自筆証書遺言書の保管⑤

こんにちは、相続手続きと遺言書作成専門の行政書士奥本雅史事務所の奥本です。


最近では終活という言葉もすっかり一般的になったので、すでにエンディングノートを準備しているという方もたくさんおられると思います。


エンディングノートにご自身の個人情報や、所有している財産などについて書き記しておくことは、自分の死後、相続人となる方々の大きな手助けになります。


たとえ相続する財産が少なかったとしても、それなりに相続手続きは大変なものですので、万が一の備えをしっかりしておくのに越したことはありません。

《当事務所ではご希望の方にこちらのエンディングノートを差し上げています》

ですができれば、エンディングノートからもう一歩進めて、自分の死後に自分の財産をどう分けるかを自分で指定しておくためのツールである“遺言書”の作成をお勧めします。

特にこれまで説明してきた『自筆証書遺言書保管制度』は、昨年始まったばかりの最新の制度であるためいろいろな改善がなされており、手数料も比較的安い上に、紛失や改ざんの心配がないため安全で、検認も不要などといったたくさんのメリットがあります。

しかし一点気を付けなければいけないのが、遺言の内容の確実性についてです。


前回のコラムでは、『遺言書管理所には予約を入れてから保管の申請に行く』というところまで説明しましたが、遺言書保管官は提出される遺言書の内容についてまではチェックを行わず、原則こちらからの質問には応じてくれないことになっています。


インターネットや本で調べながらご自分で遺言書を書くことは出来ますが、せっかく作るのですから専門家にサポートを依頼し、法律のルールに則ったしっかりとした内容の遺言書を作成するべきです。

また保管申請の時に、窓口で遺言書保管官から質問を受ける場合もありますので、専門家に帯同をお願いしておく方が良いでしょう。

申請当日は、作成した遺言書、申請書(予め記入を済ませておく)、添付書類、本人確認書類を持参します。そして手数料として、法務局で収入印紙 3900 円分を購入し貼付します。(保管官から指示があります)

なお、手続きに要する時間は概ね 1 時間ほどです。

手続きが完了すると、遺言者の氏名、生年月日、遺言書保管所の名称、保管番号が記載された保管証が交付されます。保管番号は各種の手続きの際に使用しますので大切に保管しましょう。

また、ご家族に遺言書を法務局で預かってもらっていることを伝える時には、この保管証を示して遺言書の存在を知らせておくと良いでしょう。

次回は各種の手続きについてお話ししていきます。

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自筆証書遺言書の保管④

こんにちは、相続手続きと遺言書の作成を専門にしております行政書士奥本雅史事務所の奥本です。


前回は、『自筆証書遺言書保管制度』を利用する場合の独特の様式についてご説明しました。
これらの規定は、法務局(遺言書保管所)で遺言書保管官が、遺言書をスキャナで取り込み画像データ化するために設けられているものです。そのため特に周囲の余白に関しては厳しく、1 文字でもなんらかの文字等がはみ出してしまっている場合には、書き直さなければ預かってもらうことができないので注意が必要です。


また、民法では遺言書に記す署名について、本人が特定できるものであれば雅号やペンネームでも構わないと定めていますが、この制度を利用する際には、戸籍どおりの氏名で記載しなければなりません。これも他の様式とは異なる独特の規定です。


さて、様式に従って遺言書を作成したら、次に『遺言書の保管申請書』を作成します。
これは法務局のホームページからダウンロードすることができますので、ダウンロードしてからパソコンで入力するか、用紙を印刷してから手書きにより作成します。(申請書は機械で読み取りますので、プリンタへ出力する際に拡大や縮小をしないこと、また手書きの場合は明瞭に記入するようにしてください)


申請書は、遺言により財産を譲る対象が相続人のみの場合は5 枚ですが、受遺者がたくさん存在するという場合は、それぞれの受遺者につき住所・氏名・生年月日の記述が必要となりますので追加で枚数が増えます。

遺言書と申請書を作成したら、保管の申請を行う遺言書保管所を決めます。

保管の申請が行えるのは、
・遺言者の住所地を管轄する遺言書保管所
・遺言者の本籍地を管轄する遺言書保管所
・遺言者が所有する不動産の所在地を管轄する遺言書保管所
です。(ただし、2 通目以降追加で保管の申請をする場合は、最初に保管の申請をした遺言書保管所でしか申請を行うことが出来ません。)

申請窓口は予約制となっています。申請する遺言書保管所を決めたら手続きを行う日を予約します。各法務局によって手続きの対応可能な時間がまちまちですので、よく確認するようにしてください。一例ですが、奈良地方法務局では月曜から金曜の9 時・10 時・14 時・15 時から、桜井支局では月曜から金曜の10 時からと15 時からが隔週で入れ替わりとなっています。
予約は30 日前から予約日の前々日の午前中まで行えます。(当日の予約は不可です)


なお、遺言書の保管の申請ができるのは、遺言者本人のみです。代理人による申請や、郵送による申請はできません。よって病気等の理由で、遺言書保管所へ出頭することが出来ない場合は、この制度を利用することができません。

次回に続きます。

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月次支援金が始まりますよ!

こんにちは。奈良県奈良市の行政書士ユウ法務事務所の木村友紀です。

今年の3月より申請の始まった一時支援金ですが、該当する皆さんは無事に申請できましたでしょうか?私もいくつかの事業者様と事前確認をさせていただきましたので、申請された皆様が一時支援金を受け取れていれば嬉しい限りですね。

一時支援金の次は月次支援金です

行政書士起業支援

さて、一時支援金を申請された皆様に朗報です!一時支援金を受け取った後は月次支援金がすぐに始まろうとしています。該当する方はそのまま月次支援金を受け取ることができますので、さっそく月次支援金に関する情報を見ていきましょう。

月次支援金の要件はコチラ

起業支援
行政書士ユウ法務事務所起業支援業務のページへ↑

月次支援金を受け取ることができる方の要件をご紹介します。

(1)緊急事態措置又はまん延防止等重点措置に伴う飲食店の休業・時短営業又は外出自粛等の影響を受けていること

(2)緊急事態措置又はまん延防止等重点措置が実施された月のうち措置の影響を受けて月間売り上げが2019年または2020年の同じ月と比べて50%以上減少していること

です。

上記(1)(2)の要件を見て、何か気付いた点はないでしょうか?そうです、一時支援金の要件とほぼ同じなのです。

ポイントとなるのは、一時支援金で既に事前確認を受けた事業者様は再度事前確認を行うことが不要になるということです。また、一時支援金で提出した書類と同じ書類を再度提出する必要もなくなります。そう考えると月次支援金の申請手続きは非常に簡略化されており、楽になったのではないかと思います。

月次支援金を申請することができる事業者の例

行政書士に相談

なお上記(1)(2)の要件を満たせば、すべての業種が地域を問わず申請をすることができます。例示として、以下のような事業者が列挙されています。

(1)日常的に訪れるお店

(2)教育関連の事業者

(3)医療・福祉関連の事業者

(4)文化・娯楽関連の事業者

(5)旅行関連の事業者

(6)経営コンサルタントや士業など専門サービスを提供する事業者

(7)システム開発などのITサービスを提供する事業者

(8)映像・音楽・書き物のデザイン・制作などを行う事業者

(9)飲料や食料品の卸売りを行っている事業者

(10)農業や漁業を営んでいる事業者

一時支援金の申請要件に当てはまっていたけれど、やむなく申請のタイミングがなかったという方は、当事務所も引き続き月次支援金の事前確認を承っておりますので、ご用命の際はご連絡ください。

以上の点につきまして、何かご不明な点等がございましたらお気軽にお問い合わせ頂ければと思います。

奈良県の行政書士

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事務所名 行政書士ユウ法務事務所
所在地 【〒630-8131 奈良県奈良市大森町43-2 ホワイトパレス21 401号】
電話番号 【050-3698-1344】
FAX  【0742-90-1344】
営業時間 【9:30~18:30】
定休日 【土日祝】
E-mail 【info@gyouhoum.com】
URL  【http://gyouhoum.com/】
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ちょっとひと休み 〜行政書士という仕事〜

これまでのコラムの一覧

こんにちは、行政書士の奥本です。


昨年 11 月に行われた行政書士試験は、コロナ禍による危機感から資格の取得を目指す方が多かったせいでしょうか、過去 5 年間で最多の受験者数となりました。
奈良県の受験者数は 468 名で、合格者は 45 名でした。


1 月末に合格通知が来た方は、その後奈良県行政書士会に入会手続きをし、行政書士名簿への登録が完了すれば、晴れて行政書士となることができます。
合格後、大急ぎで準備をした方は、4 月に登録が完了して、まもなく最初の基礎研修を受ける頃なのではないかと思います。
僕も大急ぎで準備をして 4 月に登録完了した口だったので、ふとそのことを思い出しました。


僕が行政書士を志すきっかけとなったのは、近鉄奈良駅近くにある花芝商店街という商店街で役員をやらせてもらったことでした。
役員になって、総会の準備をしたり、また議事録を作成したり、規約を整えたり、そういったことが何故か楽しくて仕方ありませんでした。 会長になってからは、商店街の街路灯を建て替えるために国へ補助金の申請をしたり、商店街を任意団体から商店街振興組合へ法人化することも経験しまし た。


こうした経験から、自分が役所へ行って手続きをすることが大好きであるということに気づいたとき、行政書士は天職だと思いました。

自分が得意なことを仕事にできるのですからこんなに幸せなことはありません。
ましてやそれで人のお役に立てるのなら言うことなしです。
今、行政書士になってみて、あらためて、この仕事は本当に人のお役に立つことが出来る仕事だと実感しています。


しかし、行政書士が何をしてくれる人なのか、一般の方には少しわかりにくいかもしれません。
僕も行政書士になるまで詳しくは知りませんでしたし、実際、簡単に説明するのが難しいほど広い範囲の手続きを扱っています。
ですので、『わからないことをとりあえず相談してみる』というぐらいの軽い気持ちで、ぜひ相談してみてください。
もし行政書士が扱う業務でなかったとしても、どこで聞けばいいのか適切にアドバイスをしてもらえるはずです。


あまり身構えず気軽に触れてもらえれば、行政書士が思ったよりも『暮らしの身近な存在』であることに気づいてもらえると思います。

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農地転用3 ~甲種農地・乙種農地~

こんにちは。

奈良県で活動している行政書士の武村です。

いよいよGWに入りますが、皆様どのようにお過ごしでしょうか。

とはいえ外出はしづらい状況ですので、私は今年はゆっくりと過ごしたいと思います。

さて、今日は甲種農地・乙種農地についてお伝えしたいと思います。

1.甲種農地

「甲種農地」とは、市街化調整区域内にある農業公共投資の対象となった8年以内の優良農地で、規模が20ha以上、高性能な農業機械による営農が可能な立地条件を備えた集団農地です。

2.乙種農地

「乙種農地」とは、市街化調整区域内の農地で、3種類に区分されています。

乙種第一種農地は、農業生産力の高い農地、土地改良事業、開拓事業等の農業に対する公共投資の対象となった農地、集団的に存在している農地。

乙種第二種農地は、街路が普遍的に配置されている農地、市町村役場・区役所等の公共施設から近距離にある地域内の農地。

乙種第三種農地は、土地区画整理事業施行地区内にある農地で都市的環境が整備されておらず、また近く整備される見込みのない区域内の農地を除くもの。

ちなみに甲種農地は原則として許可がおりませんが、下記のような状況であれば許可がおりる見込みはあります。

→農業用施設、農産物加工施設、土地収用認定施設など

→集落接続の住宅になる場合など

自筆証書遺言書の保管③

これまでのコラム一覧はこちら

こんにちは、相続手続きと遺言書の作成を専門としております行政書士奥本雅史事務所の奥本です。


遺言書は法律の力によって強力な効果を発揮する文書であるため、民法で様式が厳格に定められています。
この遺言書には公正証書遺言、秘密証書遺言、自筆証書遺言という3つの形式がありました。
各形式にはそれぞれに細かい規定があるのですが、今回の『自筆証書遺言の保管制度による遺言書』の様式はこれらとは全く違っており、“4つ目の形式”と言っても言い過ぎではないと思います。

それでは自筆証書遺言の様式と比べて見ていきましょう。
自筆証書遺言(自分自身で保管する場合)には『①遺言者が全文と日付、氏名を自書し、印を押す。 ②加除その他の変更は、遺言者がその場所を指示し、これを変更した旨を付記してこれに署名し、かつその変更の場所に印を押す。』という要件が定められていますが、紙の大きさや余白、用紙のホッチキス止め、封筒の封の有無などについては決まりがないため遺言者の自由です。


ですが、自筆証書遺言の保管制度を利用する場合には、①②の規定に加えて以下のような規定があります。


・用紙はA4(文字の判読を妨げるような地紋や彩色のないもの)

・財産目録にコピーを使用する場合は感熱紙は使わない

・用紙の左辺に 20 mm、上辺と右辺に 5 mm、下辺に 10 mmの余白を設ける(ページ数や 変更の記載等も含め何も記載しない)


・遺言書本文、財産目録の裏面には何も記載しない

・長期間の保管に耐えるようボールペン等の容易に消えない筆記具を用いる

・ホッチキス止めはしない

・封筒の封はせずに持参する


自筆証書遺言の保管制度では、遺言書の原本を保管すると同時に、スキャナを使って取り込んだ画像データも保管するため、このような細かい部分まで規定が設けられています。


また他の形式にはない独自の注意点として、『遺言書本文・財産目録には、各ページ に通し番号でページ数を“自書”する』というものがあります。


自筆証書遺言の保管制度を利用するためには、これらの相違点に注意をしながら慎重に遺言書の作成を進めていく必要があります。


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【介護職種】技能実習評価試験について

こんにちは。

行政書士・社会福祉士よしかわ事務所の吉川昇平です。

暖かい日が多くなってきました。

みなさま、いかがお過ごしでしょうか。

前回のコラムでは、特定技能の在留資格を取得するために必要な試験についてお伝えしました。

その後、技能実習生が受ける試験ついてのお問い合わせもいただきましたので、今回は技能実習生の試験についてお伝えします。

以前のコラムでご説明したとおり、技能実習生の区分は入国1年目が技能実習1号、2~3年目が技能実習2号、4~5年目が技能実習3号とされています。

1号から2号へ移行する場合には、技能実習生が実技試験と学科試験に合格する必要があり、2号から3号へ移行する場合にも実技試験の合格が必要です。

最初の試験は、技能実習1号の開始後7か月目か8か月目あたりでの介護技能実習評価試験(初級試験)となります。

この試験は、実技と学科があり、試験時間はそれぞれ60分です。

試験会場は、技能実習生が勤務している事業所や施設で行われます。そのため、実習実施者(受入企業)は、学科試験と実技試験の会場となる部屋の準備や、実技試験に協力してもらう介護サービス利用者の手配等をしなければなりません。

試験当日は、外部の「試験評価者」という試験官の役割を担う人が訪問してくれます。この試験評価者の指示に従いながら試験が進められます。

初級試験における実技試験では、技能実習生を日ごろから指導している技能実習指導員が技能実習生に指示を出し、その指示どおりに介護ができるかが判定されます。

実技試験の試験課題や評価項目はシルバーサービス振興会のホームページに詳しく掲載されていますので、試験前に確認いただくことをお勧めします。

参考:シルバーサービス振興会のホームページ(http://www.espa.or.jp/internship/)

では、実技試験の評価基準を見てみましょう。

「体調の確認」という項目で評価されるポイントは、利用者に体調の確認を行い、技能実習指導員に報告しているか(利用者の特性に合わせコミュニケーションを取り、反応や表情等も見ている)となっています。

また、

「介助の説明と同意」という項目であれば、これから行う介助について説明をして、同意を得て、その結果を技能実習指導員に報告しているかどうかがポイントになります。

このように、評価の基準が示されています。初級試験は介護の基本的な部分ばかりですね。

技能実習生としては、最初に指導を受ける内容であり、この基本は必ず身に付けているはずです。したがって、試験も普段通りに行えば、問題なく合格できるレベルですし、入念に準備して臨めば大丈夫ではないかと思います。

一方、学科試験は○×方式で、初級試験は20問出題され、65%(13問)以上の正答で合格です。

参考に1つ過去問題を見てみましょう。

介護(かいご)(しょく)看護(かんご)(しょく)リハビリ(りはびり)(しょく)(など)協力(きょうりょく)をして、利用者(りようしゃ)生活(せいかつ)支援(しえん)します。

Kaigoshoku wa kangoshoku ya rihabiri shoku nado to kyōryoku o shite riyōsha no seikatsu o shien shimasu.

正答:○

難易度としては、当たり前のことを聞かれていますので、真面目に実習をしていれば、難しくない問題だと思います。過去問題が同ホームページで公開されていますので、試験対策として活用できます。

特定技能の試験との違いとして、実習している施設で試験が行われます。したがって、試験を実施するまでには、施設の担当者、監理団体、試験実施機関、技能実習機構との連携が不可欠です。

技能実習の段階に応じて、初級試験、専門級試験、上級試験が設定されています。

実習実施者(受入企業)の方は、まず監理団体に試験の申し込みや流れについてご確認いただければと思います。

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自筆証書遺言書の保管②

公正証書遺言と自筆証書遺言書保管制度

 こんにちは、相続手続きと遺言書の作成を専門にしております行政書士奥本雅史事務所の奥本です。 

日本公証人連合会の統計によると、2019年に公正証書遺言で作成された遺言書の件数は11万3137件でした。(2020年3月発表) 

一方、昨年7月にスタートした『自筆証書遺言書保管制度』による遺言書の保管件数は、12月までの半年間で1万2576件となっています。(2021年1月 法務省発表) 

近年、公正証書遺言での遺言書作成件数は年間11万件前後で推移してきましたが、これが『自筆証書遺言書保管制度』の利用にどの程度移っていくのかが今後注目されます。 

あるいは、長年の実績があり信頼性の高い公正証書遺言はこれまでと同程度の数字を維持したままで、比較的取り組みやすい『自筆証書遺言書保管制度』をこれまで遺言書作成への敷居が高いと感じていた層が利用することによって、遺言書作成の全体数が大きく伸びることも考えられます。 

私見ですが、僕はこれが望ましい形ではないかと思います。なぜなら、遺言書の準備が必要な方の数は、そんなに少なくないのではないかと思っているからです。 

遺言書の準備が必要な人とは? 

遺言書を作った方が良い事例として一番わかりやすいと思われるのは《離婚後に再婚し、前の配偶者との間にも今の配偶者との間にも子どもがいる》というケースです。 

親子というのはいくら疎遠になったとしても、法律上の縁が切れることはありません。したがって、もし遺言書を遺していなければ、自分が亡くなった後にその子ども達同士が顔を合わせて遺産相続について話し合わなければならなくなるのです。想像するだけで気持ちが重くなってしまうような事態です。 

日本の離婚の件数は一年間で20万件以上あります。その数を考えれば、遺言書の作成件数はもっと増えていてもおかしくないのではないかと思います。 

遺言書は変更することも可能

しかし、いざ遺言書を作成しようと思いたっても、財産の変動や、自分自身の健康状態、家庭環境の変化など様々な影響によって、遺言をする内容について迷いが生じたり、書くタイミングに関してもいつ書くべきなのか悩んでしまうことがあるかもしれません。 

ですがそもそも遺言書は、一度作成したら『それで終わり』というわけではなく、その時々の状況の変化や、事情に合わせて内容を変更する必要性が生じるものです。 

『自筆証書遺言書保管制度』では、遺言書の保管の申請の撤回をすることができます。 一度預けた遺言書を撤回してその内容を変更する、ということもできますので、ぜひ勇気を持って、遺言書の作成に取り組んでいただければと思います。 

それでは次回からは『自筆証書遺言書保管制度』の具体的な利用方法について見ていきたいと思います。  

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農地転用1

明けましておめでとうございます。本年も宜しくお願い申し上げます。

今年は景気の良い年になりますように、と言いたいところですが昨年末からコロナウイルス感染者が急増し、再び各地で緊急事態宣言が発令される事態になっています。

ある程度予想されていたことではありますが、今回は私の事務所の近隣でもクラスターが発生するなど昨年よりも深刻な事態となっています。

まだ時間がかかるとは思いますが、少しでも早く終息することを願います。

さて、本題に入ります。

今日からしばらくは農地転用についてお伝えしようと思います。

 自身の農地の売買や賃貸借、また農地以外の用途として利用する場合は、農業委員会への届出または許可が必要となります。つまり許可が取得できない場合は、たとえ自身の農地でも自由な用途として利用できないということになります。

例えば自身の田を他者に売る、または駐車場に変える場合などがこれに該当します。

ではどんな手続を行えばよいかですが、これについては土地の場所や状況、利用目的などにより変わります。今日はその手続の判断のため、主な農地の区分についてお伝え致します。

1.農用地区域内農地

  →農振法に基づき市町村が定める農業振興地域内において指定された区域内の農地。

   原則許可はおりません。

2.甲種農地

  →集団的に存在し(おおむね10ヘクタール以上)、高性能な農業機械による営農に適

している、など、市街化調整区域内にある特に良好な営農条件備えている農地。

   原則許可はおりません。

3.第1種農地

  →高い生産能力が認められる、集団的に存在する(おおむね10ヘクタール以上)、

など良好な営農条件を揃えている農地。

原則許可はおりません。

4.第2種農地

  →市街化の区域内または市街地化の傾向が著しい区域内にある農地に近接する区域そ

   の他市街地化が見込まれる区域内にある農地で、農用地区域内にある農地以外の甲

   種、第1種農地及び第3種農地のいずれの要件にも該当しない農地。

   街路が普遍的に配置されている地域内、駅や市町村役場から近距離の地域に存在

   する、など。

代替地があると認められる場合には原則として許可はおりない。

5.第3種農地

  →市街地の区域内又は市街地化の傾向が著しい区域内にある農地。

→駅、市町村役場等の公共施設から至近距離(300メートル以内)にある地域内。

→土地区画整理事業の施工区域 など。

 原則として許可がおりる。

このように、農地といっても実は細かく区分されています。

他にも手続に関連する要件はあるのですが、それは又次回にお伝え致します。

自筆証書遺言書の保管①

行政書士奥本雅史事務所の連載の一覧はこちらから

こんにちは、遺言書の作成と相続手続きを専門にしております行政書士奥本雅史事務所の奥本です。

2020年も残すところあと一週間となりました。
今年はコロナ禍によって、これまで誰も経験したことのないような厳しい一年となり、仕事や学校をはじめとして日常の生活においても大きな変化を強いられることになりました。
一日も早くこの事態が収束し、新しい年は希望に溢れるものになりますよう心から祈ります。

それでは今回からは、『自筆証書遺言書の保管制度』についてお話していきます。

この制度は今年の7月10日からスタートした、まだ新しい制度です。

《法務省の公式ホームページより》

自筆証書遺言による遺言書は自宅で保管するケースが多く、紛失や隠匿、内容の改ざん等の危険性、また遺言者の死亡後に遺言書が相続人に発見されないなどの心配がありました。

加えて、自筆証書遺言の場合は、遺言者の死亡後に家庭裁判所で遺言書の検認の手続きも必要でした。

これらの欠点を補うためには、公証人役場で作成してもらう『公正証書遺言』を利用することが、これまで一番有効な手立てとなっていました。

ですが、自筆証書遺言書の保管制度が始まったことにより、自筆証書遺言の欠点は随分とカバーされて、利用しやすく、かつ安全性の高いものへと変化を遂げました。

まず、遺言書の保管に関しては、法務局で『遺言書の原本』と『遺言書の画像データ』を保管してもらえるので紛失や改ざんの恐れがありません。(なお、原本は遺言者の死後50年間、画像データは遺言者の死後150年間保管されます。)

そして、これが公正証書遺言にもなかった特筆すべき点なのですが、遺言者が死亡した際、あらかじめ指定しておいた相続人や遺言執行者等に、『法務局で遺言書が保管されている旨の通知』が届くようになっています。これにより、遺言者死亡時に遺言書が発見されないという事態を回避することができます。

そしてこの保管制度を利用する場合は、家庭裁判所の検認も不要となります。

このように自筆証書遺言の欠点は大きく補われて、大変利用しやすくなったと言えると思います。

『一人につき ひとつの遺言書』という時代の到来を目前に控えた今、このコラムで少しでも遺言に興味を持っていただければ幸いです。

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