改正貨物自動車運送事業法

奈良県王寺町(大阪梅田からJR大和路線で35分)で開業しています。

特定行政書士&申請取次行政書士&AFPの若林かずみです。

 

今回は、トラック運送業の健全な発達に向けた制度改正が行われたことを簡単に説明します(貨物自動車運送事業法の一部を改正する法律の概要)。

(参照:国土交通省HPhttps://www.mlit.go.jp/jidosha/jidosha_tk4_000084.html

 

1)改正の背景

 

この度、貨物自動車運送事業法が改正され、令和元年11月1日から施行されます。

この改正は、トラック運送業の健全な発達及びドライバーの労働条件の改善等を図るために行われました。というのも、令和6年度から働き方改革法施行により時間外労働の限度時間が設定されるため、トラック運送業の担い手であるドライバーの不足により物流が滞るのを防止する必要があることから、ドライバーの労働条件の改善が図られました。

 

トラック運送業においても、働き方改革が進められるということですね。

 

改正法の主なポイントは

➀規制の適正化

➁事業者が遵守すべき事項の明確化

➂荷主対策の深度化

➃標準的な運賃の告示制度の導入

 

以下で簡単に説明します。

 

2)改正の概要

 

Ⅰ)規制の適正化

 

ⅰ欠格期間の延長等

法令に違反した者等の参入を厳格化しました。

例えば、

〇欠格期間の延長(2年から5年に延長)

〇処分逃れのために自主廃業を行った者の参入制限

〇密接関係者(例:親会社など)が許可の取消処分を受けた者の参入制限

 

ⅱ)許可の際の基準の明確化

以下について、適切な計画・能力を有する者を要件として明確化しました。

〇安全性確保(車両の点検・整備の確実な実施等)

〇事業の継続遂行のための計画(十分な広さの車庫等)

〇事業の継続遂行のための経済的基礎(資金)  等

 

ⅲ)約款の認可基準の明確化

荷待時間、追加的な付帯業務等の見える化を図り、対価を伴わない役務の発生を防ぐために基準を明確化しました。

〇原則として運賃と料金とを分別して収受する。

※「運賃」=運送の対価。「料金」=運送以外のサービス等

 

Ⅱ)事業者が遵守すべき事項の明確化

 

ⅰ)輸送の安全に係る義務の明確化

〇事業用自動車の定期的な点検・整備の実施等

 

ⅱ)事業の適確な遂行のための遵守義務の新設

〇車庫の整備・管理

〇健康保険法等により納付義務を負う保険料等の納付

 

Ⅲ)荷主対策の深度化

 

※荷主とは、荷物の発送人のことです。

※荷主には元請事業者も含まれます。

 

トラックのドライバーの就労状況が改善されないと、過労運転や過積載による事故を誘発することとなるため、ドライバーの働き方改革や法令遵守が急務とされています。ただ、トラック事業者の努力だけでそのような改革を進めていくことは難しいことから、荷主の理解・協力のもとで働き方改革や法令遵守を進めていくことができるように、以下のような改正がされました。

 

ⅰ)荷主の配慮義務の新設

〇トラック事業者が法令遵守できるように、荷主の配慮義務が設けられました。

 

ⅱ)荷主勧告制度(既存)の強化

〇制度の対象に、貨物軽自動車運送事業者が追加されました。

〇荷主勧告を行った場合には、当該荷主の公表を行うことが明記されました。

 

ⅲ)国土交通大臣による荷主への働きかけ等の規定が新設(令和5年度末までの時限措置)

 

➀トラック事業者の違反原因となるおそれのある行為を荷主がしている疑いがある場合

  →ア)国土交通大臣が関係行政機関の長と、当該荷主の情報を共有

イ)国土交通大臣が、関係行政機関と協力して、荷主の理解を得るための働きかけ

➁荷主への疑いに相当な理由がある場合

  →国土交通大臣が、関係行政機関と協力して、要請

➂要請をしても、なお改善されない場合

  →国土交通大臣が、関係行政機関と協力して、勧告し、公表される。

     

 

荷主の行為が独占禁止法違反の疑いがある場合→公正取引委員会への通知

 

Ⅳ)標準的な運賃の告示制度の導入(令和5年度末までの時限措置)

 

〇トラック事業者が荷主に対する交渉力が弱い等の事情により、トラック事業者が必要なコストに見合った対価を収受しにくく、結果として、法令遵守しながらの持続的な運営ができないという現状がありました。そこで、トラック事業者が法令遵守し、ドライバーの労働条件の改善・事業の健全な運営を確保できるようになるために、国土交通大臣が標準的な運賃を定めて告示できることとなりました。

 

 

特定行政書士、申請取次行政書士(immigration lawyer

AFP、法務博士、コスモス成年後見サポートセンター会員、

若林かずみ(wakabayashi kazumi

和(yawaragi)行政書士事務所

http://kazumi-wakabayashi-nara.com/

tel; <a href=”tel:0745277711″>0745-27-7711</a>

fax:0745-32-7869

 ←前の記事    ページの先頭へ↑           次の記事→