こんにちは。
奈良県で活動している行政書士の武村直治です。
今日は農用地区域についてお伝えしたいと思います。
農地を農地以外の土地として利用したい場合、一般的に農地転用の許可申請が必要であることは広く認知されています。これは農地法による農地の制限に当たりますが、実は農地の利用を制限する法律は農地法だけではありません。
農地の利用を制限する法律の一つに「農振法」というものがあります。
これは、総合的に農業の振興を図るべき地域の整備に関し、必要な施策を計画的に推進するための措置を定めるための法律です。
つまり自身の農地だけでなく、その周辺地域も含め総合的な視点からその地域の農地に対して制限を行うための法律ですね。地域全体で農業を振興したいので特段の理由がない限り農地のままにしておいてくれということです。
この農用地区域の農地については原則許可がおりません。しかしやむを得ず農業以外の目的へ転用する必要がある場合は、「農振法」によって定められた要件を満たす場合に限り、その土地を農用地区域から外すことができます。(以下、除外という)
手続き的には、要件を満たし除外を行うことができれば、その後に農地転用許可申請を行う流れとなります。
しかしこの農用地区域の除外を行うためには5つの要件が存在し、それらを全て満たす必要があるのですが、このハードルがなかなか高いのです。もちろん個人の財産の利用を制限することを主目的とした法律ではないのですが、結果として、農地の所有者が自身の土地を自由に利用したい場合には、その目的を達成することが困難となる原因の一つとなります。以下にその5要件を簡単に記載致します。
※表現の方法は各官庁等で違いがあるかもしれませんが、意図は同じです
1.代替性
→その土地を農用地以外の用途に供することが必要であり、かつ農用地区域外に代替すべき土地がないこと
2.農業上の効率的かつ総合的な利用
→区域内のおける農用地の集団化、農作業の効率化その他土地の農業上の効率的かつ総合的な利用に支障を及ぼす恐れがないこと
3.効率的かつ安定的な農業経営への影響
→農用地区域内における農業を営むものに対する、農用地の利用集積に支障を及ぼす恐れがないこと
4.排水路等の施設機能
→農業用排水や農道や農用地等の保全または利用上必要な施設の有する機能に支障を及ぼすおそれがないこと
5.土地改良事業
→土地改良事業等を行った区域内の農地に該当する場合は、完了後8年以上経過していること
いかがでしょうか。
よく分かりにくいですね。そもそも農用地区域内において、自身が計画している土地の利用方法が上記要件を満たすのかの判断も難しいのではないか思います。
農用地区域においての土地の利用について、何かお困りのことがありましたらご相談いただければ幸いです。