「離婚は計画的に⑦。~離婚後の手続(その2)優先順位をつけよう!~」

奈良県王寺町で開業しています。

特定行政書士の若林かずみです。

前回に引き続いて、離婚後の諸手続について書いていきたいと思います。

 

【離婚後の手続きに優先順位をつけよう!】

 

前回は、主に戸籍の手続きについて説明しましたが、離婚後の手続きは、それだけではありません。

離婚後にすべき手続きというのは、嫌になるほど沢山あります。

手当たり次第にやっていると、二度手間になったりすることにもなりかねません。

ですので、離婚後の手続きについては

 

☆優先順位をつける!☆

 

これがポイントです。

 

では、どのような順番で進めていけばいいのでしょうか?

 

まず、①身分証明書として使えるもの(例えば、住民票、運転免許証、パスポート等)を最優先で行いましょう。

 

その次に、②期限などがある各市区町村への手続き(例えば、健康保険、年金、印鑑登録、児童手当、児童扶養手当などの申請等)を行うとよいでしょう。

例えば、離婚して子供を引き取り「ひとり親」となる方のうち、児童扶養手当や児童手当の申請を考えている方は、離婚届を提出するときに、これらの申請も同時に済ませるようにすると良いでしょう。申請が月ごとに受付されますので、申請が翌月になると、前月分が受け取れなくなってしまいますので、できるだけ早めに済ませるようにしましょう。

 

離婚した後は、それまで専業主婦だったという方でも仕事をされることも多いかと思いますので、平日の限られた時間内での手続きが必要なものは優先的に行っておく方がよいと思います。

 

【離婚後の主な手続き】

 

《健康保険・年金の手続き》

 

以下は、とても大まかな場合分けになりますが…

(詳細はFPでもある当事務所にご相談ください)。

 

〇自営業者が離婚した場合

  【結婚当時→健康保険;国民健康保険、年金;第1号被保険者】

   →自分自身が世帯主であった場合、特に種別などの変更は不要。

〇自営業者の配偶者が離婚した場合(自営業者である元配偶者が世帯主とする)

  【結婚当時→健康保険;国民健康保険、年金;第1号被保険者(※)】

   →元配偶者を世帯主とする国民健康保険から、自分を世帯主とする国民健康保険に加入し直すことになります。

   ※この場合、離婚後すぐに就職して会社員となった場合には、健康保険は勤務先の健康保険で、年金は第2号被保険者となります。

〇会社員が離婚した場合

  【結婚当時→健康保険:勤務先の健康保険、年金:第2号被保険者】

   →種別などの変更は不要

〇会社員の配偶者で、専業主婦(夫)が離婚した場合

  【結婚当時→健康保険;健康保険に加入している配偶者の被扶養者、

       年金;第3号被保険者】

   →すぐに就職して会社員となった場合

       健康保険;勤務先の健康保険、年金:第2号被保険者

   →それ以外の場合

       健康保険;国民健康保険、年金;第1号被保険者

   ※手続きの際には、元配偶者の扶養から外れたことを証明するための書類として、元配偶者の勤務先から「資格喪失証明書」又は「扶養削除証明書」を発行してもらってください。

   ※年金については、第3号被保険者でなくなった日から14日以内に手続きする必要があります。この期間内に手続きできず、未納期間が生じた場合には、将来受け取れる年金が少なくなる可能性もありますので、注意してください。ただし、2年以内の未納であれば、遡って納付できます(納付対象月の翌月末日から2年を経過すると時効になり納付できません)。ただし、平成27年10月から平成30年9月までの3年間に限って、過去5年分まで保険料を納めることもできる後納制度があります。

   (参照;日本年金機構HP「国民年金保険料未納期間のお知らせ(その他)」

http://www.nenkin.go.jp/oshirase/taisetu/2018/201802/2018021501.html

 

《保育園や学校の手続き》

 

 未就学児の子供を預ける先としては、幼稚園、保育園、認定こども園、認可保育園、幼保連携型認定こども園などがあります。

 地域によっては、待機児童が多く、すぐに入園・転園ができないこともありますので、早めに確認し、手続きも行いましょう。

 

 小中学校の子供がいる場合、引っ越しの1ケ月前には担任に転校することを連絡し、「在学証明書」と「教科用図書給付証明書」をもらいましょう。その後、引っ越し前の市区町村役場に転出届を出して、転出証明書を発行してもらって下さい。その転出証明書と転入届を引っ越し先の市区町村役場に提出することで、「転入学通知書」を発行してもらえます。これら「在学証明書」「教科用図書給付証明書」「転入学通知書」を指定された学校に提出することで手続きは完了となります。

 

《その他の手続き》

 

その他にも、離婚後に行うべき手続きは沢山あります。

以下のチェックリストを参考にしてみてください。

 

(1)   氏名・住所・本籍地の変更

  <公的な証明書>

    〇住民票の異動届、世帯主変更届→市区町村役場

    〇マイナンバーカード、通知カード→市区町村役場

    〇印鑑登録→市区町村役場

    〇運転免許証→運転免許センター

    〇パスポート→パスポートセンター

  <公共サービス>

    〇水道→水道局

    〇電気→電力会社

    〇ガス→ガス会社

    〇固定電話→電話会社

    〇携帯電話→携帯電話会社

    〇インターネット回線→プロバイダー

    〇定期券→鉄道会社、バス会社

    〇郵便(転送サービス)→郵便局

  <お金、自分名義の財産>

    〇預貯金口座→金融機関、郵便局

    〇有価証券→金融機関、発行会社

    〇保険→保険会社

    〇クレジットカード→カード会社

    〇所有不動産→法務局

    〇借家・賃貸マンション→大家・管理会社

    〇自動車(車検証)→運輸支局

    〇自転車(防犯登録)→自転車販売店

(2)   社会保険

〇健康保険・年金→会社員:勤務先

         自営業・パート・専業主婦(夫);市区町村役場

(3)   財産分与による財産

〇預貯金口座→金融機関、郵便局

〇有価証券→金融機関、発行会社

〇保険→保険会社

〇不動産→法務局

〇自動車(移転登録)→運輸支局

〇会員権→発行会社

(4)   子供関連

〇戸籍の移動→市区町村役場

〇児童手当→市区町村役場

〇児童扶養手当→市区町村役場

〇児童育成手当→市区町村役場

〇転校の手続き→学校

〇保育園・幼稚園→市区町村役場、幼稚園

〇健康保険の被扶養者登録→勤務先

〇子供名義の預貯金口座→金融機関、郵便局

     (引用;「イラストと図解でよくわかる!前向き離婚の教科書」153頁 監修:弁護士 森元みのり 「株式会社 日本文芸社」)

 

【必要な書類を事前に準備しよう!】

 

手続きに必要な書類は、ある程度、事前に準備しておくとよいと思います。

戸籍謄本(当該戸籍に記載された家族全員の原本を証明するもの)又は戸籍抄本(当該戸籍に記載された家族のうちの誰か一人だけなど、戸籍の一部分を抜き出したもの)については、複数枚準備しておくとよいでしょう。

 

また、離婚後の子供の姓の変更や入籍の際に、元配偶者の新しい戸籍謄本が必要となりますが、元配偶者に何度も頼むのは気分的にシンドイ…と思いますので、事前に3通程度まとめて頼んでおくとよいと思います。

 

【元配偶者から個人情報を守ろう】

 

やはり元配偶者が、あなたの個人情報を一番知っています。

もともとは信頼関係があって結婚した人なのに…。

あなたの個人情報を悪用するなんて考えたくもないところだと思います。

ですが、何事も念には念を入れる。

何かトラブルが起こってからでは遅いので、自己管理しましょう。

 

重要なところでは、

〇銀行のキャッシュカードやクレジットカード等の暗証番号を変更する。

〇印鑑を変更する。

 

上記の変更は早急にしておきましょう。

これらの変更を放置しておくと、元配偶者と子供の面会の時に、通帳と印鑑を持ち出されて現金を引き出されてしまった!”(-“”-)”

などというトラブルを避けることができます。

 

離婚をした以上、元配偶者とは他人。

用心に越したことはありません。

 

【終わりに】

 

離婚は、離婚するまでも離婚した後も本当に色々と大変です。

色々と悩むことも多いかと思いますので、何かあれば、気楽にご相談ください。

これで、いったん、離婚についてのコラムは終了とさせていただきたいと思います。

次回からは、違った内容のコラムを書いていきたいと思いますので、宜しくお願い致します。

 

 和(やわらぎ)行政書士事務所 

           特定行政書士 AFP 法務博士  若林 かずみ

 

参考文献①「これだけは知っておきたい 離婚のための準備と手続き」監修:弁護士 鈴木幸子/柳沢里美 「新星出版社」

参考文献②「イラストと図解でよくわかる!前向き離婚の教科書」 監修:弁護士 森元みのり 「株式会社 日本文芸社」

 

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