遺言書⑯ 〜遺言まとめ 中編〜

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こんにちは、相続手続きと遺言書作成を専門にしております行政書士の奥本です。

前回はちょっと一休みということで、ドラマの事例から遺言・相続について考えてみましたが、今回からはまた遺言のまとめの続きに入っていきたいと思います。

遺言書④では、まず『遺書と遺言書のちがい』についてお話ししました。
簡単に言うと、遺書は「人生最後の手紙」で、遺言書は「法的な効力を持つ文書」です。
故に遺言書に書かれている遺言者の意思は、亡くなった後に、原則として実現されることになります。

ただ、遺言書が法的な効力を持つためには、法律に則った方式に従うことが必要です。

遺言の方式には『特別方式』と『普通方式』があります。
特別方式の遺言は死の危険が迫っているような特殊な状況で行うもの、一方、普通方式の遺言は平時にいつでもすることができるもの、となります。

特別方式の遺言をすることができるのは以下の4つの場合です。
(1)死亡危急の場合
(2)伝染病で隔離されている場合
(3)在船者の場合
(4)船舶遭難の場合

(1)と(4)は死の危険が迫っているとき、(2)と(3)は隔離された状況にあるときに行う遺言の方式ですが、それぞれに証人になれる人やその人数などについて細かく規定されており、それらを守らねば無効となります。(詳しくは遺言書④をご覧ください)

なお、これらの特別方式の遺言は、普通方式で遺言をすることができない場合の臨時的なものなので、遺言者が『普通方式で遺言書を作成できるようになった時から6ヶ月間生きていたとき』は失効してしまいます。

以上のことからも分かるように、通常の場合は『普通方式で遺言をする』というのが基本です。つまり遺言とは、遺書のように死期が迫ってから書くものではなく、もっと早めに、落ち着いて準備をしておくものなのです。

ご自分で『将来に対する備えが必要だ』と感じたとしたら、まさにその時こそが書き時と言っていいでしょう。

それでは、遺言書で実現できることとはなんでしょうか?

遺言書に書くことで法的な拘束力を持つ事項を『法定遺言事項』と言います。

遺言書は何を書いてもその通りに執行されるというわけでは無く、民法などの法律で、あらかじめ定められた事項についてのみ、効力を発揮します。

法定遺言事項は、以下に挙げるような事項です。
①相続に関する事項
②財産の処分に関する事項
③身分に関する事項
④遺言執行に関する事項
⑤その他の事項

①は相続時の財産の分け方などを指定することです。これは遺言書の最も代表的な目的といえるでしょう。

②は遺贈(相続人以外の者に財産を贈ること)などについて、③は例えば子の認知などに関すること、④は遺言執行者の指定など、そして⑤は祭祀財産(墓地や仏壇など)を承継する者の指定など、です。

これら以外の事項、例えば家族に対する願いや思いなども遺言書に『付言事項』として記すことはできますが、法的な拘束力は持ちません。
ですが、『こういった考えでこのように財産を分けたい』という理由などを遺言書に書き記しておくことは、相続人の理解を得るための助けとなるでしょう。
(より詳しい内容は、遺言書⑤をご覧ください)

では次回は、普通方式の遺言について見ていきたいと思います。

 

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