任意後見とともに備えておきたいこと

こんにちは。
行政書士・社会福祉士よしかわ事務所の吉川昇平です。

今回は任意後見とともに備えておきたいことをご紹介したいと思います。

先日、テレビのバラエティー番組で終活の特集をやってました。

出演している芸能人が自分の終活について紹介したり、お墓選びや終の住処をさがすなどの内容でしたが、終始楽しい雰囲気でした。

「死ぬことを考えるなんて縁起が悪い」と思われていた時代もありましたが、現在は終活の認知度が上がり、そのイメージも変わってきているようです。

また、朝のワイドショーでも終活に関する特集をよく見かけます。
お墓見学ツアーなるものが人気だとか・・・

それだけ終活に関心を持っている人が多いということですよね。
高齢期を安心して過ごしたいという希望は誰もが持っていると思います。

ところで、「終活」という言葉は日常的に使われていますが、みなさんはどんな意味で使っていますか?

私は、財産の整理(相続の準備)や葬儀、お墓の準備など今のうちに決めておくことかなと思っていました。

一般社団法人終活カウンセラー協会のホームページには、

「終活とは人生のエンディングを考えることを通じて“自分”を見つめ、“今”をよりよく、自分らしく生きる活動」

と書いてありました。
今をよりよく、自分らしく生きるために終活があるのですね。
そして、死ぬことを考えることにより、今をどう生きるのかを考えることにつながるようです。

「これから残りの人生をどう生きるか」

趣味や生きがいをもって楽しく生きていくことを考えるのはもちろん大事なのですが、そのためには不安を解消するための対策も必要です。

高齢期に抱える不安として、お金のこと、健康のこと、介護のこと、葬儀・お墓のことなど様々です。

前回のコラムでお伝えした任意後見契約は、認知症による判断能力の低下に対する備えでしたね。これも一つの備えではありますが、任意後見契約だけではカバーできないこともあるんです。

たとえば、葬儀のことやお墓のことは任意後見契約ではカバーできません。

なぜなら、任意後見契約は本人が死亡してしまったら契約が終了するからです。

亡くなった後のことは親族に任せることになりますが、葬儀ができるような親族がいない場合や、いても任せられない場合には、「死後事務の委任契約」という方法があります。

死後事務の委任契約では、亡くなった後の親族などへの連絡や葬儀社の手配、役所の手続き、火葬、納骨、自宅の整理などが頼めます。

たとえば、葬式は誰が行い、葬儀費用は誰が支払うのかといったことも、決めておくことで相続トラブルを防ぐことができます。

また、最近の葬儀は、家族葬など簡素化されたり、お墓に関しては散骨や樹木葬への関心が高く、多様化しています。つまり、葬儀やお墓に関する考え方や希望も多様化しています。

自分の遺志を実現しようと思えば、誰がいくらの費用で何をするのかを、生前に決めておく必要があります。

「死後事務の委任契約」は葬儀や散骨、樹木葬など、自分の死後に生ずる事務を生前に委任しておく契約です。この契約は本人が死亡すると同時に始まります。

死後に他人に迷惑をかけたくない、死後のことも自分で決めておきたいという希望を実現するために「死後事務の委任契約書」という備えがあります。

この死後事務の委任契約と任意後見契約を同時に契約することによって、判断能力が低下してから亡くなった後までカバーすることが可能になります。

最近は、一人暮らしの高齢者が増えていて、孤独死のニュースを耳にすることが多くなってきました。また、遺体の引き取り手のない事例が増加し社会問題にもなっています。

親族がいても疎遠になっていたり、事情があって死後の面倒まで頼めないこともあります。

このような事例が増えていることから、死後事務の委任契約が注目されています。

以前のコラムでご紹介した「財産管理等委任契約」「任意後見契約」そして、今回ご紹介した「死後事務の委任契約」は同時に公正証書で作成できます。弊所では、ご希望をお聞きしながら契約書の原案をご提案いたします。その他終活に関連することも遠慮なくご相談下さい。

 

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