相続③ ~相続の道は戸籍から~

こんにちは、行政書士奥本雅史事務所の奥本です。

前回のコラムの最後で、相続における最初の期限のお話をしました。

財産を受け継ぐことになる方(相続人と呼ばれます)は、相続の開始を知った日から3ヶ月以内(熟慮期間と言います)に、「単純承認」「限定承認」「相続放棄」のいずれかを決めなければなりません。
それぞれの違いについて簡単に説明しますと、

「単純承認」・・・全ての財産(借金等の負の財産も含め)を受け継ぐ

「限定承認」・・・財産から借金等の負債を差し引いた残りの財産を受け継ぐ

「相続放棄」・・・全ての財産を放棄する

となります。ですが、それを決めるために、やらなければいけない調査が3つあります。

それは、遺言書、相続人、相続財産の調査です。

まずは、亡くなられた方(被相続人と呼ばれます)が遺言書を遺しておられないかを調べます。(※遺言書については、またシリーズで詳しくお話しいたしますのでここでは触れません)

つぎに、相続人となる方を調べます。相続人となる方は以下のようになります。

・配偶者は必ず相続人となります。

・被相続人のお子さんがおられる場合は、配偶者とお子さんが相続人となります。《配偶者がすでに亡くなっている場合は、お子さんのみ》

・被相続人にお子さんがおられない場合は、配偶者と被相続人の父母(父母が亡くなっておられれば祖父母)が相続人となります。《配偶者がすでに亡くなっておられる場合は、父母、または祖父母のみ》

・被相続人にお子さんがおられず、父母・祖父母もすでに亡くなっておられる場合は、配偶者と兄弟姉妹が相続人となります。《配偶者がすでに亡くなっておられる場合は、兄弟姉妹のみ》

⇒なお、お子さんが亡くなられていた場合はお孫さんが、お孫さんも亡くなられていた場合はひ孫さんが相続人になります。(代襲相続と言います)兄弟姉妹も代襲相続がありますが、甥姪までとなっています。

少し複雑ですが、ここまで理解することができれば、相続人の確定は意外と簡単にできそうです。親戚の中でも、この範囲なら顔もある程度見知った方でしょう。

ですが・・・

亡くなられた人の人生を、すべて把握しておられるということが、果たしてあるでしょうか?

たとえ、お父さんやお母さんであっても、知らないことや秘密というものがあるかも知れません。
どういうケースかといいますと、例えば、離婚・再婚をされていて、以前の配偶者との間にお子さんがいた、というケース。離婚した配偶者は相続人にはなりませんが、お子さんは相続人となります。また、認知した子や養子縁組をされていた場合も相続人となります。

後々になってからトラブルにならぬよう、きちんと調べておく必要があります。

そのためには、被相続人の出生から亡くなるまでの戸籍謄本を全て取得しなければなりません。

また、戸籍謄本はこの先ご説明していく相続の各種の手続きにも必要となります。

相続の道は戸籍謄本の取得から始まるのです。

相続④につづく、、、