建設業許可...ホントに必要か???

こんにちは。武村です。

 

もうじき平成29年度の行政書士試験ですね。

なぜか私も緊張します。

勉強していた時のトラウマですかね・・・

受験生の皆さん頑張って下さい。

 

さて、今日は少し抽象的な話しになります。

 

建設業に携わっている友人や後輩から

「建設業許可ってあるとそんなに有利になるの?」

という質問をたまに頂きます。

ただし彼らも皆、仕事を受注するに当たっての数字や要件の面からの

必要性は理解しています。

彼らの質問の真意はそういう事ではなくもっと感覚的なものです。

言い換えれば

 

「建設業許可があれば良いのは分かるが、別になくてもオレ

そんなに不自由ないけど」ということなのです。

 

確かに建設業許可がなくとも、軽微な工事は請け負えます。

軽微な工事と言っても500万円未満(建築一式は別要件)の工事なら

できるため、個人で仕事をするなら十分な金額だ、ということです。

 

もっともな意見です。

今日はこれに対し私個人の意見を書きたいと思います。

 

結論から言えば、それでも許可は取得した方が良いと思います。

なぜなら、許可業者に優先的に仕事を回す、もしくは無許可業者に

許可取得を勧める元請け業者が増えていると感じるからです。

 

これは一例ですが、ある事業者の方が

「今後は許可をもっている業者にしか仕事を回さない」と話されていました。

信用性、請負代金の制約、元請け業者の負うリスク...

総合的に考えられての事のようです。

あまり具体的な事は書けないのですが、建設業者の取り締まりの

強化など、時代の流れにより全てではありませんがこういう対応を

される元請け業者も増えている印象を受けます。

 

こうなると、許可を持っていない事業者の方は新しい取引先を

見つける事が今に比べて難しくなる可能性があります。

 

ちなみに許可を取得している業者数は多く、私の住んでいる奈良県

だけでも約5000社、大阪だと約36000社もあります。

この数字を聞いてその数の多さにビックリされる方もおられます。

もちろんその中でも電気や防水、解体、建築一式など業種が枝分かれする

訳ですが、それでも1業種あたりかなりの数になる事はお分かり

いただけると思います。

 

つまり、技術は誰にも負けないのに許可を持っていないというだけで

営業面に関して大きく後れをとるという考え方もある訳です。

 

そして、この先許可を取得している下請け業者に優先的に仕事を回す

流れが加速するという事は、この数千~数万社から優先的に仕事が

回される流れが加速するという事です。

なので私は建設業許可の取得はされた方が良いと思っています。

 

 

事業の発展のためには建設業の許可は欠かせません。

もし取得をお考えの事業者様がおられましたら、

一度お電話いただければ幸いです。

 

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公共工事と入札参加資格審査申請書2

行政書士 武村直治

行政書士の武村直治です。
さて、前回のコラムで「指名願いの書類作成は一筋縄ではないかないこともある」旨を書きましたが、今回はその理由について書きたく思います。

まず、申請書の様式が一律ではないんですね。
国交省様式というものがあってそれを元にしている官庁が多いのですが、なかには独自様式のものや少しカスタムしてあるものが多いのです。
なので一枚作成したらあとはコピーして他の官庁に代用を・・・というわけにもいかないこともしばしば。多くは様式をチェックしながら一枚一枚作成します。
初めて作成される方は「めんどくさいなぁ」と感じる方も多いのではないでしょうか。

添付書類などはほぼ一律なんですが、必ずしもそうでない場合もありこちらも要綱をチェックしないと見落とす可能性があります。

さらに1つの官庁でも市内業者や市外業者で定期受付の年度をずらしている官庁もあれば一律の官庁もあり、提出する際のファイルの色まで分ける必要がある場合もあります。

そして郵送しようと思って要綱を再度確認するとたまに持参のみ受付の官庁なんかもあります。
この辺は本当に細かいチェックが必要です。

最後にこれが最も重要なのですが、提出の期限も各官庁でバラバラです。
同じ官庁でも年度によって期限が変わることも多々あり、万が一、1日でも遅れると絶対に受け付けてくれません。
公共工事は金額の大きな工事も多く、入札に参加できないとなると大きな痛手です。

2~3官庁に申請する程度なら問題ないと思いますが、申請枚数が多くなると細かいミスをなくすためそれぞれの要綱をコピーして何度か読み返すことになります。
その場合、要綱や雛形をまとめる作業とそれを読む作業だけでもかなり時間をとられます。

指名願いは「正確性+期限」との勝負です。なのに作成には意外に時間と手間がかかる。
お忙しい事業者の皆様にとって多くの官庁に申請する場合はかなりの負担になることも考えられます。
私が言うのも変ですが、申請部数が多い場合は多少の費用がかかってもお近くの行政書士に一任してしまう方が事業者の皆様も空いた時間をお仕事にあてることができ有意義ではないかと個人的には考えております。

来年以降、指名願いの作成依頼をご検討されている事業者様がおられましたら当事務所に一度お電話いただけると幸いです。

 

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公共工事と入札参加資格審査申請書1

行政書士 武村直治

まだまだ暑い日が続きますが皆様いかがお過ごしでしょうか。

さて、今日は公共工事の入札に参加するために必要な手続き=入札参加資格審査申請書について書きたいと思います。

公共工事を受注するには入札参加資格審査申請書(指名願い)を提出し、その後入札に参加するという流れになります。
この指名願いは各官庁ごとに提出しなければなりません。
国の工事をしたい方は国に、奈良県の工事なら奈良県に、私の事務所がある高取町の工事がしたい方は高取町に、という具合ですね。
もし奈良県のすべての市町村に申請書を提出するとなると、それだけで40部もの申請書を作成する必要があります。
これ、かなり大変です。

申請受付後の有効期間は2年間です。しかし事業者の方が好きな時に申請できるわけではなく各官庁の募集の年(2年ごと)や期間に合わせて申請することになります 。これを定期受付といいます。
これに対し有効期間は1年になりますが定期受付をしていない年にも募集をかけたりします。
これを追加受付と呼びます。
つまり定期受付期間中に申請書を出し損ねた場合でも、次の定期受付までの1年間にはなりますが追加受付という形で入札参加の資格を得ることが出来るという事ですね。

そして募集をかける時期については各官庁によって様々なのですが、例えば奈良県の市町村なら毎月12月頃になると各官庁のホームページから要綱がダウンロードでき
・使用する申請書の様式
・添付書類
・提出先や受付時間
・提出する際のファイルの色
・期限
・提出の方法(持参or郵送)
…など他にも細かく申請書提出のための要件が記載されています。
これを見ながら書類を作成し、提出後に受領印をもらい手続き完了です!

と、これだけ見ると一見簡単に出来そうなんですが…しかしこれがなかなかややこしく一筋縄ではいきません。

なぜなのか?次回はこの理由について書きたいと思います。

公共工事と入札参加資格審査申請書2へ続く

 

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建設業の未来と社会保険

行政書士 武村直治

はじめまして。 行政書士の武村です。
奈良県の高取町で開業しております。
よろしくお願い致します。

さて、数年前から注目され、建設業を語る上では外せない話題の1つとして「社会保険未加入問題」があります ( 社会保険に関しては行政書士の取扱業務ではないのですが…)

国交省が平成24年に「平成29年までの5年で建設業の社会保険加入率を100%にする」という目標を掲げた事に端を発し、様々な取り組みが進められてきました。

そして今年が目標最終年の平成29年…社会保険の未加入問題はどういう状況になっているのかを見ていきたいと思います。
…が、その前にそもそもなぜ国交省がそんな事を言い出したのでしょうか?

主な理由は2つあります
1.建設業界の健全な未来の為
2.企業間の競争の公平化の為

もう少し分かりやすく見ていきましょう。

1についてですが、現在、建設業界は「若者の建設業離れ」とでもいうような状況になってしまっています。
建設業の未来を支えるべき20?30代の若者の建設業界への就職率が低く、また離職率も高い…これはなかなか深刻な問題で近い将来には「建設工事の需要はあるのに人手不足で工事ができない」ような状況になりえるとも言われています。

ではどんな手を使っても人さえ集めればよいのか?というとそれは間違いです。
仕事というものは人さえいれば成り立つ訳ではありません。キャリアを積んだ技術者の経験や技術を次の世代に正しく継承していかなければ高いレベルを維持する事は困難です。
建設業も同じで、未経験の私が「明日から建設業者として仕事をしよう」と思ってもおそらく何も出来ません。

つまり若者の就職率が低く離職率も高い、という事は人手不足により工事が出来ないだけでなく、ひいては徐々に建設業界の衰退を招くという事につながります。

コレはマズい…という事で国も包括的な対策を打ち出します。
そしてその施策の一環として
「建設業者の社会保険加入の推進」に取り組んだのです。(包括的な対策についてはまた後日)

つまり建設業界は比較的社会保険に未加入な企業が多いため従業員の将来の安定性が低く、若者からすると「ならば建設業界への就職はやめておこう」となるワケです。
若者からすると将来の人生設計に不安がある業界よりは少しでも安定を望める業界に行こう、と考えるのも当然のことでしょう。
国としては建設業界のこういった状況を打破するために社会保険の加入率を上げるという手を打ったという事ですね。

そして2についてですが
これは単純な話しです。
従業員の健康保険や厚生年金などといった社会保険は事業主も約半分負担します (労災は全額負担)
この事情主負担分を法定福利費と言いますが、この負担がなかなか大きいのです。
とすると、社会保険に未加入の企業はそれに加入している企業に比べ従業員1人あたりのコストが下がり、結果的に公共工事などで安く入札でき競争上有利になってしまうという矛盾が生じてしまいます。
ですので全ての企業に社会保険に加入してもらい皆同じ土俵で公平に競争しようという事です。
だから100%の加入率を目指すのです。

この施策には国もかなり力を入れていて、様々な取り組みを行ってきました。

例えば社会保険未加入ならば、
・経営事項審査の減点措置の拡大により事実上公共工事の落札が不利になる
・下請けの場合、元請けからの発注が来ない可能性がある
・「特段の理由がない限り」そもそも現場に入場できない
など多大な影響があり、実質的に仕事をする事ができなくなるような流れになっています。

ではこのような取り組みの結果、5年間で社会保険の加入率はどうなったのでしょうか?

企業別
平成23年 (平成24年当時の最新データ)84%
→平成28年 (最新データ) 96%
労働者別
平成23年 (平成24年当時の最新データ)57%
→平成28年 (最新データ) 76%
(国交省ホームページ参照)

未だ100%には達していませんが大きな成果をあげています。
施策も最終段階に入り、今後もまだ上がり続ける事が予想されます。

業界全体としての将来を見据えたこの施策により建設業の人材不足に歯止めがかかる一因となり、また従業員の方もより安心して働ける環境が実現できるなら本当に喜ばしい事だと思います。

しかし、下記の通り一方で大変な苦労をされる事業者の方もおられると思います。

【国交省においては各建設業界団体に対し法定福利費の見積もりを含めた標準見積書の書式の作成をするよう指導がされていますが (中略)下請け業者までは未だ福利厚生費分の原資となりうる金額が行き渡っていない様子が伺えます】
《参考URL》
株式会社内田洋行ITソリューションズ
お役立ちコラム

建設業界における人材確保に向けて

つまり、例えばですが社会保険加入により下請け業者の方の負担も増えるにも関わらず、元請業者から請負う工事の金額は今まで通り…というようなケースも稀にあるということでしょう。

これに関しては複雑な事情や状況もあると思いますので、私個人として意見するのは差し控えたく思います。
ただし、このような結果を受けて平成29年国交省においては、実態調査や残された課題の整理を行っていくとのことです。
今後も注目していきたいと思います。

現在の日本の建築物は安全性を高めニーズを満たす為により複雑かつ非常に高度になっています。その「進化」は多くの経験を積まれた優秀な技術者の方や、また事業者の方の多大なる努力なくしては語れません。
これからもさらなる発展のため、若い方が数多く建設業に携わり不安なく生活の基盤を作り、仕事においても先輩の技術者が積み上げた経験や技術がきちんと継承できるような、そんな業界であり続けることを切に望みます。

私たち行政書士は身近な相談窓口としてこのような情報に常にアンテナを張り、ご相談を受けた際にはベストなアドバイスと対応が出来るように日々努めております。
何かお困りのことがありましたらお気軽にご相談ください。
お待ちしております。

 

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