農地転用8 同意書について

こんにちは。奈良県で開業している行政書士 武村直治です。

ここ数年、少し気になっていることがあります。

以前もお伝えしましたが、農地転用については、任意書類ではありますが隣接地が農地の場合は営農に支障がないかの確認の意味を込めての隣接同意書、また水利組合が存在する場合は水利組合長の同意書などに押印いただく必要がありますが(この同意書については存在しない市町村も多数あるようです)、これについて押印することにストレスを感じられる方が非常に多いように感じます。

誤解のないように先にお伝え致しますが、弊所としては同意書の意義は理解できるため、決して軽視しているわけではありません。毎案件同意書についてはかなり時間をかけており、その過大な負担からクタクタになることもよくあるのですが、手続上は必須書類ではないため添付しないといけない訳ではありません。また、ほとんどの農業委員会においては誠実に対応していただいており、私自身も担当者の方に助けられることが多く、感謝するケースも多々あります。

ただし、市町村の農業委員会からの行政指導により実質的には半強制的に取得しないといけないような状況になる地域が現在でもごく少数だと思いますが存在します。(これはこれで問題であり、令和4年に農林水産省からも通達が発出されています。こちらはまたの機会に。)

しかし、そもそも隣地者の方は、「なぜお隣の土地の事柄について私が押印しないといけないのか。お隣の土地なのだから好きに使えばよいではないか」、「転用について反対はないし営農にも問題ないが、同意書への押印まではしたくない。何かあったときに他隣地の方に私が同意したことを知られたくないため。」など、反対はないが転用についての押印には抵抗がある方が非常に多い印象です。中には、「押印してあげたいが、押印しなくても転用の許可がおりるならしない方向で農業委員会に事情を説明してもらえないか」などのお話しを頂くことも多々あります。

水利組合長(地域に水利組合がない場合は区長等)が押印したくない場合も同様で、適切な計画である場合は押印に反対する方はほとんどおらず、いじわるしたい訳ではありません。(水路に汚水が流入するなど押印しない理由があれば話は別です。あくまで常識的な範囲内での話です。)しかし、組合の代表である以上は何かあった場合に責任をとれない可能性を考えて押印したくない方もおられます。押印者はほとんどの場合は近隣の方です。ほとんど皆知り合い同士であり、また今後もその土地で生活していかなければならない以上、近隣との不和を引き起こす可能性があるなら押印したくない気持ちは痛いほど理解できます。区長や組合長から「こちらの都合で押印できなくて申し訳ない」と謝られることがあるのですが、それは役職に対し責任感を持って対応されていることの裏返しでもあり、その心情が理解できるためなんとなく私も申し訳ない気持ちになることがあります。

これらの事情につきよく理解されている農業委員会も多く、その場合は私も事前に上記の状況を正直に説明し理解・協力していただきながら進めて行くケースも多いのですが、一部地域ではその隣地者や各役員の心情を理解できない農業委員会もあるようです。農業委員会の事務局の方から、「なぜ反対していないのに同意の押印をいただけないのでしょうか」と聞かれたことがあるのですが、私からするとなぜその心情が理解できないのか不思議でなりませんでした。しかし繰り返しにはなりますが弊所でも同意書を軽視している訳ではありません。

突き詰めて考えると同意書に押印を頂きに伺うことの本質は各押印者の理解や了解であり、押印はその確認手段です。しかし、上記のような反対ではないが押印は勘弁してほしい、という場合は理由書にその旨を記載して提出するにも関わらず、また同意書自体は必須書類ではないにも関わらず、「とにかく押印にこだわってほしい」旨の意見である事務局の方もおられました。ひどい場合には、押印者の押印しない理由と、それを記載した私が作成した理由書の内容が一致しているにも関わらず、その文面と本人の話しとは「ニュアンスが少し違う」という理由で再度のアクションを求められたこともありました。

もちろん市町村の事務局の方についても、詳細な情報や同意書の押印書類が整っている方が良い事は十分理解できます。しかし同意書などにつき「合理性を欠いた理由で書類の提出を求めないこと」等の文言のある農林水産省からの通達を軽視し、ストレスを感じている相手にまで「お願い」という建前で再度押印を迫るやり方には大きな疑問を感じますし、申請者にも大きな負担がかかります。

いずれにしろ難しい問題ではあるでしょうが、これで良いのでしょうか。

これまでの5年間を振り返って ~武村編~

こんにちは。

奈良県で活動している武村直治行政書士事務所の武村直治です。

このブログは約5年前に開業した同期5人で始めたものですが、今回はこのブログを作成している皆で開業してからの5年間を振り返ることになっています。私のブログにそんなに興味のある方はいないと思うのですが、たまたま良い事も書くこともあるので気が向けば読んでいただければ幸いです。

開業して早5年が経ちましたが、この5年は嘘みたいなスピードで時間が過ぎました。この期間ほど多くの方に助けていただいたことはこれまでなかったような気がします。本当に感謝してもしきれません。

一方、自分の未熟さを痛感した5年でもありました。                  この仕事は期限に対してリカバリーがきかない業務も存在し、些細なミスが命取りになる可能性があります。また細かい部分については誰の責任になるのか開業当時の僕では適切に判断できないような部分もありました。

しかし開業当初はまず仕事を取ることにやや執着し、より重要である「その業務を完遂できるか」ということと「完遂できなかった時の責任」について、そんなつもりはありませんでしたが今思えば少し甘く考えていたかもしれません。                    とにかくずっとスポーツをやっていて体力にだけは自信があったため走れるところまで走ろうと考えて一生懸命やってきました。今思い返すと多少焦りもあったかもしれません。                          後に記載しますが、結果としてそれが大きな間違いでした。 

さて、ここからが本題ですが、開業してからこれまでの業務のやり方を振り返るとずいぶんと変化があった気がします。

これは今でも同じなのですが、開業当初から依頼者の方の期待値を少しでも上回るサービスを理想としていました。これについてはこれまでの仕事における経験から、また純粋に誰かの役に立ちたいと考えていたからです。                          こう書くと良い人と自分で言っているようで恥ずかしいですが本当です。

一方で業務については、当初はネットに記載されている料金相場を意識しすぎるあまり満足いくだけのサービスが出来ないこともあり、なんとなく中途半パンパな状態であったと思います。                                        今考えるとすごく矛盾しています。けれど自分の理想と現実の間でホントに悩んでました。

転機は開業から丸2年ほど経った頃でした。                       いろいろと他の活動もしていましたが、気が付けば仕事以外のことをする時間がなくなっていきます。                                      まだまだ未熟な自分にとってこれは本当にありがたいことでしたが、この時期はただ単に私の事務所の規模が小さく、また先輩の先生方に比べ慣れていない業務も多かったのだと思います。この頃はまだ業務に慣れていけば十分こなせるようになると考えていました。     また、自営業あるあるだと思いますが、いつ仕事がなくなるか分からないという恐怖感もあり忙しい状況ではありましたがいろんな業務を受任し続けました。               、、、しかし、これが後に大変な経験をする端緒となってしまいました。

その後しばらくして、ある時期を境に自分の見通しが甘かったことに気付きます。

確かに業務をこなすスピードは上がりましたが、書類の作成だけが仕事ではなく、また不慣れな業務も請けていたことから、予測しているほど業務を完了するまでの時間について短縮できませんでした。                                   さらに1年ほど経ち、完全に限界を超えていることに気付いた時にはすでに時遅しの状態でした。

いろんな業種の仕事を雑多に請けていた自分が悪いのですが、毎日のように電話一本でコロコロと状況が変わり、また確認を要する事項が発生し、そのあまりの多さに確認のため時間を割いているだけで一日が終わることもしばしばあり、複数案件の期限が同時に迫っていながら業務ができないような状況に陥りました。                        ちなみに覚えている限りでは、ピーク時で一週間続けて土日も含め毎日50件ほどの電話がありましたが、その9割ほど(体感です。)が事業の確認事項や変更事項、行政からのお願い(指導)、補正指示、許可を取得したい方からの質問、申請の進捗確認(期限に間に合うか)、あとは農地転用関係の隣地者からの状況確認と多少のクレームでした。                                友達からの電話が全然なかったのが残念でした。でもよく考えると友達は少ないので当然かもしれません。

、、、ここまでの状況になると、もう電話している人が誰で、どの案件のことなのかも備忘録を確認しないと全く把握できていませんでしたが、その備忘録も満足に作る時間はありませんでした。

そのうち、これまでは考えられなかったような細かなミスが目立つようになり、簡単な申請書の提出や補正すら対応できない状況が長期的に続きます。これは長期的な業務も請け負っていたため、年単位で続きました。

、、、心底恐怖を覚えました。

その後、人生で初めて過労により体を壊し、損害賠償や廃業を本気で覚悟しました。    体力にだけは自信があったため自分でもビックリでした。                         そして、行政書士としてこなせる業務量の限界について体感的に悟った時期でもありました。

これまではお客様のため、と深く考えずに行っていた小さな事柄についても、かかる時間と事務所の売上、また他の依頼者からの業務にかけられる時間等を考慮した結果、田舎で開業している私が本気で行政書士として生きていくのであれば真剣に考えないと事務所と私の体が持たず、結果として依頼者の方にご迷惑をおかけすると考えるようになりました。         選択を迫られた時期であったと思います。

そのため、やや時間に余裕ができた頃からは何が依頼者の方にとってベストなのかをずっと試行錯誤していました。

その結果、依頼者の方と行政書士との関係は一時的、スポット的なものではく長期的に信頼できるパートナーである方がお互いにとって望ましいとの結論に改めて至りました。

そのためには長期的に存続可能な事務所であり、事務所の知識レベルを向上させ、対応できる業務についても拡大し、求められればより利便性に富んだ事務所になっていける、いわゆる成長の可能性を残した事務所であることが結果的に依頼者の方のためになるとの結論に至りました。しっかり勉強する時間も作らなくてはいけません。

その為には料金体制の多少の見直しも必要でした。                   お恥ずかしい話しですが、限界まで働いた上での売上を確認して初めて、料金とかかる時間の不一致に気づきました。ネットに記載されている料金を全て一式仕事の料金だと勘違いし、安直に参考材料とし、具体的な業務量に対して必要な時間を正しく計算できていなかったのだと思います。今思えばこれでは仕事の質が下がって当然です。。

また、当初は経費分と自身の生活費分さえあれば何とかやっていけると考え、本来重要であるセキュリティや業務用OA機器などの設備やリース費用、人件費など、事務所をより安定的に稼働させ依頼者の方に安心していただくために必要な費用について甘く見ていたことも原因でした。

上記について甘かったということは、きっとこの当時の自分は「依頼者ファースト」のような表現を使いながらも無意識に心のどこかでは自分中心に物事を考えていたということなのだと思います。恥ずかしいことです。これでは継続的な関係を築くことが比較的多いこの業界において、遅かれ早かれいずれ信頼を失っていく事務所になると感じました。         また料金体制については、同種の業務を行っている先輩先生方にもご迷惑をおかけする可能性があると強く感じた業務もありました。

上記の経緯を経験した結果、弊所の規模を考えると低料金で最低限のサービスを他業種に渡って数多くこなすやり方では、結果的に申請書提出時の補正指示等の対応など、かえって許可取得まで時間がかかるケースも多々あるため、クライアントの方にご迷惑をおかけし信頼を失うリスクが高くなると考えるに至りました。

そのため、事務所の仕事を少し減らし一本の仕事にかける時間を増やし質を高め、ある程度専門業務を絞り、かつネットに記載されている料金だけに縛られその範囲で業務を受けることを再検討し、今に至ります。

とは言っても完全に上記のような理想の形で仕事ができているかと言えばそんなこともなく、様々な状況を考慮し受任させて頂いているのが現状ですが、これらを意識することにより以前より依頼者の方から喜んでいただけることが多くなりました。              これからもよりニーズに答えていける事務所として一生懸命努力していきたいと思います。

人口減少について

こんにちは。奈良県で開業している行政書士武村直治です。

以前からよく耳にする話題ではありますが、人口減少についてはここ数年、いろんな方にお会いする中で特によく話題になります。

私の地元では、15年ほど前に合併しその当時1学年4クラスほどであった小学校が、1学年1クラスになる日もそう遠くないのではとのこと。奈良県南部では集落まるごと無人のようになっている場所も増えてきているようです。過疎問題ですね。また、奈良市や、いわゆる中南和と言われる地域でも人口減少を実感される方も多い印象です。こちらはベッドタウンとして発展してきたことによる弊害でしょうか。間違っていたらすみません。なんとなく、純粋な少子化による問題だけではないような気もしています。

奈良県は元々ベッドタウンとして発展してきたため総人口の減少はある程度想定されてはいましたが、やはり減少を実感するようになると不安が大きくなります。奈良県は大阪へのアクセスが便利なのでどうしても大阪で就職する方が多くなり、その方面の地域が発達する傾向にあると思いますが、奈良県が好きな私としては、この地域で就職し生活する方がもっと増えれば良いなと思っています。

そうなると、どうしてもさらなる道路整備や企業や工場の誘致などの話しにもなると思いますので新たな問題が発生する可能性もありますが、予想値ではまだまだ県内人口は減少を続けるようですので、なんとか歯止めを、という思いでいます。とはいっても今の経済状況の中で大都市でなく地方で就職する方を増やすのは至難の業かもしれませんが(^_^;)

なんだか地方創生みたいな話しになってしまい私の仕事に関係ないようですが、人が増えれば商売の活性化にもつながり、私の事務所の活性化にもつながるため、期待したいと思います。

データ整備事業の断念

こんにちは。

奈良県で活動している、武村直治行政書士事務所の武村です。

今日、たまたまこんなニュースを見ました。自身の仕事にも関わる事柄な気がしたので、今日はこれについての雑感(?)を書きたいと思います。

デジタル庁が目玉政策の1つに据える、法人や国土など公的データの整備事業。先行したはずの「事業所」のデータ整備が突然、中断に追い込まれた。~中略~ 原因は、行政分野ごとに「事業所」の概念が多様すぎると判明したからだ。分野を超えて事業所データを統合し多目的に使う政府構想は、簡単には実現できないと判断した。

ちなみに法人や事業主などのデータ整備も中断のようです。

どうやら公的基礎情報を多目的に利用できるようにデータベース化を進めていたようです。様々な経緯はあるようですが、結果的に、使い道などの意味も含めて実務レベルでの成立が難しいという理由により中断、、、お蔵入りのようです。ただしかかった費用は825万円程度とのことで、大きな損害があったわけではないようでした。

たしかに法令上の文言一つとっても同じ言葉でも意味合いが違うということはあるでしょうから、それらの垣根を越えての統一は相当に難しいことなのでしょうね。また、他にも多くの課題があったのでしょう。

これを早めに撤退したことによる英断ととるか、見切り発車による政策の失敗ととるかは人それぞれ意見が分かれそうな感じがします。

ただ個人的には少し残念でした。

システム関連の専門的なことは分かりませんが、もし仮に公的データの統一基盤が完成し、必要な情報をそれぞれ個人や法人、行政機関などがスムーズに入手できるレベルで利用できるようになれば、それは本当に多くの方にとって効率性や利便性に大きく貢献すると考えており、またその必要性も感じているからです。

案件のお蔵入り自体は珍しいことでもないと思いますし、また完全に素人考えにはなってしまいますが、可能であるなら何兆円かかってもやってほしかったなと思います。

概念や解釈の見直しなどは現状ではやはり難しいのでしょうか。

世の中の仕組みは段々と複雑になり、それに伴い行政に絡む情報やシステムも多様化しているでしょう。

業務ソフトなども各自治体がそれぞれで開発や発注をしており、いわゆる乱立状態だというような記事を目にしたこともあります。それがどの程度かという話しは別として、こういった状況の中で統一的なデータベースを現実に作ることは今後50年100年先を考えても大きな意味があることだと感じました。

昔ある方に、作業や工程については複雑化するよりも、その質を担保したまま効率化することの方が高度であると教えられたことがありました。効率性や利便性というものも、安全性や正確性と同様のレベルで民だけでなく官も真剣に考えなければいけない時代になっているような気がします。

     特定都市河川 大和川について

こんにちは。奈良県で活動している行政書士の武村直治です。

私のコラムではここしばらく農地の転用についてお伝えしているのですが、今日はこれに関連する話題について書きたいと思います。

昨年末より奈良県内の大和川流域が特定都市河川に指定されました。

ちなみに特定都市河川とは、、、

  • 都市部を流れる河川
  • 流域において著しい浸水被害が発生、また発生するおそれがある
  • 市街化の進展によりダムや河道などの浸水被害の防止が困難である

これらの3要件を全て満たした場合に指定される河川のことです。

(その河川の流れる流域を河川流域と呼びます。)

大和川が上記特定都市河川に指定されたことにより、下記要件を満たす場合には新たな許可が必要となります。

【令和3年12月24日に奈良県内の大和川流域が特定都市河川に指定されたことに伴い、特定都市河川流域内の宅地等以外の土地において、次に掲げる行為(以下「雨水浸透阻害行為」という。)であって雨水の浸透を著しく妨げるおそれのある1,000平方メートル以上の規模以上のものを行う場合、知事の許可が必要になります。
  1.宅地等※にするために行う土地の形質の変更
  2.土地の舗装(コンクリート等の不浸透性の材料で土地を覆う行為)
  3.ゴルフ場、運動場その他これらに類する施設(雨水を排除するための排水施設を伴う     ものに限る)を新設し、又は増設する行為
  4.ローラーその他これに類する建設機械を用いて土地を締め固める行為(既に締め固められている土地において行われる行為を除く)
  奈良市域での行為については、奈良市長の許可が必要になります。】

どういう趣旨かをごく簡単に説明すると、上記1~4が行われる場合にはその各土地において排水量が増加するおそれがあり、それが水路を通り川等に流れ込みます。結果として大和川やその流域の浸水被害の可能性の増大につながるため、貯水池を作るなど対策を行い排水量を抑えてくださいということです。

これについては少し困っています。

奈良県の多くの市町村がこの特定都市河川流域に指定されており、ほとんどの案件で上記1~4に該当するため、1000㎡を超える土地について毎回検討する必要があります。

また許可の要否について判断に迷うような微妙な場合、モデルケースが少ないため担当課もやや手探りで対応している状況のようであり、詳細な基準についてはもう少し時間を要する模様です。

これについてはまた新たな情報があればお伝え致します。

2022年問題 ~生産緑地~

こんにちは。奈良県で活動している行政書士の武村です。

今日は生産緑地の指定解除についてお伝えしたいと思います。

生産緑地とは、「生産緑地法」に基づき定められ自治体により指定された、大都市圏の市街化調整区域に存在する500㎡以上の農地や山林のことです。

この生産緑地に指定された農地は、固定資産税の軽減や相続税の猶予などの税制優遇が受けられますが、30年間は農地や緑地として使用することが条件となるため、自由に転用や売買をすることができません。この期間、地主は農業を営むことが義務づけられたということです。

そして、ほとんどの生産緑地は1992年に指定されているため、そこから30年後の今年、2022年に一気に指定解除されることが予想されます。                 (指定解除については自動的に行われるものではなく、手続が必要です。)

多額の収益を見込める農地であれば話しは別かもしれませんが、耕作者の高齢化や跡継ぎ問題などが存在する現状では、農地の所有者の多くは売却を検討することが予想されます。その結果として宅地として転用された土地が大量に不動産市場に流れ込み、不動産価値が大幅に下がる可能性があり、これを2022年問題と呼びます。

この状況をチャンスとみるかピンチとみるかは、各々の立場や状況によるでしょう。       大都市圏での土地購入を検討している方や不動産事業者にとってはメリットではないでしょうか。                                        しかし当該生産緑地に指定されている農地の所有者の方からすれば、今後どのように自身の農地を扱うかを決定する上で重要な判断材料の1つになることは間違いありません。       また、現在は生産緑地の買取申出期限の延長を目的とする特定生産緑地制度という制度がありますので、ご検討頂くのも一つの手段かと思います。

今回は私の業務とはあまり関係のない内容になりましたが、このブログが誰かのお役に立てば幸いです。

      THE☆雑感  押印省略 

こんにちは。奈良を中心に活動している行政書士の武村直治です。

さて、今日は普段から何気なく思っている押印省略と現在の状況について述べてみたいと思います。

個人的には、開業してから最も嬉しかったことの1つに押印省略の推進があります。なぜならば、意味のない?(全てが意味のないものではありません。)押印作業によって作業の順序やタスクが増え、思ったように作業が進まない業務を何度も経験したからです。もちろん私の段取り不足に遠因があることも多いのですが。しかしこれは私や行政書士の業務だけでなく、多くの方が経験したことがあるのではないでしょうか。

菅元総理が所信表明で押印の原則廃止を掲げてから数ヶ月で、あっという間に各行政機関で押印廃止の実現に向け動き出しました。正直どうせ実現しないと諦めていたため、このスピードでの対応には驚いたとともに、やればあっという間にできるじゃないかと少し拍子抜けしました。日本もやればできるんですね。本当にビックリしました。まだ完全ではありませんが、現在もほとんどの行政機関が押印廃止を意識し、対応しようとしているように感じます。これはありがたいことです。

ただ、ここからは個人的な感想でしかありませんが、業種によってまだまだその対応にばらつきがあり、不十分だと感じます。

例えば建設業などにおいては、代理人が申請を行う場合は、私の知る限りでは委任状にも申請者の押印は必要なく、代理人の明示を適正に行うことにより書類提出できます。非常にスマートで整合性のとれた仕組みであり、素晴らしいと感じました。

しかし、私がアップしている今年のコラムのテーマである農地転用など他の業務においては、【委任状にだけ押印が必要】・【誓約書と委任状にだけ押印が必要】など、それだったらどうせ印鑑をもらいに伺うか郵送でもしなければいけないのだから意味ないじゃないかと思うことがよくあります。手間が変わらない場合も多々ありました。

押印の意義や起こりうるトラブルの検討等を考慮するとなかなか難しい問題ではあるため、効率ばかりを求めてはいけないことは承知していますが、押印省略の趣旨を考えると矛盾しています。

押印省略はそれ自体が目的ではありません。行政手続の簡素化や効率化、またそのための重要事項であるデジタル化の推進を図ることがおそらく主目的であり、そのための手段としての押印省略のはずです。どうせやるなら大胆に改革して、素晴らしい仕組みを作り上げていただけることを願います。私なんかが簡単に意見できる話しではないのでしょうが、難しいことを難しいといって先延ばしにしていてはどうせ何も変わりません。こんな小さなことすら実現できません。

また国や県に比べ、市町村ではやや意識が薄い、、、というよりも国や県の意図を理解できていないのではないかと感じる市町村もまれに存在します。まあ実際はそんなことはなく努力をして頂いているのでしょうが、外部の私達からすればその結果でしか判断できないため、そう感じることがあるということです。例えば市町村ルールのようですが、ある申請では複数人の押印の順番まで決まっている業務があり、未だに変わっておりません。こういった市町村は複数存在します。各関係者への忖度でも存在するのか、押印書略の趣旨を理解し本気で取り組んでいるようには感じられません。

これらは多大な時間のロスを生みます。私一人ならなんてことないのでしょうが、こういったロスが日本全体で毎日のように発生しているとすると、その経済的損失はどれほどのものでしょうか。ゾッとします。

この押印と非生産性については語りたいことがいろいろあるのですが、今日はこのあたりで終わりにしたいと思います。

農地転用7 公図と現況①

こんにちは。 奈良県で活動している行政書士の武村です。

今日は、現在の土地の形状と公図が違ってしまっている場合の農地転用についてお伝え致します。

公図はその土地のおおよその位置や形状を示すものとしてその大半が明治時代に作成されたものですが、その後に所有者が耕作等を行いやすくするために隣接農地の方との取り決めにより土地の形状を変更してしまう場合があるようです。その場合、それ以降は公図と現況の形状が異なることになりますが、これが農地転用を行う場合に大きな障害となります。

公図というものは本来、その土地の位置や区画を正確に特定するという目的のために作成されたものではありません。(このあたりはまた機会があれば次回以降に詳しくお伝え致します)

しかし土地の位置や形状を明らかにできる点で資料価値が高いため現在も利用されており、農地転用許可申請を行う際にも公図の原本は必須の添付書類であるため、公図と現況が違う場合にはまず地図訂正(公図の訂正)を行うか、または他の選択肢として現況を公図の形状に戻すよう指導されます。しかし理由があって現況を変更している以上、再び公図の形状のとおりに土地を戻すというのは現実的ではないため、ほとんどの場合は地図訂正を行うこととなります。

この場合は自身の土地だけでなく隣接者の土地にも影響を与えるためかなり専門的な手続きとなります。原則として、まずは土地家屋調査士などに依頼し上記地図訂正を行い、公図と現況を一致させてから農地転用を行うという業務の流れになります。

弊所ではこのようなケースにおいても農業委員会や各専門士業の先生方と協議しスムーズに対応させていただいております。このようなやや複雑なケースに該当し手続きに迷っておられる方がおられましたらぜひ一度ご相談ください。

農地転用6 隣地同意書

こんにちは。

奈良県で活動している行政書士の武村です。

今日は農地転用に係る隣地同意についてお伝えしたいと思います。

農地転用許可申請を行う場合、通常は隣地が農地である場合、その隣地者の同意書への署名押印を求められます。

この隣地同意書がややこしいのですが、法定必須の書類ではなく、申請のために取得しなければならない義務も存在しないため、同意が取れない=不許可 とはなりません。しかし場合によっては許可取得のための一定の判断材料にはなります。また、隣地者の方も押印しないデメリットが特に存在しないため、万が一を考え押印しない方も当然ながらおられますし、何度訪問してもお会いできない方もおられます。

つまり隣地同意書については「こうすればOK」・「これはダメ」などの絶対的な正解がないため、私も毎回悩みながら対応しています。

土地というのはその存在する場所や形状等により安全性や被害可能性などを個別具体的に判断しなければならない事柄であるため仕方がないのかもしれません。いくら法定必須書類ではないとしても、行政側や農業委員会もその立場から反対理由について全く無視することはできないことも理解する必要があります。

ただし、申請者においては当該土地を所有権に基づき自由に使用する権利をもつため、隣接者の方の的を得ない、また理由のない押印拒否や過剰な要求についてまで考慮する必要はありません。

上記のような状況を総合的に勘案し、今後の自身の土地の使用目的と隣接地関係者との調和を保つため、弊所ではこの隣地同意書についてはできる限り時間をかけて対応しています。

農地の活用を検討されている方がおられましたらお気軽にご相談ください。

農地転用5 転用後の計画

こんにちは。

奈良県で開業している行政書士の武村直治です。

今までは農地手続きについてのアウトラインについてお伝えしてきましたが、今回は農地を農地以外の用途で利用する場合(4条及び5条許可申請)の申請について、少し具体的な事柄についてお伝え致します。

4条や5条許可を取得するにあたり重要なことの一つとして挙げられるのが、転用後の計画です。これについては、許可申請を行う際に具体的な事柄を記載し申請を行う必要があります。

漠然と駐車場を作る、太陽光発電を行う、資材置き場にする、、、などではなく、計画平面図や断面図などを用いて自分以外の方が理解できるレベルの具体的説明が必要です。

→盛り土や切土は行うのか、またそれはどのくらい行うのか。

→排水については流出口は確保されているか、また汚水の発生はどうか。

→進入路はどこか、またどのように進入するのか。

→工事のための資金の確保はできているか

などケースによって必要となる疎明は様々ですが、農地の周辺はやはり農地である場合も多く、それら周辺の農地に被害が及ぶようなケースも想定し審査されます。

安全性などが確認できない場合などは当然ながら不許可の可能性もありえるため、転用後の用途については慎重に吟味し、具体的に計画されることをお勧め致します。

農地についての利用や申請について検討されている場合はお気軽にご相談ください。