遺言執行者③

こんにちは、相続手続きと遺言書の作成を専門にしております行政書士の奥本です。


それでは今回も引き続き、遺言執行者について詳しく見ていきましょう。


『法定遺言事項』(遺言書に記載されることにより法的な効果が発生する事項)には、遺言執行者によってのみ執行される事項と、遺言執行者がいる時は遺言執行者が、いない時には遺言執行者に代わって相続人により執行される任意的な事項があります。


遺言執行者によってのみ執行される法定遺言事項は、

①遺言による子の認知
②推定相続人の廃除、又は廃除の取消し
③一般財団法人設立のための定款作成、及び、財産の拠出(一般財団法人設立のために最低 300 万円の財産の拠出が必要)の履行

です。


①は、婚姻関係にない者との間に生まれた子を遺言により認知する場合ですが、この場合、 遺言執行者は就職(就任)した日から 10 日以内に認知の届出をしなければなりまん。

また、認知する子供が成人している場合は本人の承諾が必要で、胎児の場合は母親の承諾が必要な点も注意が必要です。


②の推定相続人の廃除とは、被相続人(遺言者)に対して虐待や重大な侮辱を与えた場合や、推定相続人に著しい非行があった場合などに家庭裁判所に申し立てて相続人から廃除することです。
逆に被相続人の生前にすでに廃除されていた場合、遺言で廃除を取り消すこともできます。


③は、被相続人が自分の財産を使って一般財団法人(財産の管理者が財産を運用し助成活動などを行う法人)を設立する場合です。
法人の設立のためには定款(法人の根本的なルールを定めた物)の作成が必要で、設立者による財産の拠出も必要となるため、これらの行為を遺言執行者が代わって行います。

一方、遺言執行者がいる時は遺言執行者が、いない時は相続人によって執行される任意的な法定遺言事項は、


①法定相続分を超える相続分の指定、特定の遺産を特定の相続人に相続させる遺言
②遺贈、及び、信託の設定
③祭祀主宰者(仏壇やお墓などの祭祀財産を引き継ぎ法要などを執り行う)の指定
④生命保険の受取人の指定・変更


です。

①は、相続した財産のうち法定相続分を超える部分については登記・登録その他の対抗要件を備えなければ第三者に対抗することはできないと民法で定められているからです。

特定の遺産を特定の相続人に相続させる場合(例えば自宅などの不動産や自動車)も登記・ 登録などの執行行為が遺言の実現のために不可欠であるため、遺言執行者または相続人がそれらの行為を執行する必要があります。


②遺言書に遺贈(被相続人の死亡後に財産を譲ること)する旨が記載されていた場合は、 遺言執行者または相続人が遺贈義務者となります。(遺言執行者がいる場合は、遺言執行者のみが遺贈の履行を行うことができる)

信託(例:信託銀行等に財産を託し、残される妻に毎月 20 万円ずつ給付する)の設定に関しては、遺言書で遺言執行者が指定されている場合は遺言執行者が、指定されていなければ相続人がそれを実現するための行為を執行することになります。


③は、祭祀主宰者を定める方法として、
・被相続人の指定により
・慣習に従って
・(慣習が明らかでない場合は)家庭裁判所が定めると民法第 897 条にあるため、祭祀主宰者が決まらない場合は家庭裁判所に遺言執行者もしくは相続人が申し出る必要があるからです。


④は、生命保険会社に対する手続きを、遺言執行者もしくは相続人がしなければならないということです。


なお、遺言執行者がいる場合には、相続人は相続財産の処分、その他遺言の執行を妨げる行為をする事はできません。
これに違反して行った相続人の行為は無効となります。


さて、遺言執行者の選任手続きについては民法第 1010 条で以下のように定められていま す。

“遺言執行者がいない時、又はなくなった時は、家庭裁判所は利害関係人の請求によって、これを選任することができる。“

遺言執行者が【いない時】というのは、


①遺言者が遺言執行者を指定しなかった時
②遺言執行者の指定の委託を受けた者が委託を辞退した時
③指定された遺言執行者が欠格者である時
④指定された遺言執行者が就職を承諾しない時


です。


また【なくなった時】というのは、死亡、失踪、解任、辞任、資格喪失などの事由が遺言執行者に生じた時です。

このような場合に利害関係人(相続人や受遺者など)は、家庭裁判所に遺言執行者の選任の申し立てを行います。
(※行政書士は裁判所に提出する書類を作成する事はできませんので、ここでは簡単に説明するに留めます。)


管轄は、相続開始地(遺言者の最後の住所地)にある家庭裁判所です。
必要な書類は、申立書、遺言執行者の候補者の住民票、遺言者の戸籍(除籍)謄本、遺言書の写し等です。


ちなみに、遺言執行者によってのみ執行される法定遺言事項が遺言書に記載されているにも関わらず、遺言執行者がいない又はなくなった場合には、家庭裁判所に遺言執行者を選任してもらわなければならないということになります。


次回に続きます。

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行政書士奥本雅史事務所

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スタートアップと法の重要性

奈良県奈良市の行政書士ユウ法務事務所の木村友紀です。

時間がたつのは早いですね~。もうあっという間に2023年の2月ということで、毎年恒例の確定申告の時期が迫っているわけですけれども今年はどうなることやら。。一応昨年はふるさと納税をしていますので、入力もかなり終わってはいるんですけれど、今月末にどれだけ進めることができるかが勝負といえそうですね!

さて、本日はビジネスをスタートさせるときの法の意義について少しお話をしたいと考えております。ビジネスを始める時には色々なやり方があるのですが、特にベンチャーとしてビジネスを始めるという場合には、スタートアップという言葉が使用されることがあります。この場合、なるべく早く事業を軌道に乗せるためには初期のころから集中して仕事に取り組むことが重要となります。

起業支援

スタートアップのマーケティング

実は私もそれなりにスタートアップについては知識があるのですが、最近のスタートアップの研究は本当に進んでいます。このスタートアップのあり方はマーケティングの手法とも密接に結びついていまして、昔であれば大規模な投資をしてうまくいかなくて結果的に破産ということも少なくなかったようですが、今ならきちんと手法さえ選べばそれほど大きなリスクになることもなく、堅実な事業を進めることができる世の中になっていますので、しっかりとスタートアップについて学べば失敗のリスクも抑えることができます。

スタートアップの周辺の法

行政書士起業支援

その方法の一つにサービスのプロトタイプを用いて、マーケットのニーズを検証するというものがあります。これを行うことによって、いち早く顧客よりフィードバックを受け取り、より速くPDCAサイクルを回すことができるようになるのです。ただし、その際には法律についても理解しなければいけません。そうでないと色々と後で面倒なトラブルに巻き込まれてしまうのですが、一般的なビジネス書にはそうした注意書きはあまり書いていないのです。だからこれから新しくビジネスをローンチしたいという方は、周辺の法的な側面でも問題がないかどうかを整えることをおすすめしたいと思います。

以上の点につきまして、何かご不明な点等がございましたらお気軽にお問い合わせ頂ければと思います。

奈良県の行政書士

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事務所名 行政書士ユウ法務事務所
所在地 【〒630-8131 奈良県奈良市大森町43-2 ホワイトパレス21 401号】
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FAX  【0742-90-1344】
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身寄りのない方の老後の備えについて

こんにちは。
行政書士・社会福祉士よしかわ事務所の吉川です。

全国的に最強寒波の影響が出ていますが、みなさま無事でお過ごしでしょうか。
私の周りでは、大きな混乱はなく、何とか無事に過ごしています。

やはり、最強寒波と言われるだけあって寒いですね。

体調管理や移動中の事故などには十分お気を付けください。

また、コロナウィルスもまだまだ油断なりません。
寒さ対策に加えて感染対策も引き続き頑張っていきましょう。

さて、昨年末に厚生労働省が 2022 年度の介護支援専門員(ケアマネジャー)試験の結果を
公表しました。

今年度は 54,406 人が受験し、10,328 人が合格。
合格率は 19.0%で、前回より 4.3 ポイント低かったようです。

受験者数は前回より 116 人増えて、3 年連続で増加しています。
一方で、合格者数は前回と比べてマイナス 2334 人で、4 年ぶりに減少しました。

合格率は、毎年上下していますが、10%台~20%前半で推移しています。
試験難易度は、私が受験した 15 年ほど前に比べるとかなり難しくなっています。

日本の超高齢社会において、介護保険サービスの中核を担うケアマネジャー(以下、ケアマ
ネ)は、本当に貴重な存在です。

高齢者の生活課題を解決していく場面では、行政書士との
連携も増えていくのではないかと思います。

実際に、ケアマネさんからの相談で、身寄りのない方のご相談が増えています。

例えば、成年後見制度、相続、死後事務などは、
備えとして準備したい方や、すでに必要な状況の方もおられます。

そこで、今回は「死後事務」について、お伝えしたいと思います。

人が亡くなると、役所への届け出や葬儀などの手続きが必要になります。
親族がいない方は、亡くなった後の手続きを誰かに依頼することになります。この手段とし
て「死後事務委任契約」があります。

死後に必要となる手続きなどは以下の通りです。

 死亡届の提出 

 火葬・埋葬許可証の受け取り


 年金の停止手続き


 健康保険証など役所への返納手続き


 水道光熱費などの支払い・停止の手続き


 家賃・介護施設・入院医療費などの支払い


 賃貸住宅・介護施設の退去手続き など

【葬儀支援として】
 葬儀社との打ち合わせ
 火葬・埋葬許可証の提出
 寺社手配
 喪主代行
 火葬立ち合い、拾骨 など

このように、死後に様々な手続きがあります。
親族がいない場合は、誰に頼むのか決めておくために死後事務委任契約があります。

以前のコラムで、任意後見契約のご説明をしましたが、任意後見人は、ご本人が亡くなった
時点で任意後見契約が終了します。

ですから、任意後見契約と同時に死後事務委任契約も結んでおくと安心です。

また、任意後見契約や死後事務委任契約は、信頼できる人にお願いすることになると思いま
すので、もし遺言を残すなら、遺言執行者も同一の人にお願いすることで、確実に自分の意
思を実現してもらえます。

近年では、死後の SNS のアカウント削除などもクローズアップされたり、葬儀や埋葬の在
り方、考え方も多様になっています。

今後は、時代に合わせて死後事務の内容も多様化して
いくのではないでしょうか。

自分らしく生きることと同時に、自分らしい最期を考えて準備される方も増えています。

ケアマネさんが支援されている、親族がいないご利用者のお悩みにも、行政書士がお手伝い
できることがあると思います。

気軽にお近くの行政書士へご相談ください。

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農地転用9

こんにちは。奈良県で開業している行政書士の武村です。                        今年もあっという間に過ぎてしまいましたが、皆様にとってどんな1年だったでしょうか。          

さて、今年は1年間ほとんど農地のことばかりお伝えしてきましたので、最後も農地関係で締めたいと思います。

農地を事業場等に転用するために売買(賃借)したが、その農地の一部に例えば古い建物等が存在するなどすでに農地でなく事業にも利用できない箇所があるため、(ただし公図上はその農地でない部分も含めて一筆の農地となっている)土地の一部だけを転用できないか、、、それともいっそ費用がかかっても必要部分のみを分筆した方がよいのだろうか、、、こんなことを検討するケースが稀にあります。つまり登記の地目と現在の土地状況が異なるということになりますが、これによって転用後の面積の利用率など許可を取得するための要件にも絡んでくることがあるので、重要な問題です。こんな場合はどのように対応すればよいのでしょう。 

農地転用許可申請は必ずしも分筆を行う必要はないようです。しかしこの場合、上記のように公図や謄本情報と転用を予定している現状の土地の面積に差異が生じるため、いずれにしろ転用する土地の求積図が必要になります。この作業には測量や精度の高い図面が必要になるため、分筆手続を行わなくても通常の農地転用に比べ大きな費用がかかり、結果的に分筆を行った場合と大差ない場合があります。                        

そのため、個人的には適切に分筆手続を行うことをお勧めします。                      行政は書面主義であり、また管轄する法令により手続の担当課も違います。土地の一部だけ農地転用の許可を取得しているが、公図などでは一体となっているような外形の場合、その土地や建物について将来的に他法令の対応が必要になる手続を行う場合に、うまく整合性が取れずその対応が煩わしくなる可能性があります。

また細かい話にはなりますが、一部転用の場合はその一部のみしか許可されていないため、それ以外の残りの土地については「農地」のまま。つまりある状況から土地全体の売買や賃貸借を行ったとしても許可がおりていない部分については名義も地目も変更できないため、将来的に事業場の拡大などでどうしても残りの土地も利用する必要がある場合などには、改めて農地転用許可申請など何らかの手続を改めて行う必要があります。  

土地関係手続についてはかなり時間を要するケースが多く、急いで事業を拡大する必要があるにも関わらず半年~1年経ってもまだその土地を利用できない、なんてことが当たり前のように起こりえます。多くの場合は、依頼者の方が予定している準備期間と、実際に必要となる準備期間に大きな差が出ます。この期間の損失を考慮すると、多少の費用が必要であっても適切に分筆を行うことをお勧めします。        

    

まだまだマイナンバーカード代理申請やってます!

奈良県王寺町で開業しています。

特定行政書士&申請取次行政書士&AFPの若林かずみです。

さて、前回のコラムで、「マイナポイントを獲得するためには9月末までのマイナンバーカードの申請が必要」と書かせていただいていましたが、その後、期限が延長され、12月末までにマイナンバーカードの申請をすればよいことになりました。

というわけで…。

奈良県行政書士会としても、引き続き、マイナンバーカード代理申請の相談会を開催することになりました。

先日、11月14日(月)から18日(金)までは、河合町役場において、マイナンバーカード代理申請相談会を開催いたしました。

今回の相談会では、5日間で、総申請件数208件(うち、行政書士による代理申請は185件)となり、約1.2%の取得率上昇となりました。

マイナンバーカードの取得率が地方交付税にも影響することとなっていることから、とても喜んでいただきました。

今のところ、下記のとおり、河合町と広陵町でマイナンバーカード代理申請相談会を実施予定です。

【河合町】

河合町ワクチン接種会場でのマイナンバーカード代理申請相談会

12月17日(土)13時~16時

12月25日(日)9時~12時、13時~16時

【広陵町】

広陵町役場1階にて

12月1日(木)~23日(金)の平日のみ10時~13時

また、この他に、マイナンバーカード相談員となっている行政書士が、個人的にマイナンバーカードの代理申請をさせていただいています。

今後、健康保険証がマイナンバーカードと連携し、紙の健康保険証が廃止の方向であることから、マイナンバーカードを申請しようと考えている方もいらっしゃると思います。

このようなニーズがあるけれども、自宅から役所まで行けない、又は、スマホをお持ちでないなどの事情でマイナンバーカードの申請ができない方は沢山いらっしゃるように思います。先日は、ご病気で歩行困難な方のご自宅まで出張させていただき、マイナンバーカードを代理申請させていただきました。

出張申請については、どこまで対応できるか分かりませんが、お悩みでしたら、一度、ご相談下さい。

特定行政書士、申請取次行政書士(immigration lawyer)

AFP、法務博士、コスモス成年後見サポートセンター会員

若林かずみ(wakabayashi kazumi)

和(yawaragi)行政書士事務所

http://kazumi-wakabayashi-nara.com/

tel; <a href=”tel:0745277711″>0745-27-7711</a>

fax:0745-32-7869

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遺言執行者②

こんにちは、相続手続きと遺言書の作成支援を専門にしております行政書士奥本雅史事務所の奥本です。

遺言執行者についての具体的な内容に入る前に、平成30年に約40年ぶりの大改正が行われた民法の遺言執行者に係る部分が、旧法と比べてどのように変わったか軽くさらっておきましょう。

『遺言執行者は、その任務を開始したときは、遅滞なく、遺言の内容を相続人に通知しなければならない。』(第1007条2項)

遺言執行者がいる場合、相続人は遺贈(被相続人が亡くなった後、財産を第三者等に譲ること)を履行する義務を負いません。ということは、相続人が全く知らないうちに財産が遺贈されてしまうケースも考えられます。

このような事態を防ぐために、相続人への通知を義務化する規定が新たに設けられました。

『遺言執行者は、遺言の内容を実現するため、相続財産の管理その他遺言の執行に必要な一切の行為をする権利義務を有する。』(第1012条1項)

太字の部分が追記されました。これは遺言執行者が、あくまでも遺言者の意思(遺言の内容)を実現することが責務であることを明示しており、それらの行為が必ずしも相続人の利益のために行われるものではないということが明らかにされました。

『遺言執行者がその権限内において遺言執行者であることを示してした行為は、相続人に対して直接にその効力を生ずる。』(第1015条)

旧法の第1015条では単に『遺言執行者は、相続人の代理人とみなす。』となっていました。この改正条文では、たとえ遺言者の意思と相続人の利益が対立する場合などにおいても、遺言執行者は遺言者の意思を実現するために行動すれば足りるということが示されています。

『遺言執行者がある場合には、遺贈の履行は、遺言執行者のみが行うことができる。』(第1012条2項)


この条文が新設されたのは、受遺者(遺贈を受ける相手)による履行請求の相手方を明確にするためです。遺言執行者がいる場合には遺言執行者に、遺言執行者がいない場合は相続人を相手方として遺贈の履行を請求するという旨が明文化されました。

『遺言執行者は、自己の責任で第三者にその任務を負わせることができる。(以下省略)』(第1016条1項)


旧法では『遺言執行者は、やむを得ない事由が無ければ、第三者にその任務を負わせることができない。』とされ、復代理人の選任(代理人である遺言執行者が、さらに代理人を選ぶこと)が制限されていました。

しかし実際には相続人が遺言執行者に指定されるケースも多く、専門的な法律知識が必要な事案などに対処することが難しいという場合もありました。そこで弁護士等の専門家に一任することができるよう条項の見直しが図られました。

このように、民法改正で遺言執行者に関する法律も様々な変更が加えられています。次回からはもちろん新法に基づいて解説をしていきますが、これら改正の背景を知っておいていただくと、より興味を持っていただけるのではないかと思います。

ではまた次回。

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行政書士奥本雅史事務所

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個人情報保護法改正のポイントについて④

奈良県行政書士

奈良県奈良市の行政書士ユウ法務事務所の木村友紀です。

芸術の秋ですね。皆さんは芸術を楽しまれていますか?今、奈良県ではちょうど奈良県みんなでたのしむ大芸術祭(みん芸)が開催されています。私も最近事務所近くでコンサートを聴きに行ったり、読書の秋ということで、定期的に本を読んだりして秋を楽しんでいます。とにかく今年の夏は非常に暑かったので、ようやく秋の兆しが見え始めて助かりました。

↓ 前回の内容をお忘れの方はコチラ

個人情報保護法改正のポイントについて③

アプリを公開するためには?

行政書士起業支援

最近は多くの人がガラケーではなく、スマートフォンやiPhoneをお持ちの方が少なくないのではないでしょうか。スマートフォンやiPhoneの場合には、画面上に小さいアイコンをタッチして様々な機能を楽しむことができます。これはアプリケーションと呼ばれるものです。このアプリケーションというものは、専用のダウンロードアプリを通じてインストールするものです。これはスマートフォンとiPhoneとで名称が異なります。スマートフォンはAndroid携帯というのが正式な名称で、こちらはGoogle Playというアプリを通じて新規のアプリをダウンロードします。これに対して、iPhoneの場合には、Apple Storeというアプリを通じて新規のアプリをダウンロードします。これは利用者側の視点ですが、その一方で、アプリを運営する事業者の視点としては、アプリを開発して、そのアプリを公開してユーザーに使用してもらうためには、Google PlayとApple Storeより審査をしてもらわないといけないのです。

AndroidのGoogle PlayとiOSのApple Storeの違いとは?

起業支援
行政書士ユウ法務事務所起業支援業務のページへ↑

それでは、AndroidとiPhoneのアプリの公開にはどのような違いがあるのかといいますと、Google Playの場合には、コンテンツの内容・知的所有権・機能性・虚偽や悪意がないこと・収益化と広告の観点よりチェックされます。Apple Storeの場合には、審査基準として安全性・パフォーマンス・ビジネスモデル・デザイン・法的事項についてチェックされます。ただし、Apple Storeの場合には、プライバシーポリシーについて比較的厳しくチェックされるようです。特にプライバシーポリシーについては、適当にどこかのひな型をコピペすればよいなどのアドバイスをされる方もいらっしゃるようですが、そういうことをされてもApple Storeの審査には通りにくくなっていますので、個別具体的なポリシーに修正するか、どうしても思いつかなければ、専門家にご相談されてもよろしいのではないでしょうか。

以上の点につきまして、何かご不明な点等がございましたらお気軽にお問い合わせ頂ければと思います。

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      農地転用8 同意書について

こんにちは。奈良県で開業している行政書士 武村直治です。

ここ数年、少し気になっていることがあります。

以前もお伝えしましたが、農地転用については、任意書類ではありますが隣接地が農地の場合は営農に支障がないかの確認の意味を込めての隣接同意書、また水利組合が存在する場合は水利組合長の同意書などに押印いただく必要がありますが(この同意書については存在しない市町村も多数あるようです)、これについて押印することにストレスを感じられる方が非常に多いように感じます。

誤解のないように先にお伝え致しますが、弊所としては同意書の意義は理解できるため、決して軽視しているわけではありません。毎案件同意書についてはかなり時間をかけており、その過大な負担からクタクタになることもよくあるのですが、手続上は必須書類ではないため添付しないといけない訳ではありません。また、ほとんどの農業委員会においては誠実に対応していただいており、私自身も担当者の方に助けられることが多く、感謝するケースも多々あります。

ただし、市町村の農業委員会からの行政指導により実質的には半強制的に取得しないといけないような状況になる地域が現在でもごく少数だと思いますが存在します。(これはこれで問題であり、令和4年に農林水産省からも通達が発出されています。こちらはまたの機会に。)

しかし、そもそも隣地者の方は、「なぜお隣の土地の事柄について私が押印しないといけないのか。お隣の土地なのだから好きに使えばよいではないか」、「転用について反対はないし営農にも問題ないが、同意書への押印まではしたくない。何かあったときに他隣地の方に私が同意したことを知られたくないため。」など、反対はないが転用についての押印には抵抗がある方が非常に多い印象です。中には、「押印してあげたいが、押印しなくても転用の許可がおりるならしない方向で農業委員会に事情を説明してもらえないか」などのお話しを頂くことも多々あります。

水利組合長(地域に水利組合がない場合は区長等)が押印したくない場合も同様で、適切な計画である場合は押印に反対する方はほとんどおらず、いじわるしたい訳ではありません。(水路に汚水が流入するなど押印しない理由があれば話は別です。あくまで常識的な範囲内での話です。)しかし、組合の代表である以上は何かあった場合に責任をとれない可能性を考えて押印したくない方もおられます。押印者はほとんどの場合は近隣の方です。ほとんど皆知り合い同士であり、また今後もその土地で生活していかなければならない以上、近隣との不和を引き起こす可能性があるなら押印したくない気持ちは痛いほど理解できます。区長や組合長から「こちらの都合で押印できなくて申し訳ない」と謝られることがあるのですが、それは役職に対し責任感を持って対応されていることの裏返しでもあり、その心情が理解できるためなんとなく私も申し訳ない気持ちになることがあります。

これらの事情につきよく理解されている農業委員会も多く、その場合は私も事前に上記の状況を正直に説明し理解・協力していただきながら進めて行くケースも多いのですが、一部地域ではその隣地者や各役員の心情を理解できない農業委員会もあるようです。農業委員会の事務局の方から、「なぜ反対していないのに同意の押印をいただけないのでしょうか」と聞かれたことがあるのですが、私からするとなぜその心情が理解できないのか不思議でなりませんでした。しかし繰り返しにはなりますが弊所でも同意書を軽視している訳ではありません。

突き詰めて考えると同意書に押印を頂きに伺うことの本質は各押印者の理解や了解であり、押印はその確認手段です。しかし、上記のような反対ではないが押印は勘弁してほしい、という場合は理由書にその旨を記載して提出するにも関わらず、また同意書自体は必須書類ではないにも関わらず、「とにかく押印にこだわってほしい」旨の意見である事務局の方もおられました。ひどい場合には、押印者の押印しない理由と、それを記載した私が作成した理由書の内容が一致しているにも関わらず、その文面と本人の話しとは「ニュアンスが少し違う」という理由で再度のアクションを求められたこともありました。

もちろん市町村の事務局の方についても、詳細な情報や同意書の押印書類が整っている方が良い事は十分理解できます。しかし同意書などにつき「合理性を欠いた理由で書類の提出を求めないこと」等の文言のある農林水産省からの通達を軽視し、ストレスを感じている相手にまで「お願い」という建前で再度押印を迫るやり方には大きな疑問を感じますし、申請者にも大きな負担がかかります。

いずれにしろ難しい問題ではあるでしょうが、これで良いのでしょうか。

マイナポイントの獲得のためには9月末までにカードの申請を!

奈良県王寺町で開業しています。

特定行政書士&申請取次行政書士&AFPの若林かずみです。

さて、以前のコラムで、奈良県行政書士会では、総務省から委託を受けて、マイナンバーカード代理申請事業として相談会を開催することを書かせていただきました。

奈良県行政書士会は、総務省からの委託事業については、令和3年度末で完了したことから、その後は事業を実施しておりませんでしたが、この度、再始動する運びとなりました。

まず、9月2日には、天理市との間で「天理市における奈良県行政書士会が行うマイナンバーカード代理申請事業・代理受領に関する協定」を締結いたしました。

これは、天理市民の皆様のご要望があった場合に、出張でマイナンバーカードの代理申請や代理受領を行う奈良県行政書士会の独自事業です。

そして、現在、奈良県行政書士会では、マイナンバーカード代理申請相談員となっている行政書士が顧客などに個別に代理申請業務をさせていただいています。

また、ご存じの方も多いと思いますが、マイナポイントを取得するためには、今月9月末までにマイナンバーカードを申請する必要があります。というわけで、まだカードを申請していない人に対して、QRコード付きの申請書が送られているようですし、また、各自治体としても、カード申請を促すための広報などを実施しているところです。

マイナポイントを獲得するためには、マイナンバーカード取得後、さらに煩雑な手続きが必要となりますが、自治体の窓口でも対応していただくことができます。

マイナンバーカード作成で5000ポイント、健康保険証と連携すると7500ポイント、銀行口座と連携すると7500ポイント、合計すると2万ポイント。現金にすると2万円分のポイントが取得できます。

やはり、ここ数日、9月末のマイナポイントの締切に向けて、マイナンバーカードを申請する方が増えており、自治体窓口も少しずつ混雑してきているようです。

というわけで、今後、奈良県行政書士会では、自治体窓口付近で行政書士がマイナンバーカードの代理申請を行う予定です。

このように、行政書士は、行政手続きのプロ集団として、社会貢献事業を行っております。

奈良県内の自治体のマイナンバーカード窓口の近くで、もしかしたら、奈良県行政書士会のノボリが上がっているかもしれません。もし、見かけたら、社会貢献のために頑張っている先生方ですので、是非、心の中でエールを送ってあげて下さい!

特定行政書士、申請取次行政書士(immigration lawyer)

AFP、法務博士、コスモス成年後見サポートセンター会員

若林かずみ(wakabayashi kazumi)

和(yawaragi)行政書士事務所

http://kazumi-wakabayashi-nara.com/

tel; <a href=”tel:0745277711″>0745-27-7711</a>

fax:0745-32-7869

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遺言執行者①

こんにちは、相続手続きと遺言書の作成支援を専門にしております行政書士奥本雅史事務所の奥本です。

遺言書を作成する本人(遺言者)が全文を自筆する自筆証書遺言書の保管制度については、これまでのシリーズで詳しく述べてきました。(コラム『自筆証書遺言書の保管』はこちらから)

今回からは、実際に自筆証書遺言書を自分で作成する場合の注意点についてお話しをしていきたいと思います。

一般にあまり馴染みがなく、何のために必要なのかが理解しにくいと思われるのが『遺言執行者』です。

遺言執行者というのは「遺言の内容を実現するため、相続財産の管理その他遺言の執行に必要な一切の行為をする権利義務を有する(民法第1012条第1項)」者で、読んで字のごとく遺言を執行する者ということです。

ご自分で遺言書を作成される場合には、本文中で遺言執行者を指定するようにしていただく事をお勧めします。

これは、相続人間の意見の不一致や、一部の相続人の非協力などにより遺言の公正な執行に支障が出るような場合にも、遺言執行者に遺言の執行を委ねることにより適正かつ迅速な執行が期待できるからです。

遺言執行者になれるのは、未成年者と破産した者以外の者です。

また、遺言執行者は複数人指定することもできますし、行政書士法人などの法人を指定することも可能です。

一般的には相続人の誰かを指定するというケースが最も多いようです。

ですが相続人を指定した場合は、遺言執行者であると同時に財産を相続する当事者でもあるため、他の相続人との間において利害の対立が生じる可能性も否めません。

このようなケースが予見される場合には、法律の専門家など第三者を遺言執行者に指定し、争いを未然に防ぐよう努めることが望ましいと言えます。

「遺言執行者さえ指定しておけば・・・」という一例を挙げておきます。

A子さんはご主人が亡くなられましたが、ご主人は生前にご自分で書かれた遺言書を残しておられました。A子さん夫妻には子どもがおらず、相続人はA子さんとご主人の3人のご兄弟、合計4人です。

遺言書には『妻に自宅を譲渡する』と書かれており、遺言執行者に関する記述はありませんでした。

この場合の問題点は、

①「相続させる」ではなく「譲渡する」と書かれていた点

② 遺言執行者の指定が無かった点

の2つです。

まず①ですが、遺言書は強力な法的拘束力を持つ文書であるため文言の取扱いにも非常に厳しく「相続させる」となっていれば特定財産承継遺言(特定の財産を特定の相続人に相続させる遺言)としてA子さんが単独で自宅の名義変更を行うことができるのですが、「譲渡する」と書かれていたことで遺贈(被相続人の死後に財産を無償で譲ること)とみなされ、相続人全員が登記義務者になるため共同申請をすることが必要になってしまいました。

ご主人のご兄弟もすでに高齢だったこともあって、実印の押印を渋る方がいたり、戸籍謄本や印鑑登録証明書の取得などに多大な時間を費やしました。

しかしたとえ「譲渡する」となっていても、②遺言執行者が指定されてさえいれば遺言執行者が登記義務者となり、受遺者(遺贈を受ける者、この場合A子さん)を登記権利者として2人で登記申請を完了させることができたのです。

このように、せっかく遺言書を準備していても、ほんの些細なミスによって狙い通りの効果を発揮することが出来ず、悔しい思いをすることがあります。

もちろん独学で作成された遺言書が全く無駄になるという訳では無いのですが、どうせなら専門家からアドバイスを受けてしっかりした内容の遺言書を作成する方が、結果大きな安心に繋がると思います。

遺言書を作成しようと思い立ったら、まずは気軽にご相談ください。

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行政書士奥本雅史事務所

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