オリンピックと大阪万博

こんにちは。
武村直治行政書士事務所 武村です。
奈良県を中心に活動しております。

 

さて、大阪万博の開催が決まりましたね。
オリンピックに万博、、、大きく盛り上がることを期待しています。
今までオリンピックの事を記事にするのはなんとなく避けていたのですが、万博まで開催されるということで少し思っている事を書いてみたいと思います。

 

2020年のオリンピックによる経済波及効果は約32兆円といわれています。
東京での開催についてはいろいろな意見も耳にしますが、やはりオリンピックの経済効果はすごいものがありますね。
私はほとんどが東京周辺だけの経済効果だと思っていましたが、そのうち10兆円以上は西日本を中心に全国に影響があると試算されているようです。

ちなみに大阪万博の経済効果は約2兆円とのことです。
オリンピックに比べると見劣りはしますがこちらも大きな数字です。

 

そのなかで以前から少し気になっていた事があります.

 

現在、人手不足やオリンピック効果による建設需要の高まりから、建築費が20~30%上昇しているとのこと。
そのため建築費の上昇が一段落すると予想されるオリンピック後まで、つまり
2020年以降まで大規模な修繕工事を先延ばしするマンションの管理組合なども多く、またマイホームも購入するならオリンピックのあとにしよう、というような情報もたびたび耳にしました。

上記の何が気になっていたかというと、、、

皆が同じことを考え2020年以降に大規模な工事などが集中してしまった場合、建設費用が上がるとまでは言わなくともまったく下がらないような状況もありえるのではないかという事です。

そして、さらにオリンピックから5年後に大阪万博の開催が決定。
これにより、オリンピック後の建築費は下がるどころか上昇し続ける可能性もあると考えています。
オリンピック後に家を買おう、なんて考えていた方々はあてが外れてしまう事になるかもしれませんね。

そして、関連している事柄ですが、気になる事がもう一つ。

上記の人手不足に関してですが、、、
前回1964年のオリンピックのあと1970年に大阪万博が決まったことで職人の奪い合いのような状況が起こったようですが、今回も似たような間隔でオリンピック➡万博、と続きます。

ここまでくると建築価格の上昇だけでなく、あまりにも人手が足りずそれぞれの工事がなかなか終わらないような状況も各地で起こる可能性があるのではないかと懸念しています。

あくまで予想なのでどうなるかは分かりませんが。

ただ現在でも大手ゼネコンなどの人手不足が顕著になってきていますので、今後はどういった状況になるのか気なるところです。

とはいえ、日本全体の事を考えると景気回復に希望が持てるのは素晴らしい事です。
リストラやデフレというような文字を毎日どこかで目にしていた時期に比べれば喜ばしい状況なのでしょう。
経済については専門家でも何でもないのであまり触れないことにしますが、私も波に乗り遅れないように頑張っていきたいと思います。

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1級建築士という資格と行政書士

こんにちは。行政書士の武村です。

 

今日は少し気になったニュースについてお伝えしたいと思います。

手続きの方法でなくすみません。

 

ある建設業の仕事で調べ事をしていた時に、1級建築士の資格に関しての記事を目にしました。

その記事によると

・1級建築士試験の受験者数が減り続けており、後継者不足が懸念されている

・平均年齢は56.2歳で、50~60代が全体の64%を占める

・設計料はその建築物の1割程度が相場として存在するが、実際にはせいぜい
5~6%程度しかもらえない

・なかには設計無料を掲げる会社もある

・残業時間が100時間超など、厳しい労働環境

・近い将来、AIによる仕事の侵食の可能性が高い

 

など、設計や工事監理など独占業務があるにも関わらず見合った報酬がもらえていない現状や、薄利多売のような状況になっているケースも多いこと、今後AIが脅威となる状況などについて記載していました。

 

私達行政書士だけでなく、どの分野の仕事も大変であることは頭では理解していましたし、資格を持ったからといってもちろん全員が成功されるとは思っていませんが、このような状況や抱えている問題点には驚かされました。

 

私は建設業界に関する仕事をさせていただき、またコラムなども書かせて頂いているため、業界の現状や今後の展望などある程度は理解しているつもりでいましたが、1級建築士については安藤忠雄氏のようないわゆる有名建築家の方しか知らず、華々しい活躍をされている方が非常に多いものだと思っていました。

確かに簡単な設計なら今後はAIに侵食されていくことは容易に想像でき(これはどの業界にも当てはまると思いますが。。。)、もしかすると私が思っている以上に危機的状況にあるのかもしれません。

 

なぜこの記事が気になったかというと、

 

・一時期の行政書士人気が終わり、受験者数は下降気味

・報酬の自由化により、1件当たりの仕事が安くなった案件が多い

・AIによる仕事の侵食の可能性

 

など私達行政書士も同じなのではないか、と感じた部分がいくつかあったからです。(あくまで私が感じただけです)

 

ただし、これらが良いとか悪いの話しをしたいワケではありません。

低価格化や、AIによって行政書士に依頼せずとも必要な書類の作成や手続きが完了することは皆様にとって大きな利益でもあることは理解しています。

 

ただこの記事を見て、私も今後の自分の在り方を考えさせられました。

現時点での許認可業務の煩雑性や、多岐にわたる業界全ての手続きを簡略化していくことの難しさなどから、個人的には行政書士の仕事はまだまだなくならないと考えており、その中でも大きく頼りにされ、求められる先生も必ず一定数いるはずであり、私もそうでありたいと思っています。

 

もともと書類の作成だけの仕事を請け負うことは稀ですが、「それ以上の提案」の質をさらに高めクライアントの方から必要とされる存在になることが、私が考えていることの答えではないかと思っています。

 

なんだかすごく抽象的なコラムになってしまいました。

これからも頑張っていきたいと思います。

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経営事項審査とは 3

こんにちは。

奈良で開業しています行政書士の武村です。

2回にわたり経営事項審査の仕組み、
評価方法などについてお伝えしました。
3回目の今日は「期限」を中心にお伝えします。

1.総合評定値通知書の有効期限について

経審を無事に終えると、自社の評価点を記載した
「総合評定値通知書」というものがもらえます。
そして競争入札に参加するための、いわゆる「指名願い」
にこの総合評定値通知書を添付して提出することになります。

ではこの総合評定値通知書ですが、
いつまで有効なのでしょうか?

これがまたややこしいのですが、総合評定値通知書の
有効期限は「決算日から1年7カ月」です。
7カ月という数字がものすごく半端に感じますが、
これにはちゃんとした理由があります。

以前にもお伝えしたように、評価点を算出するには
自社の売上高や利益なども計上する必要があります。
つまり、決算日が到来したあと、税務申告を先に
済ませておく必要があります。

そして、これを基に決算日から4カ月以内に決算変更届
を作成し、さらに経営事項審査に必要な書類を作成して
いく、という流れになります。

よって、経営事項審査を受けるために必要な一連の書類
の作成にかかる時間を考えると、決算を迎えた日
(前回の経営事項審査の基準日から1年経過)から、
さらに7カ月くらいは必要だろう、と言う事になる訳
ですね。

ただし、経営規模等評価申請書の提出から総合評定値
通知書を受け取るまでにはタイムラグがありますので、
実際には経営事項審査に係る書類は1年と6カ月以内に
提出するつもりでいる必要がありますのでご注意を。

2.総合評定値通知書の有効期限が切れると。。。

次に、以前から経営事項審査を受けられている企業が
決算日から1年7カ月を過ぎても今年度の書類を提出
できなかった場合にどんな影響があるかをお伝えします。

まず期限が切れているため、当然それ以降は公共工事
は請け負えません。
そして、仮に有効期間中に落札した工事であっても
請け負えなくなります。

これは事業所にとって死活問題にもなりうるため、
くれぐれも注意が必要です。

万が一期限切れであることを忘れたり、又は隠して入札
に参加してしまうと、営業停止処分などの罰則が下る事
もあります。

当事務所では経営事項審査の一連の書類の作成だけでなく、
評価点の上げ方のアドバイスや期限の管理なども行って
おりますので、お気軽にご連絡ください。

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経営事項審査とは 2

こんにちは。

奈良で開業しています行政書士の武村です。

 

さて、前回、経審とは企業のいわゆる「点数によるランク付け」

のための方法である旨をお伝えしましたが、では具体的には

一体何を評価されるのでしょうか?

 

経審はそれぞれの建設業者を

  • 経営状況 (Y点)
  • 経営規模 (X1点 及び X2点)
  • 技術力  (Z点)
  • 社会性等 (W点)

の4つの方面から評価し、その合計を「総合評定値 (P点)」

として算出します。

 

ただ、これだけだとピンとこないので、評価内容をもう少し

詳しく見ていきます。

 

  • 経営状況(Y点)

・自己資本比率、利益余剰金の額、負債回転期間、
売上高計上利益率、など多数

 

  • 経営規模(X1点 及び X2点)

・X1点  業種別の完成工事高
・X2点  自己資本額、利益額

 

  • 技術力(Z点)

・技術職員数、元請完成工事高

 

  • 社会性等

・労働福祉の状況、営業継続の状況、
防災活動への貢献の状況、研究開発の状況、
建設機械の保有状況、法令遵守の状況、
など多数

 

これらを評価し、点数付けをします。

さらに、これらの評価点には比率(ウェイト)があり、

その数字をかけて算出された点数が

最終的な点数=総合評定値(P点)となる訳です。

 

まとめると、
総合的評価であるP点を算出するための計算式は

 

P=0.2(Y)+0.25(X1)+0.15(X2)+0.25(Z)+0.15(W)

となります。

…非常に細かく審査されますね。頭痛がしそうです。

 

では次に、この評価点は「どこで」算出されるのでしょうか。

算出される機関は2つです。

まず、Y点の算出は県や市町村などの行政庁ではなく、

登録経営状況分析機関に申請して行います。(経営状況分析)

次に、X1点、X2点、Z点、W点の算出は許可行政庁に

申請して行います。(経営規模等評価)

 

ちなみに経営規模等評価の申請を行う際に、先に経営状況分析

を済ませておいてその結果通知書を持っていけば、同時に

総合評定値(P点)の請求も行うことができます。

長くなりましたので、その他の事項は次回に

お伝えしたいと思います。

 

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毎年提出! 決算変更届!

こんにちは。武村直治行政書士事務所の武村です。

今日は「決算変更届」という書類についてお伝えしたいと思います。

前回までのコラムでお伝えした建設業許可を取得した事業所は
「決算変更届」という書類を毎年提出する義務が生じます。

これは税理士が作成する決算報告書を基にして建設業簿記で
書き換えたもので、1年間に行われた工事や財務状況などを
記載して行政官庁に提出するものです。

以下、もう少し詳しく解説致します。

■決算変更届について

①提出期限
→毎年、事業年度終了から4カ月以内に提出です。

②提出場所
→提出先は都道府県ですが、提出場所は
「主たる営業所を管轄する土木事務所」です。

③必要となる書類
・変更届出書
・工事経歴書
・直前3年の工事施工金額
・財務諸表
→貸借対照表、損益計算書、注記表、株主資本等変動計算書など
・納税証明書
→県税事務所で取得できます。
・事業報告書

④注意点 →都道府県により表紙がいらない、控えの提出部数が違う、
控えにも押印すること、など取扱いに多少の違いがありますので、
事前に管轄の土木事務所に確認をしましょう。

以上です。

余談ですが、もしこの決算変更届の提出が遅れるとどうなるので
しょうか?

結論から言いますと、期限に間に合わなくても受け付けてもらえます。

それではもし提出しなかった場合はどうでしょうか?

まず、事業者の方がもし許可業種の追加をしたいと思ってもその
申請を受け付けてもらえません。

そして建設業許可は5年ごとに更新をする必要がありますが、
この更新の際には過去の決算変更届の提出が絶対要件となりますので、
決算変更届を提出していないと建設業許可の更新書類を受け付けて
もらえず結果としてせっかく取得した建設業許可を失うことになります。

ご注意下さい。

最後に、実はこの決算変更届は都道府県庁で第三者が閲覧できるよ
うになっており、信用調査会社などは実際にチェックをしています。
取引先の銀行なども閲覧している可能性が高いと思われますので、
他の書類に比べ比較的軽視(?)されがちなこの決算変更届ですが、
注意して正確なものを期限までに提出するようにしましょう。

 

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建設業許可 取得要件5 営業所について

こんにちは。
武村直治行政書士事務所の武村です。

これまでに経営業務の管理責任者、専任技術者、欠格要件、財産的要件についてお伝えしてきましたが、
今日は建設業許可取得の5つ目の要件である「営業所要件」についてお伝えしたいと思います。

建設業許可を取得するには「営業所」が必要になります。
営業所とは「請負契約の見積もり、入札、請負契約などの実態的な業務を行っている事務所」のことです。
ですので、単なる登記上の本店や作業所、事務的な連絡所、建設業に無関係な本店や支店などは営業所と
しては認められないのでご注意ください。

そして、この営業所には「主たる営業所」と「従たる営業所」の2つがあります。

「主たる営業所」は名前の通りメインの営業所。
ですので必置です。
そして、以前のコラムでお伝えした
「経営業務の管理責任者」と
「専任技術者」
の双方が常勤であることが求められます。

「従たる営業所」は支店のようなイメージですので必ずしも設置しなくても構いませんが、設置する場合は
「従たる営業所の代表者 」(令3条の使用人という)と
「専任技術者」
の双方が常勤であることが求められます。

それでは次に、許可を申請する際にこれらをどうやって証明するかを見ていきます。

1.営業所の所有状況を示す資料
→営業所建物の登記簿謄本など。
ただし建物が賃貸の場合は、賃貸借契約書や貸主の使用承諾書など、
ケースによって必要となる証明書類は異なります。

2.営業所の写真
→これは複数枚必要になります。
・営業所の全景
・玄関口(屋号、商号が確認できるもの)
・事務所内部 (電話やFAX、机など)
※地域によって多少の違いがあります。

3.営業所付近の地図

以上です。
営業所の証明に関しては様々な権利関係があり、
それにより必要書類が異なりますので、お困りのことがありましたらお気軽にご相談ください。

 

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建設業許可  取得要件4 財産的基礎とは

 

こんにちは。奈良で開業しています行政書士の武村です。

 

今日は建設業許可の要件のうち、財産的基礎(財産の証明)について

見ていきたいと思いますが、そもそもなぜ建設業許可を取得する

ために財産の証明が必要なのでしょうか?

 

それは建設業を営むにはお金がかかるからです。

建設業は原則として工事の完成に対して報酬をもらう請負契約であり、

仕事の性質上、資材の購入や労働力の確保などに多大な費用が

かかる事も多いため、行政側も許可を取得する事業者の方には

ある程度の資金を確保していることを求めているのです。

 

では一体どれくらいの資金を求められているかですが、

これも一般建設業許可と特定建設業許可で要件が違います。

今日は一般建設業許可を中心に話を進めていきたいと思います。

 

一般建設業許可の財産要件ですが

①資本金が500万円以上あること

②500万円以上の資金調達能力があること

 

となっています。

・・・「500万円以上」という金額がポイントですね。

①に関しては、直前期の決算書の純資産が500万円以上あれば

クリアできます。

②に関してですが、これは少しややこしいかと思います。

具体的には、「500万円以上の残高証明書を発行してもらう」

又は「500万円以上の融資可能証明書を発行してもらう」という

方法があります。

 

ちなみに②に関しては残高証明書を入手し、財産の証明書類と

するのが一般的で、ほとんどの方がこの方法をとっていると

思われます。

融資可能証明書の発行という方法は私自身も未だ経験がありません。

 

どの方法をとるにしろ、いずれも500万円以上という高額な

資金が必要となります。

ですので許可を取得したいとお考えの事業者の方は事前に

資金調達の方法を考えて準備しておくことが大切になります。

 

ちなみに建設業許可は5年で更新となりその更新の際にも

それぞれの要件を改めて証明する必要があるのですが、

財産要件に関しては建設業許可の取得から更新までの5年間

継続して営業した実績があれば、更新時に500万円以上の

財産要件は満たしているとみなされます。

つまり、改めて金融機関から残高証明書などを発行してもらう

必要はありません。

 

最後に、建設業許可を取得するためには残高証明書のような

添付書類が多く必要となります。

それぞれに有効期限があるため、それらを計算して書類を作成

する必要があります。

 

当事務所にお任せいただければ、書類の作成から添付書類の取得

まで全てサポート致しております。

 

建設業許可の取得についてお困りの方がおられましたらお気軽に

ご相談ください。

 

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建設業許可 取得要件3 欠格要件とは?

こんにちは。武村です。奈良県の中南和地域を中心に活動しています。

今日は建設業許可の要件のうち、「欠格要件に該当しないこと」
について見ていこうと思います。
欠格要件とは簡単に言うと、「これに該当していると許可は出せま
せんよ」というものです。
どんなものがあるのか見てみましょう。
ただし手引き書通りだとさすがに読む気がしないでしょうから
簡潔に記載します。

〇欠格要件

1. 許可申請書にウソがあった場合や、重要な事実を記載していない場合

2. 許可申請者、その役員、支配人や営業所の代表者などが、次のア~ケに1つでも該当してしまった場合

ア. 成年被後見人、被保佐人、破産者で復権を得ていない

イ. 過去に不正行為により建設業許可を取り消され、まだ5年経っていない

ウ. 上記イの不正行為による許可取消しの通知があった後に廃業届を出し、その届出の日からまだ5年経っていない

エ. 上記ウの場合において、許可取消しの通知の日から遡って60日以内に上記ウの役員や支配人、営業所の代表者などであり、廃業の届出の日からまだ5年経っていない

オ. 営業の停止や禁止の処分を受け、まだその期間が経過していない

カ. 禁固以上の刑に処せられたり、暴力行為や脅迫、強制労働など刑法や建設業法など他に定められた法律によって罰金以上の刑に処せられ、その刑の執行が終わってからまだ5年経っていない

キ. 暴力団員又は暴力団を辞めてからまだ5年経っていない

ク. 事業活動の支配を暴力団員が行っている

ケ. 未成年者であり、その法定代理人が上記の欠格要件に該当する

沢山あって一つ一つ全て覚えるのは難しいので、社会通念に照らし合わせて判断して頂ければ把握しやすいと思います。

 

次にこれらをどうやって証明するかですが、
この「欠格要件に該当しないこと」に関しては、法務局で取得できる「登記されていないことの証明書」(出張所では取得不可)と、役所で取得できる「身分証明書」(本籍地のある役所のみ取得可能)で証明し、そして申請書の誓約書に捺印します。

この「欠格要件に該当しないこと」に関しては、証明は難しくありません。
証明書を2枚取得して誓約書にハンコを押す!

基本これだけです。

ですが少し気をつけて頂きたいことがあります。
上記の欠格要件「カ」にも記載していますが、建設業許可は、
建設業法以外の法律に違反した場合にも取得できなくなる場合が
あります。

デリケートな部分ですのでなかなか相談しづらいとは思いますが、許可の取得にあたり重要な要件になりますので気になる方がおられれば当事務所にご相談いただければと思います。
どんなご相談も親身に対応させて頂きます。

 

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建設業許可 取得要件2 専任技術者について

こんにちは。武村です。

今回は許可取得のために必要な「専任技術者」について書きます。

 

イメージとしては、一定水準以上の知識や経験を持ったいわば技術的な

責任者のような役割をする人のことです。

建設工事はしっかりとした知識、技術の土台がないと命にかかわるような

重大な事故も起こりますからね。

 

さて、ではどうすればなれるのかを見ていきますが、

これは一般建設業許可や特定建設業許可などにより要件は変わります。

今日は主に私の周りに多い一般建設業における専任技術者の

要件を見ていきます。

 

■常勤であること

➡他の企業の従業員や常勤の役員などと兼務はできません。

 

■専任であること

➡営業所に常勤しており、工事の受注や発注の職務に従事すること。

つまり、現場の監督さんなどとは違い、営業所の中で知識や技術の

サポートをすることを想定されているという事です。

ただし、「専任であること」に関してですが、一人親方など、

営業所にずっといると工事ができない、というケースもあるでしょう。

そのため、以下の条件を全て満たした場合は、

主任技術者と兼務というカタチで現場に出ることが認められます。

 

〇専任技術者が専任となっている営業所において、請負契約が締結された

建設工事であること。

〇営業所と工事現場が近接しており、常時連絡がとれる体制にあること

〇専任であることが求められる工事でないこと

 

これで工事に出れます。ご安心を。

長い説明になりましたが、次の要件を見ていきましょう。

 

■①、②、③、のいずれかに該当すること

①実務経験

➡許可を受けようとする業種に関し、10年以上の実務経験があること

 

②学歴+実務経験

➡許可を受けようとする業種に関し指定の学科を修めて

卒業後、3年又は5年の実務経験があること

 

③資格

➡許可を受けようとする業種に関し、指定の資格を持っていること

 

これら①~③の部分に関しては、多くの方が解釈に迷うところです。

まず、単なる工事現場の雑務や事務の経験では実務経験としては

認められません。

そして、例えば塗装工事で5年の経験を積み、さらに防水工事で5年の経験を

積んだとしても、それぞれの経験が10年に満たないため、

専任技術者としは認めれません。

あくまで「許可を受けようとする」業種での経験が

必要ということですね。

 

さらに、たまに相談を受けるのですが、複数の業種の専任技術者に

なろうとすれば、10年×業種の数の分の実務経験が必要になります。

 

ただし、それでは要件を満たすためにあまりにも時間が

かかりすぎるという事で、現在は関連した業種同士

(建築一式工事と内装工事など11パターン)で合算が

できるなど、要件の緩和措置もとられています。

この辺はご相談いただければと思います。

 

 

要件を満たしていれば、これらを証明しなければなりません。

例えば営業所に専任であることの証明として、

健康保険証や住民票、場合によっては建物の賃貸借契約書や

公共料金の領収書などなど、、、いろんな書類で証明します。

 

これらの証明に関しては資格や学歴の証明ができれば簡単ですが、

実務経験だけで証明するとなると結構大変です。

必要期間の請求書や入金記録、注文書と請書、契約書、さらに

当時経験を積んだ企業に在籍していた事の証明資料が

必要となります。

 

 

こんな感じで手間と時間のかかる作業です。

手引きをみると必要書類は書いてありますが、

経験上、多くの方がだいたい同じポイントで迷われているようです。

 

要件や証明の作業でお困りでしたらぜひ当事務所に

ご相談ください。

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建設業許可 取得要件 経管とは?

こんにちは。武村です。
前回のコラムで、建設業の許可の必要性について書きました。
今回は「では許可を取得するためには何が必要か」を中心に書きたいと思います。
建設業許可には、主に取得に必要な5つの要件があります。
1. 経営業務管理責任者
2. 専任技術者
3. 欠格要件に該当しないこと
4. 財産的基礎
5. 営業所
この5つをまとめて「五大要件」なんて呼んだりします。
これらの要件をすべて満たせば許可が取得できるのだ、とイメージして頂ければ難解な許可取得要件もイメージしやすくなります。
ただし聞き覚えのない言葉も多いので、何回かにわけて少し詳しく解説していきます。

1. 経営業務の管理責任者
経営業務の管理責任者とは、経営業務を総合的に管理し、執行した経験などを
持つ者のことを言います(以下、経管と呼びます)
法人なら役員(取締役や代表取締役)、個人業者なら事業主本人や商業登記された
支配人などのことです。
しかし、ただその立場にいればいつでも経管として認められる訳ではありません。
「どのくらいの期間その経験があるか」が重要になります。
長くなるのでイメージしやすいようザックリとした説明にはなりますが、

・許可を受ける業種の役員や個人事業主の経験      ➡5年以上
・許可をうける業種の役員や個人事業主に準ずる地位
にあり、経営業務を補佐した経験            ➡6年以上
・許可を受ける業種以外の役員や個人事業主の経験    ➡6年以上

このような経験年数を満たす必要があります。
ちなみに、この経験は複数の業務経験を合算できます。
つまり許可を受ける業種で取締役として3年、その後個人事業主として2年の経験を積んでも合計で5年となり、要件を満たします。

そして「常勤であること」も求められます。
経管は代表者である必要はないのですが、例えば他社の常勤の役員の方を自社の
経管とすることなどは認められません。
なかなか細かいですね。

これらをクリアしているようなら、あとはそれを「証明」する必要があります。
当時働いていた企業の代表者や役員の方などに印鑑をもらったり、その当時の
工事実績の証明のため契約書や注文書、請書、請求書、入金記録などを必要に応じて用意したり…私が書くと簡単そうに見えますが、なかなか骨の折れる作業です。
1つ1つ要件をクリアするのは大変ですが、だからこそ許可を取得している事業者
の方の信頼性の高さに繋がるとも言えるのではないでしょうか。

次回は専任技術者について書きたいと思います。

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