた時間内で戸籍謄本をすべて集めるのは大変困難な作業です。
しかもまだ承認、放棄を決めるためには財産の調査をしなければなりません。

相続の最初の締め切り、熟慮期間3ヶ月の間にしなければならないことは、本当にたくさんあるのです。

相続⑤につづく、、、

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相続③ ~相続の道は戸籍から~

こんにちは、行政書士奥本雅史事務所の奥本です。

前回のコラムの最後で、相続における最初の期限のお話をしました。

財産を受け継ぐことになる方(相続人と呼ばれます)は、相続の開始を知った日から3ヶ月以内(熟慮期間と言います)に、「単純承認」「限定承認」「相続放棄」のいずれかを決めなければなりません。
それぞれの違いについて簡単に説明しますと、

「単純承認」・・・全ての財産(借金等の負の財産も含め)を受け継ぐ

「限定承認」・・・財産から借金等の負債を差し引いた残りの財産を受け継ぐ

「相続放棄」・・・全ての財産を放棄する

となります。ですが、それを決めるために、やらなければいけない調査が3つあります。

それは、遺言書、相続人、相続財産の調査です。

まずは、亡くなられた方(被相続人と呼ばれます)が遺言書を遺しておられないかを調べます。(※遺言書については、またシリーズで詳しくお話しいたしますのでここでは触れません)

つぎに、相続人となる方を調べます。相続人となる方は以下のようになります。

・配偶者は必ず相続人となります。

・被相続人のお子さんがおられる場合は、配偶者とお子さんが相続人となります。《配偶者がすでに亡くなっている場合は、お子さんのみ》

・被相続人にお子さんがおられない場合は、配偶者と被相続人の父母(父母が亡くなっておられれば祖父母)が相続人となります。《配偶者がすでに亡くなっておられる場合は、父母、または祖父母のみ》

・被相続人にお子さんがおられず、父母・祖父母もすでに亡くなっておられる場合は、配偶者と兄弟姉妹が相続人となります。《配偶者がすでに亡くなっておられる場合は、兄弟姉妹のみ》

⇒なお、お子さんが亡くなられていた場合はお孫さんが、お孫さんも亡くなられていた場合はひ孫さんが相続人になります。(代襲相続と言います)兄弟姉妹も代襲相続がありますが、甥姪までとなっています。

少し複雑ですが、ここまで理解することができれば、相続人の確定は意外と簡単にできそうです。親戚の中でも、この範囲なら顔もある程度見知った方でしょう。

ですが・・・

亡くなられた人の人生を、すべて把握しておられるということが、果たしてあるでしょうか?

たとえ、お父さんやお母さんであっても、知らないことや秘密というものがあるかも知れません。
どういうケースかといいますと、例えば、離婚・再婚をされていて、以前の配偶者との間にお子さんがいた、というケース。離婚した配偶者は相続人にはなりませんが、お子さんは相続人となります。また、認知した子や養子縁組をされていた場合も相続人となります。

後々になってからトラブルにならぬよう、きちんと調べておく必要があります。

そのためには、被相続人の出生から亡くなるまでの戸籍謄本を全て取得しなければなりません。

また、戸籍謄本はこの先ご説明していく相続の各種の手続きにも必要となります。

相続の道は戸籍謄本の取得から始まるのです。

相続④につづく、、、

 

相続②  ~いざ相続~

行政書士 奥本雅史

人がお亡くなりになれば、必ず起こるのが相続ですが、その手続きを主体的に行う機会は、おそらく生涯でも1度か2度、お兄さんやお姉さんがたくさんいらっしゃるご家庭なら、まったく機会が無い方もおられるかもしれません。

経験する機会が少ないということは、手続きについて不慣れなことは当然と言えるでしょう。

ここでは、お亡くなりになられてからの実際の手続きを順を追って見ていきます。

まず、「死亡届」を7日以内に市町村役場に提出します。なお、死亡届は提出する前にコピーを取っておいてください。後述するいくつかの諸手続きに亡くなった証明として必要です。
死亡届を提出した際、同じく市町村役場で火葬許可、健康保険、介護保険、国民年金等の手続きをします。

その後、電気、ガス、水道などの公共料金、電話や携帯電話の名義変更あるいは解約、賃貸住宅や駐車場、新聞、クレジットカードなどの解約手続きが必要です。(これらの手続きには、死亡届のコピーを証明とすることができます。)また、生命保険会社への確認や請求の手続きがあります。

もし厚生年金をもらっていた方なら社会保険事務所に行き、手続きをしなければなりません。ですが、この手続きは「死亡届のコピー」ではなく「住民票の除票」が必要ですので、再度市町村役場に出向いてからということになります。(死亡届提出後、住民票の除票が発行されるまでに時間がかかる場合があるため)

もちろん、手続きとは別に、葬儀や法要も行わなければなりません。そして納骨の準備もあります。

ご親族が亡くなり悲しみに包まれている間にも、これだけの手続きをしなければならないのです。

大変なご負担だと思います。

この負担を少しでも軽くするために役立つのが、エンディングノートです。

エンディングノートについては、また機会を設けてお話しさせていただきますが、公共料金やクレジットカードの引き落とし口座、生命保険の内容など、普段自分だけが頭で覚えているような情報が一つにまとめてあると、手続きの際の手助けとなります。

さて、まだ一切、相続の手続きには入っていません。

納骨は一般的には四十九日の法要後ですので、ここまでですでに二ヶ月近くを経過していることになります。

しかし、相続における最初の期限であり、かつ重要な「単純承認」「限定承認」「相続放棄」を決める、三ヵ月という期日が迫っています。

『まだ一ヵ月あれば大丈夫では?』とお考えになるかもしれませんが、ここからが大変なのです。次回からようやく相続の手続きのお話しに入っていきます。

相続③につづく、、、

 

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相続①  ~知らぬが相続~

行政書士 奥本雅史

人間は誰もが、いつかは必ず亡くなります。
そして人が亡くなれば、必ず発生するのが相続です。

今回から数回に渡って、この誰にでも必ず起こる相続についてお話しをしたいと思います。

たとえば、長くご病気で入院されている場合など充分な備えの時間があれば、ご家族のお気持ち的にも、また手続き的にも混乱は少ないものと思われます。

しかし最近では高齢者の単身世帯も増えています。いわゆる孤独死の場合などでは、突然の出来事に動転し、必要な手続きを次々とこなすだけでも精一杯になりがちです。

ところが相続には各種の期限が法律で厳格に定められており、悲しみの最中にも無情に時間は過ぎていきます。

私の個人的な経験をお話しすると、気持ちが動揺する中、葬儀や埋葬、住まいや公共料金などの解約、年金等の手続きで簡単に一ヶ月は過ぎていきました。ですがまだこのような手続きなら一般の方でも想像がつく範囲でしょう。

相続はここからさらに想像力を働かせなければなりません。何故なら、相続は確実に発生しているにも関わらず、わかりやすく頭の上に「相続人」という文字が表示されたり、体がピカピカ点滅したりすることはなく、見た目にはなんの変化もありません。それどころか、役所からもどこからも通知すら来ないのです。

そしてもし持ち家があれば変わらず住み続けることもできますし、預金も印鑑やキャッシュカードでおろすことができます(※注意 原則、故人名義の口座はすぐに凍結されます。また次回以降で詳しくお話しをしていきますが、相続手続き完了までに預金を使ってしまうと相続放棄ができなくなる場合があります)

でもだからといって放っておくのは禁物です。

暮らしになんら変化がなく、あなたが全く気づいていなかったとしても、相続はどんな場合でも “必ず“ 発生しているからです。

相続② につづく、、、

 

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身近な相談窓口

行政書士 奥本雅史

はじめまして、奈良市で事務所を開いております行政書士の奥本です。
事務所はJR奈良駅から歩いて5分、なら100年会館の少し西にあります。どうぞよろしくお願いいたします。

第一回目は、行政書士という職業について、私の考えをお話ししたいと思います。

まず法律に携わる職業としては、弁護士、司法書士、行政書士の3つが挙げられます。
行政書士は、「役所に出す書類を作成・提出する」のが仕事です。代表的なものは、各種の営業許可などです。

では、同じように○○書士という名前で、どこが違うのか一般の方にはわかりにくい司法書士さんとの違いはなんでしょう。
ひとことで言うと「登記」ができることです。

10年以上昔の話ですが、借金の抵当権を抹消するために、近くの行政書士の先生に登記をお願いしてしまったことがあります。
後の恩師でもあるその先生は「私は登記ができないので・・・。司法書士の先生をご紹介します」と優しくおっしゃられました。その時は何がなにやらさっぱり分かりませんでしたが、ひどく失礼なことを言ったものだと今思い出すと冷や汗が出ます。
行政書士には登記ができません。登記は司法書士さんの独占業務だからです。

一方、弁護士さんの仕事は、みなさん割とイメージがしやすいと思います。裁判での弁護、民事訴訟などテレビや新聞等で目に触れる機会も多いですよね。
行政書士も法律の専門知識を駆使して職務に当たりますが、弁護士とは決定的に違う部分があります。

行政書士はもめごとに関与することができません。たとえば、離婚の場合、話し合いが整った協議離婚で離婚協議書を作成することはできますが、もしも話し合いがこじれて争いごとになればタッチすることはできません。法律による紛争の解決は弁護士さんの独占業務となるからです。

じゃあ最初からなんでも弁護士さんに依頼すればいい、のでしょうか。

もちろんそれも正しい考えです。弁護士さんならば最初から最後まで、どんな状況になっても対応してくださるでしょう。

しかし、法律や手続きの専門家のために必要となる話の内容と、自分が聞いて欲しい部分、たとえば心配ごとであったり、怒り、悩みなどの話とは、往々にしてズレがあるものです。
すべてお任せしておけば、法律的な問題は解決します。でも素朴な疑問や心の問題まで解決するために相談の時間を使うことは難しいでしょう。弁護士さんの相談料は高額であり、また時間に比例して増額されるからです。

私は常に、法律にあまり詳しくない方の初歩的な質問や、お気持ちの部分まで聞くことを心がけています。

行政書士になる前、法律のことを知らなかった頃の経験から、そんな不満や漠然とした不安な気持ちがよくわかるからです。

そしてもうひとつ。

私達、行政書士は『すべてを一人ではできない』ということをよく知っています。

ですから、司法書士、弁護士、税理士、社会保険労務士などたくさんの先生方と繋がりを持っています。

それはつまり、ご相談いただいた問題を、どこで解決すればいいのかが判断できる、ということです。
インターネットを開いた時、最初に検索サイトで検索をするように。

行政書士はみなさんの身近な相談窓口であると僕は思います。

どこに相談してよいか分からないお困りごとがありましたら、どうぞ気軽に行政書士に相談してみてください。
必ずお役に立てると思います。

 

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