成年後見人の任期について

こんにちは。

行政書士・社会福祉士よしかわ事務所の吉川昇平です。

年末のせわしい時期ですが、みなさまいかがお過ごしでしょうか。

オミクロン株の市中感染が確認され、今後の感染状況が気になるこの頃です。

穏やかな新年を迎えられることを願うばかりです。

さて、今回は成年後見人の任期についてお伝えしたいと思います。

成年後見人、保佐人、補助人(以下、成年後見人等)に就任する際は、家庭裁判所より選任されます。(成年後見人制度の申立てから選任までの流れは以前のコラムでお伝えしておりますので、よろしければご参照ください。)

そして、選任された時には任期が定められることはなく、後見人等は原則として本人がお亡くなりになるまで、その責務を果たさなければなりません。

また、何年間続けなければならないといった決まりもなく、成年後見人等に選任された後に辞任する場合には、家庭裁判所の許可を得なければなりません。そのためには「正当な理由」が必要です。

例えば「海外への転勤」や「自分自身の体調が悪く、続けることが難しい」などの明確な理由があれば、「正当な理由」として認められるケースもあります。

ただし、「報酬が見込めない」とか「被後見人と性格が合わない」等の理由では正当な理由として認められません。

つまり、成年後見人等側の身勝手な理由での辞任は認められていないのです。

したがって、原則として、ご本人(被後見人等)が精神上の障がい等から回復し、判断能力を取り戻すか、もしくはお亡くなりになるまでの間、成年後見人等としての責務を担うことになります。

例えば、不動産の処分や相続などが必要で、そのために申立てをして、当初の目的を達したからと言って、任期が終了するものではありません。

成年後見人等に就任した人が勝手にやめてしまうことがあっては、ご本人(被後見人等)にとって不測の被害が発生しかねません。

そこで、成年後見人等の辞任については正当事由があるかどうかは家庭裁判所の判断に委ねられています。

一方、成年後見人等に一定の事情がある場合には、 家庭裁判所がその成年後見人を解任することができます。 解任の理由としては、 成年後見人等の不正行為、著しい不行跡、 その他後見の任務に適しない事由がある場合です。

成年後見人等にこのような事由がある場合には、 家庭裁判所は、成年後見監督人、 成年被後見人やその親族、 検察官の請求により、または家庭裁判所の職権で、 成年後見人の解任をすることができることになっています。

このように、成年後見制度では、ご本人の保護を最優先に考えられています。

ただ、ご本人の立場から見ても一旦成年後見制度を利用すると、やめたいからやめるということは原則できません。こちらも家庭裁判所に申し立てをして認めてもらう必要があります。

例えば、成年後見人等に不満がある、馬が合わないという理由だけでは、認められず、成年後見人等に不正行為や不適切な業務があるということを家庭裁判所に認めてもらわなければなりません。

成年後見制度を活用する際には、このようなルールも考慮して検討していただければと思います。

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