農地転用9

こんにちは。奈良県で開業している行政書士の武村です。                        今年もあっという間に過ぎてしまいましたが、皆様にとってどんな1年だったでしょうか。          

さて、今年は1年間ほとんど農地のことばかりお伝えしてきましたので、最後も農地関係で締めたいと思います。

農地を事業場等に転用するために売買(賃借)したが、その農地の一部に例えば古い建物等が存在するなどすでに農地でなく事業にも利用できない箇所があるため、(ただし公図上はその農地でない部分も含めて一筆の農地となっている)土地の一部だけを転用できないか、、、それともいっそ費用がかかっても必要部分のみを分筆した方がよいのだろうか、、、こんなことを検討するケースが稀にあります。つまり登記の地目と現在の土地状況が異なるということになりますが、これによって転用後の面積の利用率など許可を取得するための要件にも絡んでくることがあるので、重要な問題です。こんな場合はどのように対応すればよいのでしょう。 

農地転用許可申請は必ずしも分筆を行う必要はないようです。しかしこの場合、上記のように公図や謄本情報と転用を予定している現状の土地の面積に差異が生じるため、いずれにしろ転用する土地の求積図が必要になります。この作業には測量や精度の高い図面が必要になるため、分筆手続を行わなくても通常の農地転用に比べ大きな費用がかかり、結果的に分筆を行った場合と大差ない場合があります。                        

そのため、個人的には適切に分筆手続を行うことをお勧めします。                      行政は書面主義であり、また管轄する法令により手続の担当課も違います。土地の一部だけ農地転用の許可を取得しているが、公図などでは一体となっているような外形の場合、その土地や建物について将来的に他法令の対応が必要になる手続を行う場合に、うまく整合性が取れずその対応が煩わしくなる可能性があります。

また細かい話にはなりますが、一部転用の場合はその一部のみしか許可されていないため、それ以外の残りの土地については「農地」のまま。つまりある状況から土地全体の売買や賃貸借を行ったとしても許可がおりていない部分については名義も地目も変更できないため、将来的に事業場の拡大などでどうしても残りの土地も利用する必要がある場合などには、改めて農地転用許可申請など何らかの手続を改めて行う必要があります。  

土地関係手続についてはかなり時間を要するケースが多く、急いで事業を拡大する必要があるにも関わらず半年~1年経ってもまだその土地を利用できない、なんてことが当たり前のように起こりえます。多くの場合は、依頼者の方が予定している準備期間と、実際に必要となる準備期間に大きな差が出ます。この期間の損失を考慮すると、多少の費用が必要であっても適切に分筆を行うことをお勧めします。        

    

      農地転用8 同意書について

こんにちは。奈良県で開業している行政書士 武村直治です。

ここ数年、少し気になっていることがあります。

以前もお伝えしましたが、農地転用については、任意書類ではありますが隣接地が農地の場合は営農に支障がないかの確認の意味を込めての隣接同意書、また水利組合が存在する場合は水利組合長の同意書などに押印いただく必要がありますが(この同意書については存在しない市町村も多数あるようです)、これについて押印することにストレスを感じられる方が非常に多いように感じます。

誤解のないように先にお伝え致しますが、弊所としては同意書の意義は理解できるため、決して軽視しているわけではありません。毎案件同意書についてはかなり時間をかけており、その過大な負担からクタクタになることもよくあるのですが、手続上は必須書類ではないため添付しないといけない訳ではありません。また、ほとんどの農業委員会においては誠実に対応していただいており、私自身も担当者の方に助けられることが多く、感謝するケースも多々あります。

ただし、市町村の農業委員会からの行政指導により実質的には半強制的に取得しないといけないような状況になる地域が現在でもごく少数だと思いますが存在します。(これはこれで問題であり、令和4年に農林水産省からも通達が発出されています。こちらはまたの機会に。)

しかし、そもそも隣地者の方は、「なぜお隣の土地の事柄について私が押印しないといけないのか。お隣の土地なのだから好きに使えばよいではないか」、「転用について反対はないし営農にも問題ないが、同意書への押印まではしたくない。何かあったときに他隣地の方に私が同意したことを知られたくないため。」など、反対はないが転用についての押印には抵抗がある方が非常に多い印象です。中には、「押印してあげたいが、押印しなくても転用の許可がおりるならしない方向で農業委員会に事情を説明してもらえないか」などのお話しを頂くことも多々あります。

水利組合長(地域に水利組合がない場合は区長等)が押印したくない場合も同様で、適切な計画である場合は押印に反対する方はほとんどおらず、いじわるしたい訳ではありません。(水路に汚水が流入するなど押印しない理由があれば話は別です。あくまで常識的な範囲内での話です。)しかし、組合の代表である以上は何かあった場合に責任をとれない可能性を考えて押印したくない方もおられます。押印者はほとんどの場合は近隣の方です。ほとんど皆知り合い同士であり、また今後もその土地で生活していかなければならない以上、近隣との不和を引き起こす可能性があるなら押印したくない気持ちは痛いほど理解できます。区長や組合長から「こちらの都合で押印できなくて申し訳ない」と謝られることがあるのですが、それは役職に対し責任感を持って対応されていることの裏返しでもあり、その心情が理解できるためなんとなく私も申し訳ない気持ちになることがあります。

これらの事情につきよく理解されている農業委員会も多く、その場合は私も事前に上記の状況を正直に説明し理解・協力していただきながら進めて行くケースも多いのですが、一部地域ではその隣地者や各役員の心情を理解できない農業委員会もあるようです。農業委員会の事務局の方から、「なぜ反対していないのに同意の押印をいただけないのでしょうか」と聞かれたことがあるのですが、私からするとなぜその心情が理解できないのか不思議でなりませんでした。しかし繰り返しにはなりますが弊所でも同意書を軽視している訳ではありません。

突き詰めて考えると同意書に押印を頂きに伺うことの本質は各押印者の理解や了解であり、押印はその確認手段です。しかし、上記のような反対ではないが押印は勘弁してほしい、という場合は理由書にその旨を記載して提出するにも関わらず、また同意書自体は必須書類ではないにも関わらず、「とにかく押印にこだわってほしい」旨の意見である事務局の方もおられました。ひどい場合には、押印者の押印しない理由と、それを記載した私が作成した理由書の内容が一致しているにも関わらず、その文面と本人の話しとは「ニュアンスが少し違う」という理由で再度のアクションを求められたこともありました。

もちろん市町村の事務局の方についても、詳細な情報や同意書の押印書類が整っている方が良い事は十分理解できます。しかし同意書などにつき「合理性を欠いた理由で書類の提出を求めないこと」等の文言のある農林水産省からの通達を軽視し、ストレスを感じている相手にまで「お願い」という建前で再度押印を迫るやり方には大きな疑問を感じますし、申請者にも大きな負担がかかります。

いずれにしろ難しい問題ではあるでしょうが、これで良いのでしょうか。

     特定都市河川 大和川について

こんにちは。奈良県で活動している行政書士の武村直治です。

私のコラムではここしばらく農地の転用についてお伝えしているのですが、今日はこれに関連する話題について書きたいと思います。

昨年末より奈良県内の大和川流域が特定都市河川に指定されました。

ちなみに特定都市河川とは、、、

  • 都市部を流れる河川
  • 流域において著しい浸水被害が発生、また発生するおそれがある
  • 市街化の進展によりダムや河道などの浸水被害の防止が困難である

これらの3要件を全て満たした場合に指定される河川のことです。

(その河川の流れる流域を河川流域と呼びます。)

大和川が上記特定都市河川に指定されたことにより、下記要件を満たす場合には新たな許可が必要となります。

【令和3年12月24日に奈良県内の大和川流域が特定都市河川に指定されたことに伴い、特定都市河川流域内の宅地等以外の土地において、次に掲げる行為(以下「雨水浸透阻害行為」という。)であって雨水の浸透を著しく妨げるおそれのある1,000平方メートル以上の規模以上のものを行う場合、知事の許可が必要になります。
  1.宅地等※にするために行う土地の形質の変更
  2.土地の舗装(コンクリート等の不浸透性の材料で土地を覆う行為)
  3.ゴルフ場、運動場その他これらに類する施設(雨水を排除するための排水施設を伴う     ものに限る)を新設し、又は増設する行為
  4.ローラーその他これに類する建設機械を用いて土地を締め固める行為(既に締め固められている土地において行われる行為を除く)
  奈良市域での行為については、奈良市長の許可が必要になります。】

どういう趣旨かをごく簡単に説明すると、上記1~4が行われる場合にはその各土地において排水量が増加するおそれがあり、それが水路を通り川等に流れ込みます。結果として大和川やその流域の浸水被害の可能性の増大につながるため、貯水池を作るなど対策を行い排水量を抑えてくださいということです。

これについては少し困っています。

奈良県の多くの市町村がこの特定都市河川流域に指定されており、ほとんどの案件で上記1~4に該当するため、1000㎡を超える土地について毎回検討する必要があります。

また許可の要否について判断に迷うような微妙な場合、モデルケースが少ないため担当課もやや手探りで対応している状況のようであり、詳細な基準についてはもう少し時間を要する模様です。

これについてはまた新たな情報があればお伝え致します。

2022年問題 ~生産緑地~

こんにちは。奈良県で活動している行政書士の武村です。

今日は生産緑地の指定解除についてお伝えしたいと思います。

生産緑地とは、「生産緑地法」に基づき定められ自治体により指定された、大都市圏の市街化調整区域に存在する500㎡以上の農地や山林のことです。

この生産緑地に指定された農地は、固定資産税の軽減や相続税の猶予などの税制優遇が受けられますが、30年間は農地や緑地として使用することが条件となるため、自由に転用や売買をすることができません。この期間、地主は農業を営むことが義務づけられたということです。

そして、ほとんどの生産緑地は1992年に指定されているため、そこから30年後の今年、2022年に一気に指定解除されることが予想されます。                 (指定解除については自動的に行われるものではなく、手続が必要です。)

多額の収益を見込める農地であれば話しは別かもしれませんが、耕作者の高齢化や跡継ぎ問題などが存在する現状では、農地の所有者の多くは売却を検討することが予想されます。その結果として宅地として転用された土地が大量に不動産市場に流れ込み、不動産価値が大幅に下がる可能性があり、これを2022年問題と呼びます。

この状況をチャンスとみるかピンチとみるかは、各々の立場や状況によるでしょう。       大都市圏での土地購入を検討している方や不動産事業者にとってはメリットではないでしょうか。                                        しかし当該生産緑地に指定されている農地の所有者の方からすれば、今後どのように自身の農地を扱うかを決定する上で重要な判断材料の1つになることは間違いありません。       また、現在は生産緑地の買取申出期限の延長を目的とする特定生産緑地制度という制度がありますので、ご検討頂くのも一つの手段かと思います。

今回は私の業務とはあまり関係のない内容になりましたが、このブログが誰かのお役に立てば幸いです。

農地転用7 公図と現況①

こんにちは。 奈良県で活動している行政書士の武村です。

今日は、現在の土地の形状と公図が違ってしまっている場合の農地転用についてお伝え致します。

公図はその土地のおおよその位置や形状を示すものとしてその大半が明治時代に作成されたものですが、その後に所有者が耕作等を行いやすくするために隣接農地の方との取り決めにより土地の形状を変更してしまう場合があるようです。その場合、それ以降は公図と現況の形状が異なることになりますが、これが農地転用を行う場合に大きな障害となります。

公図というものは本来、その土地の位置や区画を正確に特定するという目的のために作成されたものではありません。(このあたりはまた機会があれば次回以降に詳しくお伝え致します)

しかし土地の位置や形状を明らかにできる点で資料価値が高いため現在も利用されており、農地転用許可申請を行う際にも公図の原本は必須の添付書類であるため、公図と現況が違う場合にはまず地図訂正(公図の訂正)を行うか、または他の選択肢として現況を公図の形状に戻すよう指導されます。しかし理由があって現況を変更している以上、再び公図の形状のとおりに土地を戻すというのは現実的ではないため、ほとんどの場合は地図訂正を行うこととなります。

この場合は自身の土地だけでなく隣接者の土地にも影響を与えるためかなり専門的な手続きとなります。原則として、まずは土地家屋調査士などに依頼し上記地図訂正を行い、公図と現況を一致させてから農地転用を行うという業務の流れになります。

弊所ではこのようなケースにおいても農業委員会や各専門士業の先生方と協議しスムーズに対応させていただいております。このようなやや複雑なケースに該当し手続きに迷っておられる方がおられましたらぜひ一度ご相談ください。

農地転用6 隣地同意書

こんにちは。

奈良県で活動している行政書士の武村です。

今日は農地転用に係る隣地同意についてお伝えしたいと思います。

農地転用許可申請を行う場合、通常は隣地が農地である場合、その隣地者の同意書への署名押印を求められます。

この隣地同意書がややこしいのですが、法定必須の書類ではなく、申請のために取得しなければならない義務も存在しないため、同意が取れない=不許可 とはなりません。しかし場合によっては許可取得のための一定の判断材料にはなります。また、隣地者の方も押印しないデメリットが特に存在しないため、万が一を考え押印しない方も当然ながらおられますし、何度訪問してもお会いできない方もおられます。

つまり隣地同意書については「こうすればOK」・「これはダメ」などの絶対的な正解がないため、私も毎回悩みながら対応しています。

土地というのはその存在する場所や形状等により安全性や被害可能性などを個別具体的に判断しなければならない事柄であるため仕方がないのかもしれません。いくら法定必須書類ではないとしても、行政側や農業委員会もその立場から反対理由について全く無視することはできないことも理解する必要があります。

ただし、申請者においては当該土地を所有権に基づき自由に使用する権利をもつため、隣接者の方の的を得ない、また理由のない押印拒否や過剰な要求についてまで考慮する必要はありません。

上記のような状況を総合的に勘案し、今後の自身の土地の使用目的と隣接地関係者との調和を保つため、弊所ではこの隣地同意書についてはできる限り時間をかけて対応しています。

農地の活用を検討されている方がおられましたらお気軽にご相談ください。

農地転用5 転用後の計画

こんにちは。

奈良県で開業している行政書士の武村直治です。

今までは農地手続きについてのアウトラインについてお伝えしてきましたが、今回は農地を農地以外の用途で利用する場合(4条及び5条許可申請)の申請について、少し具体的な事柄についてお伝え致します。

4条や5条許可を取得するにあたり重要なことの一つとして挙げられるのが、転用後の計画です。これについては、許可申請を行う際に具体的な事柄を記載し申請を行う必要があります。

漠然と駐車場を作る、太陽光発電を行う、資材置き場にする、、、などではなく、計画平面図や断面図などを用いて自分以外の方が理解できるレベルの具体的説明が必要です。

→盛り土や切土は行うのか、またそれはどのくらい行うのか。

→排水については流出口は確保されているか、また汚水の発生はどうか。

→進入路はどこか、またどのように進入するのか。

→工事のための資金の確保はできているか

などケースによって必要となる疎明は様々ですが、農地の周辺はやはり農地である場合も多く、それら周辺の農地に被害が及ぶようなケースも想定し審査されます。

安全性などが確認できない場合などは当然ながら不許可の可能性もありえるため、転用後の用途については慎重に吟味し、具体的に計画されることをお勧め致します。

農地についての利用や申請について検討されている場合はお気軽にご相談ください。

      農地転用4 ~農地転用の種類~

こんにちは。

奈良県で活動している行政書士の武村です。

今回は農地転用許可申請の種類についてお伝え致します。

農地転用と言っても、誰がするのか、何をするのかで申請の種類が違います。

つまり複数種類の申請があり、様式も違います。

以下にその種類について記載致します。

①農地法3条許可申請

  農地について売買等により所有権を移転し、または賃貸借その他の使用収益権を認定

  し、もしくは移転しようとする場合。

  ⇒簡潔に言うと、自身の農地を農地のままで他者に売買などを行うケースについて

   はこちらの申請を行います。

②農地法4条許可申請

  農地所有者が自ら農地以外に転用する場合。(自己転用)

  ⇒ご自身で農地を駐車場などに転用する場合はこちらの申請を行います。

③農地法5条許可申請

  農地について所有者以外が農地以外に転用する場合

  ⇒ご自身以外の方に田を売却し、その購入者が農地以外の目的でその土地を使用

  する場合はこちらの申請を行います。イメージとしては3条と4条のミックスです。

いかがでしょうか。

ややこしく感じますが、イメージをつかんでしまえば難しいものではありません。

しかし実際に農地転用の手続をしていると、関連する手続きを同時に行わなくてはならないようなケースも少なくありません。

一例として、その農地に農地法に基づく賃借権が設定されている場合は、上記申請と同時に解約の通知等の手続を行う必要があります。

農地について転用をお考えの方がおられましたらお気軽にご相談ください。

農地転用3 ~甲種農地・乙種農地~

こんにちは。

奈良県で活動している行政書士の武村です。

いよいよGWに入りますが、皆様どのようにお過ごしでしょうか。

とはいえ外出はしづらい状況ですので、私は今年はゆっくりと過ごしたいと思います。

さて、今日は甲種農地・乙種農地についてお伝えしたいと思います。

1.甲種農地

「甲種農地」とは、市街化調整区域内にある農業公共投資の対象となった8年以内の優良農地で、規模が20ha以上、高性能な農業機械による営農が可能な立地条件を備えた集団農地です。

2.乙種農地

「乙種農地」とは、市街化調整区域内の農地で、3種類に区分されています。

乙種第一種農地は、農業生産力の高い農地、土地改良事業、開拓事業等の農業に対する公共投資の対象となった農地、集団的に存在している農地。

乙種第二種農地は、街路が普遍的に配置されている農地、市町村役場・区役所等の公共施設から近距離にある地域内の農地。

乙種第三種農地は、土地区画整理事業施行地区内にある農地で都市的環境が整備されておらず、また近く整備される見込みのない区域内の農地を除くもの。

ちなみに甲種農地は原則として許可がおりませんが、下記のような状況であれば許可がおりる見込みはあります。

→農業用施設、農産物加工施設、土地収用認定施設など

→集落接続の住宅になる場合など

農地転用2 ~農用地区域~

こんにちは。

奈良県で活動している行政書士の武村直治です。

今日は農用地区域についてお伝えしたいと思います。

農地を農地以外の土地として利用したい場合、一般的に農地転用の許可申請が必要であることは広く認知されています。これは農地法による農地の制限に当たりますが、実は農地の利用を制限する法律は農地法だけではありません。

農地の利用を制限する法律の一つに「農振法」というものがあります。

これは、総合的に農業の振興を図るべき地域の整備に関し、必要な施策を計画的に推進するための措置を定めるための法律です。

つまり自身の農地だけでなく、その周辺地域も含め総合的な視点からその地域の農地に対して制限を行うための法律ですね。地域全体で農業を振興したいので特段の理由がない限り農地のままにしておいてくれということです。

この農用地区域の農地については原則許可がおりません。しかしやむを得ず農業以外の目的へ転用する必要がある場合は、「農振法」によって定められた要件を満たす場合に限り、その土地を農用地区域から外すことができます。(以下、除外という)

手続き的には、要件を満たし除外を行うことができれば、その後に農地転用許可申請を行う流れとなります。

しかしこの農用地区域の除外を行うためには5つの要件が存在し、それらを全て満たす必要があるのですが、このハードルがなかなか高いのです。もちろん個人の財産の利用を制限することを主目的とした法律ではないのですが、結果として、農地の所有者が自身の土地を自由に利用したい場合には、その目的を達成することが困難となる原因の一つとなります。以下にその5要件を簡単に記載致します。

※表現の方法は各官庁等で違いがあるかもしれませんが、意図は同じです

1.代替性

→その土地を農用地以外の用途に供することが必要であり、かつ農用地区域外に代替すべき土地がないこと

2.農業上の効率的かつ総合的な利用

→区域内のおける農用地の集団化、農作業の効率化その他土地の農業上の効率的かつ総合的な利用に支障を及ぼす恐れがないこと

3.効率的かつ安定的な農業経営への影響

→農用地区域内における農業を営むものに対する、農用地の利用集積に支障を及ぼす恐れがないこと

4.排水路等の施設機能

→農業用排水や農道や農用地等の保全または利用上必要な施設の有する機能に支障を及ぼすおそれがないこと

5.土地改良事業

→土地改良事業等を行った区域内の農地に該当する場合は、完了後8年以上経過していること

いかがでしょうか。

よく分かりにくいですね。そもそも農用地区域内において、自身が計画している土地の利用方法が上記要件を満たすのかの判断も難しいのではないか思います。

農用地区域においての土地の利用について、何かお困りのことがありましたらご相談いただければ幸いです。