会社法改正~取締役に関する規律の見直し~

奈良県王寺町で開業しています。

特定行政書士&申請取次行政書士&AFPの若林かずみです。

1月7日、2度目の緊急事態宣言が発令されましたね。

東京都の新規感染者数は初めて2,000人を超えたとのこと。

大阪・兵庫・京都の3府県も、9日には、国に緊急事態宣言発令を要請するとの報道もあります。

私としては、感染症対策をしながら、日々を粛々と過ごしていきたいと思います。

さて、前回のコラムに引き続いて、令和元年12月4日に成立し、同月11日に公布された会社法の一部を改正する法律について、簡単に説明いたします。

前回は、「株主総会に関する規律の見直し」について説明しましたので、

今回のコラムでは、「取締役等に関する規律の見直し」について、以下で簡単に説明いたします。

取締役等に関しては、主に3点の改正がありました。

(令和3年3月1日施行)

➀取締役の報酬に関する規律の見直し

②会社補償及び役員等のために締結される保険契約に関する規律の整備

③社外取締役の活用

では、これらについて、順にご説明いたします。

【取締役の報酬に関する規律の見直し】

現行会社法において、取締役の報酬等は、定款又は株主総会の決議によるものとされています(361条1項)。ただ、全取締役に対する報酬の総額の最高限度額を株主総会決議で定めれば、個々の取締役に対する支給額の配分は取締役会に一任できることから、取締役の報酬等の内容の決定手続き等の透明性は必ずしも確保されていません。

しかし、取締役の報酬等には、取締役が適切に職務を執行するためのインセンティブとしての機能があることから、報酬決定手続の透明性を向上させるべく、今回の改正が行われました。

また、株式会社が業績等に連動した報酬等を適正かつ円滑に取締役に付与することができるようにするための改正も行われました。

具体的には、以下になります。

〇上場会社等の取締役会は、定款の定めや株主総会の決議により取締役の個人別の報酬等の内容が具体的に定められない場合には、その内容についての決定方針を定めなければならないとしました。

〇取締役の報酬等として当該株式会社の株式又は新株予約権を付与しようとする場合には、定款又は株主総会の決議により、当該株式又は新株予約権の数の上限等を定めなければならないとしました。

〇上場会社が取締役の報酬等として株式の発行等をする場合には、金銭の払込み等を要しないこととしました。

【会社補償及び役員等のために締結される保険契約に関する規律の整備】

〇会社補償(※1)に関する規定が新たに設けられました。

※1:会社補償とは、役員等が、その職務の執行に関し、法令の規定に違反したことが疑われ、又は責任の追及に係る請求を受けたことに対処するために支出する費用や、第三者に生じた損害を賠償する責任を負う場合における損失の全部又は一部を、株式会社が当該役員等に対して補償することです。

会社補償に関しては、補償契約を締結するための手続や補償をすることができる範囲等が明確化されました。

〇役員等のために締結される保険契約(※2)に関する規定が新たに設けられました。

※2:いわゆる会社役員賠償責任保険(Ð&O保険)

役員等のために締結される保険契約に関しては、契約締結に必要な手続き等が明確化されました。

【社外取締役の活用】

〇監査役会設置会社の上場会社等において社外取締役の設置が義務付けられました(改正会社法327条の2)。

我が国の資本市場が信頼される環境を整備し、上場会社等については、社外取締役による監督が保証されているというメッセージを内外に発信するべく、上場会社等には社外取締役設置が義務付けられました。

〇社外取締役への業務執行の委託ができるようになりました(改正会社法348条の2第1項、第3項)。

MBO(マネジメントバイアウト)や親子会社間の取引のように、会社と取締役又は執行役との利益が相反するような状況にあるとき、その他取締役又は執行役が当該会社の業務を執行することにより会社の利益を損なうおそれがあるときには、当該会社は、その都度、取締役会の決議によって、当該会社の業務を執行することを社外取締役に委託することができることとするとともに、これにより委託された業務の執行をしたときであっても、社外取締役の要件を満たさないこととならないことが明確にされました。

これによって、社外取締役の有効活用を図るものです。

以上になります。

次回、私がコラムを担当する頃には、新型コロナウィルス感染症拡大が少しでも落ち着いていることを心よりお祈り申し上げます。

特定行政書士、申請取次行政書士(immigration lawyer)

AFP、法務博士、コスモス成年後見サポートセンター会員

若林かずみ(wakabayashi kazumi)

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会社法改正~株主総会資料の電子提供制度の創設等~

奈良県王寺町で開業しています。

特定行政書士&申請取次行政書士&AFPの若林かずみです。

新型コロナウィルス感染症の拡大が止まりませんね。

18日には、国内新規感染者が初めて2千人を超えました。

第二波よりも、大きな波が来ているようです。

そんな中、政府は、企業の株主総会について「完全なオンラインでの開催」を認める検討に入ったとの記事が目に入りました(2020年11月19日日本経済新聞夕刊)。

物理的な会場を設定して取締役や一部の株主が集まることを求める規定に特例をつくる方向とのことです。

このような改正の動きは、新型コロナウィルス感染症対策として限定的なオンライン開催の動きが広まった現状を踏まえてのものになります。

会社法というのは、時代が変わるにつれ、そのニーズに合わせて

他の法律に比べれば、比較的早いサイクルで改正が行われています。

さて、会社法の改正について取り上げてみようと思います。

令和元年12月4日に成立し、同月11日に交付された「会社法の一部を改正する法律(令和元年法律第70号)」について簡単に説明いたします。

この度の改正では、

●株主総会に関する規律の見直し

●取締役等に関する規律の見直し

などが行われました。

今回のコラムでは、「株主総会に関する規律の見直し」について

以下で簡単に説明いたします。

1 株主総会資料の電子提供制度の創設(令和4年中の施行予定)

この度の改正では、「株主総会資料の電子提供制度」が新たに設けられました。

株主総会資料の電子提供制度とは、株主総会の資料を自社のウェブサイトなどに掲載し、株主に対して、当該ウェブサイトのアドレスなどを書面により通知することによって、株主総会の資料を提供することができるものです。

この制度において、株主総会資料のウェブサイトへの掲載を開始する日は、

「株主総会の日の3週間前の日」又は「招集の通知を発した日」のいずれか早い日とされます。

この制度のメリット

〇株主会社は、印刷や郵送のために要する時間や費用を削減できる

〇印刷や郵送が不要となることによって、株主に対して、従来よりも早期に充実した内容の株主総会資料を提供できる

もっとも、インターネットを利用することが難しい株主もいるかと思われます。

そこで、このような株主の利益に配慮して

株主は、株式会社に対して、株主総会資料に記載すべき事項を記載した書面の交付を請求することができるとしています。

2 株主提案権の濫用的な行使を制限するための措置の整備(令和3年3月1日施行)

株主が同一の株主総会において提出することができる議案の数を10までとする上限が新たに設けられます。

3 終わりに

上記のように、今回の改正では、株主総会の運営の一層の適正化を図るべく新たな制度が創設されました。

次回のコラムでは、取締役等に関する規律の見直しに関する改正を取り上げたいと思います。

それでは、これから、益々寒くなりますが、皆様どうかご自愛ください。

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