「後見制度支援信託」について

こんにちは。

介護・福祉の専門オフィス

行政書士・社会福祉士よしかわ事務所の吉川昇平です。

 

毎日暑い日が続きますね。

外に出ると直射日光が刺さる様な感じで照りつけてきます。

家の中に居ても、窓を開けると熱風が入ってきて一瞬で汗だくです。

クーラーがないと熱中症になりますね。

私は事務所でアイスクリームを食べながら仕事に勤しんでおります。

みなさまも水分補給を心がけて熱中症にはご注意くださいね。

 

 

今回のコラムは「後見制度支援信託」についてご紹介したいと思います。

 

これまでのコラムでもご紹介してきましたが、成年後見制度の下では、後見人は被後見人の財産を管理するという大きな権限が与えられます。

 

しかし、残念ながら一部の後見人が被後見人の財産を流用してしまうという事例が毎年発生しています。

 

そこで、成年後見人等による不正行為を未然に防止するための方策として、「後見制度支援信託」という制度があります。

 

後見制度支援信託とは、家庭裁判所が関与して、被後見人の財産を信託財産にして財産を守る制度です。

 

おおまかに説明すると、本人の財産のうち、日常生活の支払いをするのに必要十分な金銭を預貯金等として後見人が管理し、普段は使用しない多額の金銭を信託銀行等に信託するというしくみです。

 

信託財産については元本が保証されますし、預金保護制度の対象にもなります。

ただし、信託することのできる財産は、金銭に限られています。

 

後見制度支援信託を利用すると、信託財産の払戻しや追加、信託契約の解約をするにはあらかじめ家庭裁判所が発行する指示書が必要となります。

 

つまり、家庭裁判所のチェックが入ることになるので、後見人の不正行為を防ぐことができますし、他の関係者から見てもわかりやすく適正で安全な財産管理が可能になるんですね。

 

また、被後見人の財産は信託財産となり信託銀行等が管理することになりますので、財産管理をめぐる家族間のトラブルを防いだり、後見人が行う財産管理の負担を軽減する、といったメリットも期待できます。

 

この制度は成年後見と未成年後見において利用することができますが、保佐、補助及び任意後見では利用できないので注意が必要です。

 

今年の3月29日のコラムでお伝えしたとおり、これから家庭裁判所は親族を後見人に選任する方向で考えているようです。

 

親族後見人の負担軽減や不正防止の観点からも、今後さらに後見制度支援信託の活用が増えるのではないかと思います。

 

後見人の不正があると、ニュースで大きく取り上げられます。

一部の後見人の行為が成年後見制度自身の信頼を損ねています。

 

後見制度支援信託は、後見人の不正を未然に防ぎ、ご本人の財産を適切に管理するための一つの方法です。

 

このような取り組みを通して、成年後見制度の社会的な信用を高めていけたらいいと思います。そして、誰もが安心して使えるような制度になることを願いながら私も努力していきたいと思います。

 

成年後見制度に関するお悩みは、よしかわ事務所までどうぞお気軽にご相談ください。

 

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