遺言執行者②

こんにちは、相続手続きと遺言書の作成支援を専門にしております行政書士奥本雅史事務所の奥本です。

遺言執行者についての具体的な内容に入る前に、平成30年に約40年ぶりの大改正が行われた民法の遺言執行者に係る部分が、旧法と比べてどのように変わったか軽くさらっておきましょう。

『遺言執行者は、その任務を開始したときは、遅滞なく、遺言の内容を相続人に通知しなければならない。』(第1007条2項)

遺言執行者がいる場合、相続人は遺贈(被相続人が亡くなった後、財産を第三者等に譲ること)を履行する義務を負いません。ということは、相続人が全く知らないうちに財産が遺贈されてしまうケースも考えられます。

このような事態を防ぐために、相続人への通知を義務化する規定が新たに設けられました。

『遺言執行者は、遺言の内容を実現するため、相続財産の管理その他遺言の執行に必要な一切の行為をする権利義務を有する。』(第1012条1項)

太字の部分が追記されました。これは遺言執行者が、あくまでも遺言者の意思(遺言の内容)を実現することが責務であることを明示しており、それらの行為が必ずしも相続人の利益のために行われるものではないということが明らかにされました。

『遺言執行者がその権限内において遺言執行者であることを示してした行為は、相続人に対して直接にその効力を生ずる。』(第1015条)

旧法の第1015条では単に『遺言執行者は、相続人の代理人とみなす。』となっていました。この改正条文では、たとえ遺言者の意思と相続人の利益が対立する場合などにおいても、遺言執行者は遺言者の意思を実現するために行動すれば足りるということが示されています。

『遺言執行者がある場合には、遺贈の履行は、遺言執行者のみが行うことができる。』(第1012条2項)


この条文が新設されたのは、受遺者(遺贈を受ける相手)による履行請求の相手方を明確にするためです。遺言執行者がいる場合には遺言執行者に、遺言執行者がいない場合は相続人を相手方として遺贈の履行を請求するという旨が明文化されました。

『遺言執行者は、自己の責任で第三者にその任務を負わせることができる。(以下省略)』(第1016条1項)


旧法では『遺言執行者は、やむを得ない事由が無ければ、第三者にその任務を負わせることができない。』とされ、復代理人の選任(代理人である遺言執行者が、さらに代理人を選ぶこと)が制限されていました。

しかし実際には相続人が遺言執行者に指定されるケースも多く、専門的な法律知識が必要な事案などに対処することが難しいという場合もありました。そこで弁護士等の専門家に一任することができるよう条項の見直しが図られました。

このように、民法改正で遺言執行者に関する法律も様々な変更が加えられています。次回からはもちろん新法に基づいて解説をしていきますが、これら改正の背景を知っておいていただくと、より興味を持っていただけるのではないかと思います。

ではまた次回。

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遺言執行者①

こんにちは、相続手続きと遺言書の作成支援を専門にしております行政書士奥本雅史事務所の奥本です。

遺言書を作成する本人(遺言者)が全文を自筆する自筆証書遺言書の保管制度については、これまでのシリーズで詳しく述べてきました。(コラム『自筆証書遺言書の保管』はこちらから)

今回からは、実際に自筆証書遺言書を自分で作成する場合の注意点についてお話しをしていきたいと思います。

一般にあまり馴染みがなく、何のために必要なのかが理解しにくいと思われるのが『遺言執行者』です。

遺言執行者というのは「遺言の内容を実現するため、相続財産の管理その他遺言の執行に必要な一切の行為をする権利義務を有する(民法第1012条第1項)」者で、読んで字のごとく遺言を執行する者ということです。

ご自分で遺言書を作成される場合には、本文中で遺言執行者を指定するようにしていただく事をお勧めします。

これは、相続人間の意見の不一致や、一部の相続人の非協力などにより遺言の公正な執行に支障が出るような場合にも、遺言執行者に遺言の執行を委ねることにより適正かつ迅速な執行が期待できるからです。

遺言執行者になれるのは、未成年者と破産した者以外の者です。

また、遺言執行者は複数人指定することもできますし、行政書士法人などの法人を指定することも可能です。

一般的には相続人の誰かを指定するというケースが最も多いようです。

ですが相続人を指定した場合は、遺言執行者であると同時に財産を相続する当事者でもあるため、他の相続人との間において利害の対立が生じる可能性も否めません。

このようなケースが予見される場合には、法律の専門家など第三者を遺言執行者に指定し、争いを未然に防ぐよう努めることが望ましいと言えます。

「遺言執行者さえ指定しておけば・・・」という一例を挙げておきます。

A子さんはご主人が亡くなられましたが、ご主人は生前にご自分で書かれた遺言書を残しておられました。A子さん夫妻には子どもがおらず、相続人はA子さんとご主人の3人のご兄弟、合計4人です。

遺言書には『妻に自宅を譲渡する』と書かれており、遺言執行者に関する記述はありませんでした。

この場合の問題点は、

①「相続させる」ではなく「譲渡する」と書かれていた点

② 遺言執行者の指定が無かった点

の2つです。

まず①ですが、遺言書は強力な法的拘束力を持つ文書であるため文言の取扱いにも非常に厳しく「相続させる」となっていれば特定財産承継遺言(特定の財産を特定の相続人に相続させる遺言)としてA子さんが単独で自宅の名義変更を行うことができるのですが、「譲渡する」と書かれていたことで遺贈(被相続人の死後に財産を無償で譲ること)とみなされ、相続人全員が登記義務者になるため共同申請をすることが必要になってしまいました。

ご主人のご兄弟もすでに高齢だったこともあって、実印の押印を渋る方がいたり、戸籍謄本や印鑑登録証明書の取得などに多大な時間を費やしました。

しかしたとえ「譲渡する」となっていても、②遺言執行者が指定されてさえいれば遺言執行者が登記義務者となり、受遺者(遺贈を受ける者、この場合A子さん)を登記権利者として2人で登記申請を完了させることができたのです。

このように、せっかく遺言書を準備していても、ほんの些細なミスによって狙い通りの効果を発揮することが出来ず、悔しい思いをすることがあります。

もちろん独学で作成された遺言書が全く無駄になるという訳では無いのですが、どうせなら専門家からアドバイスを受けてしっかりした内容の遺言書を作成する方が、結果大きな安心に繋がると思います。

遺言書を作成しようと思い立ったら、まずは気軽にご相談ください。

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これまでの5年間を振り返って~吉川編~

こんにちは。
行政書士・社会福祉士よしかわ事務所の吉川昇平です。

 

毎日暑い日が続いていますが、いかがお過ごしでしょうか。

 

今回のコラムは、これまでの5年間を振り返ってというテーマでお送りいたします。

 

 

まずは、このリレーコラムについて。

 

平成 29 年 6 月、奈良県行政書士会の新規登録研修で声をかけていただき、現メンバーの先生方とご一緒させていただくことになりました。

今思えば、本当にありがたいご縁だと感じます。開業当初は、右も左もわからない状況で不安ばかりが大きくなっていましたが、同期の先生方とつながれたことが嬉しくて、不安も和らいだことを覚えています。

 

コラムを執筆するのは初めてでしたので、どんな内容にするか毎回1週間以上悩みながら文章を考えていました。

当初は、内容をわかりやすくお伝えするために、試行錯誤の連続で苦労もありました。


でも、業務をより深く勉強する機会になり、おかげでずいぶん成長できたかなと思っています。

 

そして、本コラムのメンバー同士で意見交換する中で、嬉しいコメントや励ましの言葉をかけてもらえたことが、これまで続けることができた一番の原動力だったと思います。


コラムメンバーの先生方には感謝の気持ちでいっぱいです。

 

今後も、読んで下さる方の役に立つ情報をお届けできるように頑張りたいと思います。

 

 

行政書士としての5年間について。

 

当初から、福祉分野での業務をメインに考えていましたが、他の分野のお仕事もたくさん経験させていただきました。

様々なご相談を受けるたびに自分の知識不足を痛感し、常に勉強をし続けることが必要だと考え努力してきました。

 

同時に、福祉分野以外の業務を経験したことで、どんな仕事にも柔軟に対応できるようになり、視野が広がりました。

大変なこともありましたが、無駄なことは一つもなかったと思います。

 

また、仕事を通して色んな人との出会いがありました。
同業の先生に助けていただくことも多く、一人では対応できない案件も何とか完了させることができました。
いただいた案件を丁寧に取り組むことで、次の仕事につながったり、新しいお客様を紹介していただくこともありました。

 

人とのご縁を大切にすること、これは当たり前のことですが、お仕事をさせていただくうえで最も大事だと思いました。

そして、体調管理の大切さも学びました。
開業するまでは、大きな病気やケガをしたことがなく、健康に不安はなかったのですが、ある時期に体調を崩してしまい、多くの方にご迷惑をおかけしてしまいました。

これも当たり前ですが、健康でないといい仕事はできません。実際に体験して思いを新たにいたしました。

 

 

これまでの 5 年間は、貴重な経験ばかりでした。
この経験を土台として、今後の業務に精一杯取り組んでいきたいと思います。

 

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これまでの5年間を振り返って ~武村編~

こんにちは。

奈良県で活動している武村直治行政書士事務所の武村直治です。

このブログは約5年前に開業した同期5人で始めたものですが、今回はこのブログを作成している皆で開業してからの5年間を振り返ることになっています。私のブログにそんなに興味のある方はいないと思うのですが、たまたま良い事も書くこともあるので気が向けば読んでいただければ幸いです。

開業して早5年が経ちましたが、この5年は嘘みたいなスピードで時間が過ぎました。この期間ほど多くの方に助けていただいたことはこれまでなかったような気がします。本当に感謝してもしきれません。

一方、自分の未熟さを痛感した5年でもありました。                  この仕事は期限に対してリカバリーがきかない業務も存在し、些細なミスが命取りになる可能性があります。また細かい部分については誰の責任になるのか開業当時の僕では適切に判断できないような部分もありました。

しかし開業当初はまず仕事を取ることにやや執着し、より重要である「その業務を完遂できるか」ということと「完遂できなかった時の責任」について、そんなつもりはありませんでしたが今思えば少し甘く考えていたかもしれません。                    とにかくずっとスポーツをやっていて体力にだけは自信があったため走れるところまで走ろうと考えて一生懸命やってきました。今思い返すと多少焦りもあったかもしれません。                          後に記載しますが、結果としてそれが大きな間違いでした。 

さて、ここからが本題ですが、開業してからこれまでの業務のやり方を振り返るとずいぶんと変化があった気がします。

これは今でも同じなのですが、開業当初から依頼者の方の期待値を少しでも上回るサービスを理想としていました。これについてはこれまでの仕事における経験から、また純粋に誰かの役に立ちたいと考えていたからです。                          こう書くと良い人と自分で言っているようで恥ずかしいですが本当です。

一方で業務については、当初はネットに記載されている料金相場を意識しすぎるあまり満足いくだけのサービスが出来ないこともあり、なんとなく中途半パンパな状態であったと思います。                                        今考えるとすごく矛盾しています。けれど自分の理想と現実の間でホントに悩んでました。

転機は開業から丸2年ほど経った頃でした。                       いろいろと他の活動もしていましたが、気が付けば仕事以外のことをする時間がなくなっていきます。                                      まだまだ未熟な自分にとってこれは本当にありがたいことでしたが、この時期はただ単に私の事務所の規模が小さく、また先輩の先生方に比べ慣れていない業務も多かったのだと思います。この頃はまだ業務に慣れていけば十分こなせるようになると考えていました。     また、自営業あるあるだと思いますが、いつ仕事がなくなるか分からないという恐怖感もあり忙しい状況ではありましたがいろんな業務を受任し続けました。               、、、しかし、これが後に大変な経験をする端緒となってしまいました。

その後しばらくして、ある時期を境に自分の見通しが甘かったことに気付きます。

確かに業務をこなすスピードは上がりましたが、書類の作成だけが仕事ではなく、また不慣れな業務も請けていたことから、予測しているほど業務を完了するまでの時間について短縮できませんでした。                                   さらに1年ほど経ち、完全に限界を超えていることに気付いた時にはすでに時遅しの状態でした。

いろんな業種の仕事を雑多に請けていた自分が悪いのですが、毎日のように電話一本でコロコロと状況が変わり、また確認を要する事項が発生し、そのあまりの多さに確認のため時間を割いているだけで一日が終わることもしばしばあり、複数案件の期限が同時に迫っていながら業務ができないような状況に陥りました。                        ちなみに覚えている限りでは、ピーク時で一週間続けて土日も含め毎日50件ほどの電話がありましたが、その9割ほど(体感です。)が事業の確認事項や変更事項、行政からのお願い(指導)、補正指示、許可を取得したい方からの質問、申請の進捗確認(期限に間に合うか)、あとは農地転用関係の隣地者からの状況確認と多少のクレームでした。                                友達からの電話が全然なかったのが残念でした。でもよく考えると友達は少ないので当然かもしれません。

、、、ここまでの状況になると、もう電話している人が誰で、どの案件のことなのかも備忘録を確認しないと全く把握できていませんでしたが、その備忘録も満足に作る時間はありませんでした。

そのうち、これまでは考えられなかったような細かなミスが目立つようになり、簡単な申請書の提出や補正すら対応できない状況が長期的に続きます。これは長期的な業務も請け負っていたため、年単位で続きました。

、、、心底恐怖を覚えました。

その後、人生で初めて過労により体を壊し、損害賠償や廃業を本気で覚悟しました。    体力にだけは自信があったため自分でもビックリでした。                         そして、行政書士としてこなせる業務量の限界について体感的に悟った時期でもありました。

これまではお客様のため、と深く考えずに行っていた小さな事柄についても、かかる時間と事務所の売上、また他の依頼者からの業務にかけられる時間等を考慮した結果、田舎で開業している私が本気で行政書士として生きていくのであれば真剣に考えないと事務所と私の体が持たず、結果として依頼者の方にご迷惑をおかけすると考えるようになりました。         選択を迫られた時期であったと思います。

そのため、やや時間に余裕ができた頃からは何が依頼者の方にとってベストなのかをずっと試行錯誤していました。

その結果、依頼者の方と行政書士との関係は一時的、スポット的なものではく長期的に信頼できるパートナーである方がお互いにとって望ましいとの結論に改めて至りました。

そのためには長期的に存続可能な事務所であり、事務所の知識レベルを向上させ、対応できる業務についても拡大し、求められればより利便性に富んだ事務所になっていける、いわゆる成長の可能性を残した事務所であることが結果的に依頼者の方のためになるとの結論に至りました。しっかり勉強する時間も作らなくてはいけません。

その為には料金体制の多少の見直しも必要でした。                   お恥ずかしい話しですが、限界まで働いた上での売上を確認して初めて、料金とかかる時間の不一致に気づきました。ネットに記載されている料金を全て一式仕事の料金だと勘違いし、安直に参考材料とし、具体的な業務量に対して必要な時間を正しく計算できていなかったのだと思います。今思えばこれでは仕事の質が下がって当然です。。

また、当初は経費分と自身の生活費分さえあれば何とかやっていけると考え、本来重要であるセキュリティや業務用OA機器などの設備やリース費用、人件費など、事務所をより安定的に稼働させ依頼者の方に安心していただくために必要な費用について甘く見ていたことも原因でした。

上記について甘かったということは、きっとこの当時の自分は「依頼者ファースト」のような表現を使いながらも無意識に心のどこかでは自分中心に物事を考えていたということなのだと思います。恥ずかしいことです。これでは継続的な関係を築くことが比較的多いこの業界において、遅かれ早かれいずれ信頼を失っていく事務所になると感じました。         また料金体制については、同種の業務を行っている先輩先生方にもご迷惑をおかけする可能性があると強く感じた業務もありました。

上記の経緯を経験した結果、弊所の規模を考えると低料金で最低限のサービスを他業種に渡って数多くこなすやり方では、結果的に申請書提出時の補正指示等の対応など、かえって許可取得まで時間がかかるケースも多々あるため、クライアントの方にご迷惑をおかけし信頼を失うリスクが高くなると考えるに至りました。

そのため、事務所の仕事を少し減らし一本の仕事にかける時間を増やし質を高め、ある程度専門業務を絞り、かつネットに記載されている料金だけに縛られその範囲で業務を受けることを再検討し、今に至ります。

とは言っても完全に上記のような理想の形で仕事ができているかと言えばそんなこともなく、様々な状況を考慮し受任させて頂いているのが現状ですが、これらを意識することにより以前より依頼者の方から喜んでいただけることが多くなりました。              これからもよりニーズに答えていける事務所として一生懸命努力していきたいと思います。

介護キャリア段位制度と介護士の専門性の向上について

こんにちは。

行政書士・社会福祉士よしかわ事務所の吉川です。

 

7月に入り、暑い日が続いていますね。連日熱中症で救急搬送される方が大勢いらっしゃるようですので、みなさんも十分ご注意ください。

 

さて、先日ネットやテレビで「底辺の職業ランキング一覧」というものが話題になりましたね。

 

ランキングには、介護士をはじめ、社会を支える大切な仕事が列挙されていて、底辺の職業というくくり方にはとても憤りを覚えました。

 

何のためにこのようなランキングを作成したのか・・・

少し考えれば、これらの仕事のお世話にならずには生活はできないことくらいわかりそうなものです。

まったく感謝も感じられない不快なニュースでした。

 

この記事は、批判が殺到して削除されているため確認できませんでしたが、「何を底辺職だと思うのかは人それぞれ」とか、「一般的に底辺職と呼ばれている仕事は、社会を下から支えている仕事で、そのような方がいるからこそ、今の自分があるのだということには気づきましょう」と書かれていたそうです。

 

何か、執筆者の自己保身というか、批判されないように先に言い訳をしているようで、逆に悪意を感じました。本当に思っているのであれば、このような失礼な記事は書かないですよね。本当にがっかりしました。

 

みなさんは、どう感じましたか?

 

私は介護の仕事を長くやってきました。

介護士の視点で考えてみると、腹が立つ思いがある一方で、もっと介護の仕事の魅力を多くの人に知ってもらうことも必要ではないかと感じました。

 

また、この記事では、「誰でもでき、給料が安く、きつい仕事」などと書かれていたそうです。

 

介護の仕事は、誰でも簡単にできる仕事ではありません。

介護を必要とする人の、生活・生命・人生を支えるためには、専門的な知識と技術、それに高い倫理観がなければ務まらない仕事です。

 

しかしながら、誰でもできる仕事というイメージは、少なからずあって、全産業平均年収に比べると介護職の年収は50万円以上低いという現実が、さらにその専門職としての社会的な評価を下げているように思えてなりません。

 

やはり、介護は誰でもできる仕事ではないということを知ってもらうためにも、介護の専門性を社会に知らしめることが必要です。そして、その専門性に見合った報酬が得られる仕組みが求められるのではないでしょうか。

 

このようなことを考えている時に、厚生労働省から発表された介護保険最新情報で介護キャリア段位制度の記事が目に留まりました。

 

介護キャリア段位制度は、平成24年度に内閣府が開始した「実践キャリア・アップ戦略」の一つとして始まりました。

 

全国的に標準化された「介護技術評価基準」に基づき、評価者が、介護士の実践的な職業能力の評価を行う制度です。

わかりやすく言うと、個人の主観などによらない”共通のものさし”で介護士の能力をレベル認定する制度です。

 

具体的には、講習を受けた評価者(アセッサーと呼ばれる)が介護士の「できる度合い(実践的スキル)」を評価します。その結果を実施機関のレベル認定委員会が認定します。ご興味のある方は、厚生労働省のホームページなどのサイトで詳細をご覧ください。

 

介護業界では、介護福祉士という国家資格がありますが、この資格では一定の知識のレベルが評価できますが、実際の現場での実践的なスキルは測りにくい面があります。

 

知識としてわかっていることと、それが実践できることは違います。

 

専門的な介護は、とても奥が深く、科学的な根拠を持って行われるものです。

 

そして、介護を必要とされる方の生活、生命、人生を支えているという重い責任も背負っています。ですから、誰でもできるわけではないのです。

 

一昔前は、KKD(経験・勘・度胸)で何とかなっていた時代もありましたが、今となっては専門職としての知識、技術、経験が求められます。

 

この介護キャリア段位制度では、「現場で実際に何ができるか」を測る評価基準であるため、OJTツールとして積極的に活用できるというメリットもあります。

つまり、この評価基準を満たせるように人材育成を行い、介護士が切磋琢磨して日々の業務を通して成長することが出来ます。

 

ひいては、介護業界全体の専門性の向上にもつながります。

 

ただ、今年に入ってからの調査によると、この制度を取り入れている介護事業所は少なく、監督官庁である各自治体においても普及に積極的ではないようです。

 

その理由として、この制度に取り組んだからといって介護報酬が上がるわけではなく、あくまでも事業者が任意で行うものになっているため、人手不足の介護現場では、優先順位が下がってしまうのではないかと考えられます。

または、制度自体の認知度が低いという点もあるかもしれません。

 

やはり、専門性の高い介護士には、プラスの報酬が入るようにして、専門性と給料が比例していくような仕組みが必要だと感じます。

 

同時に、介護業界で専門性の向上に取り組み、誰でもできる仕事ではないということを広く知ってもらうことも大切だと思います。

 

さいごに、誰もが病気や障害で介護が必要になる可能性があります。

もし介護が必要になっても安心して暮らせる社会が続くように、介護士の担い手が増えることを願いつつ、介護の仕事の魅力が、多くの人に理解してもらえることを願っています。

 

私も介護業界に携わる一人として精進していきたいと思います。 

 

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人口減少について

こんにちは。奈良県で開業している行政書士武村直治です。

以前からよく耳にする話題ではありますが、人口減少についてはここ数年、いろんな方にお会いする中で特によく話題になります。

私の地元では、15年ほど前に合併しその当時1学年4クラスほどであった小学校が、1学年1クラスになる日もそう遠くないのではとのこと。奈良県南部では集落まるごと無人のようになっている場所も増えてきているようです。過疎問題ですね。また、奈良市や、いわゆる中南和と言われる地域でも人口減少を実感される方も多い印象です。こちらはベッドタウンとして発展してきたことによる弊害でしょうか。間違っていたらすみません。なんとなく、純粋な少子化による問題だけではないような気もしています。

奈良県は元々ベッドタウンとして発展してきたため総人口の減少はある程度想定されてはいましたが、やはり減少を実感するようになると不安が大きくなります。奈良県は大阪へのアクセスが便利なのでどうしても大阪で就職する方が多くなり、その方面の地域が発達する傾向にあると思いますが、奈良県が好きな私としては、この地域で就職し生活する方がもっと増えれば良いなと思っています。

そうなると、どうしてもさらなる道路整備や企業や工場の誘致などの話しにもなると思いますので新たな問題が発生する可能性もありますが、予想値ではまだまだ県内人口は減少を続けるようですので、なんとか歯止めを、という思いでいます。とはいっても今の経済状況の中で大都市でなく地方で就職する方を増やすのは至難の業かもしれませんが(^_^;)

なんだか地方創生みたいな話しになってしまい私の仕事に関係ないようですが、人が増えれば商売の活性化にもつながり、私の事務所の活性化にもつながるため、期待したいと思います。

おひとりさま支援の先駆的取り組み

行政書士・社会福祉士よしかわ事務所の吉川です。

良い天気が続いて、日差しも夏に近づいている感じがします。

みなさま、いかがお過ごしでしょうか。

  

今回は、気になるニュースがありましたので、ご紹介させていただきます。

神奈川新聞のネット記事を引用します。

   

—引用開始—

大和市は高齢者施策強化の一環として「おひとりさま支援条例案」を市議会6月定例会に提  案する。社会的孤立や閉じこもり傾向が健康に悪影響を与えるとの観点で個別条例化したのは全国初という。

条例案では、おひとりさまを「1人暮らしの市民であっても年齢を重ねたことによって他者や社会との関わりを必要とするもの」と独自に定義。高齢化率の上昇に伴って、配偶者が亡くなり増加する独居世帯が孤立することなく生き生き過ごすために市民、事業者、行政が一体になって支援する地域社会を目指すとしている。

—引用終了–

  

記事よると、社会的孤立や閉じこもり傾向が健康に悪影響を与えるとの観点で個別条例化したのは全国初とのこと。

大和市のホームページを見てみると、おひとりさま政策課という部署があり、そこに条例案(大和市終活支援条例 )が掲載されていました。

専門の部署があり、全国でも先駆的におひとりさま支援に取り組んでいることがわかりました。

  

また、市が現在行っている葬儀生前契約や、終活コンシェルジュのサポート、エンディングノートの発行と保管、終活かるたの貸し出しなど、興味深い事業が紹介されていました。

  

高齢社会の日本において、終活に関心を持つ人が増えています。

  

私も仕事の上で、老後のお金、介護問題、お墓問題、住宅問題、遺言・相続など、相談を受けることもあります。

近年、

「おひとりさま」や「終活」という言葉をよく耳にするようになりました。

  

それは、一人暮らしの高齢者に不安を持つ人が多いこと、また、今は現役で働いているけれど、将来に漠然とした不安を持つ人が多いことを表しているのではないかと思います。

  

「おひとりさま」は誰にとっても自分事として考える時代なのかもしれません。

  

未婚の方、パートナーがいてもどちらかは先立たれます。

核家族化が進み、お子さんが近くに住んでいないケースも多いです。

家族がいても、頼れない、頼りたくないなど色んな事情で不安を抱えている方が増えています。

  

このような状況で、大和市の取り組みは、一人で暮らす高齢者や相談相手がいない方にとって心強いサービスになるでしょう。

  

大和市の終活支援条例案では、市の責務を明確にし、事業者等の役割と市民の役割も明記されています。

個人的には、行政と事業者がどのように協力して市民サービスを提供していくのか興味があります。

  

良い取り組みであれば、全国に広がってほしいですね。

大和市の先駆的な取り組みに今後も注目していきたいと思います。

    

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データ整備事業の断念

こんにちは。

奈良県で活動している、武村直治行政書士事務所の武村です。

今日、たまたまこんなニュースを見ました。自身の仕事にも関わる事柄な気がしたので、今日はこれについての雑感(?)を書きたいと思います。

デジタル庁が目玉政策の1つに据える、法人や国土など公的データの整備事業。先行したはずの「事業所」のデータ整備が突然、中断に追い込まれた。~中略~ 原因は、行政分野ごとに「事業所」の概念が多様すぎると判明したからだ。分野を超えて事業所データを統合し多目的に使う政府構想は、簡単には実現できないと判断した。

ちなみに法人や事業主などのデータ整備も中断のようです。

どうやら公的基礎情報を多目的に利用できるようにデータベース化を進めていたようです。様々な経緯はあるようですが、結果的に、使い道などの意味も含めて実務レベルでの成立が難しいという理由により中断、、、お蔵入りのようです。ただしかかった費用は825万円程度とのことで、大きな損害があったわけではないようでした。

たしかに法令上の文言一つとっても同じ言葉でも意味合いが違うということはあるでしょうから、それらの垣根を越えての統一は相当に難しいことなのでしょうね。また、他にも多くの課題があったのでしょう。

これを早めに撤退したことによる英断ととるか、見切り発車による政策の失敗ととるかは人それぞれ意見が分かれそうな感じがします。

ただ個人的には少し残念でした。

システム関連の専門的なことは分かりませんが、もし仮に公的データの統一基盤が完成し、必要な情報をそれぞれ個人や法人、行政機関などがスムーズに入手できるレベルで利用できるようになれば、それは本当に多くの方にとって効率性や利便性に大きく貢献すると考えており、またその必要性も感じているからです。

案件のお蔵入り自体は珍しいことでもないと思いますし、また完全に素人考えにはなってしまいますが、可能であるなら何兆円かかってもやってほしかったなと思います。

概念や解釈の見直しなどは現状ではやはり難しいのでしょうか。

世の中の仕組みは段々と複雑になり、それに伴い行政に絡む情報やシステムも多様化しているでしょう。

業務ソフトなども各自治体がそれぞれで開発や発注をしており、いわゆる乱立状態だというような記事を目にしたこともあります。それがどの程度かという話しは別として、こういった状況の中で統一的なデータベースを現実に作ることは今後50年100年先を考えても大きな意味があることだと感じました。

昔ある方に、作業や工程については複雑化するよりも、その質を担保したまま効率化することの方が高度であると教えられたことがありました。効率性や利便性というものも、安全性や正確性と同様のレベルで民だけでなく官も真剣に考えなければいけない時代になっているような気がします。

自筆証書遺言書の保管⑨まとめ《前編》


こんにちは、奈良市内で相続手続きと遺言書の作成支援を専門にしております行政書士の奥本です。


今回は、自筆証書遺言書の保管制度についてまとめてみたいと思います。

これまで一番安全かつ確実な遺言書は、公正証書遺言によるものであると言われてきました。理由は、遺言の作成に公証人が関与することで法律的な瑕疵のない遺言書を作ることができ、その上原本を公証役場で預かってもらえるため紛失や改ざん等の心配がなく、検認の手続きも必要ないからです。

検認手続きというのは、家庭裁判所で相続人立ち合いのもと遺言書を開封して確認し、内容の偽造や変造を防ぐための手続き(封印がされた遺言書を検認手続きの前に開封すると過料が課せられます)で、秘密証書遺言と自筆証書遺言の場合はこの手続きを行う必要があります。


ところが法務局で自筆証書遺言書を保管する制度を利用した場合には、検認の手続きをする必要がなくなりました。
つまりこの制度により、公正証書遺言と自筆証書遺言の差が”遺言の内容の確実性に絞られた”と言ってもいいと思います。


最近では、遺言書の書き方を説明する本もたくさん出回り、インターネットで情報を簡単に調べることもできますので、それを参考にしながら遺言書を自分で書かれる方が増えているように思います。

ただ、遺言書は強力な法的拘束力を持つ文書であるため、様式や用語に関して厳格な規定が設けられています。そのため、ちょっとした認識の間違いや、文言の誤用などで思った効果を発揮することができなかった遺言書も見てきました。


自筆証書遺言書はたしかに自分ひとりで作成することが出来るものですが、やはり専門家のアドバイスやサポートを受けられることを強くお勧めします。


さて、この制度は令和2年の 7 月に運用が始まったばかりで、開始からまだ 2年も経っていないのですが、すでに興味深いデータが出てきています。
下の表は、日本公証人連合会が発表している公正証書遺言の作成件数と、法務局が発表している自筆証書遺言書の保管件数を表にしたものです。

公正証書遺言自筆証書遺言
令和元年113,137113,137
令和2年97,70012,576110,276
令和3年106,02816,972123,000

ここ数年、公正証書遺言の作成件数は 11 万件前後で推移してきました。
しかし自筆証書遺言書保管制度が始まった令和 2 年には、公正証書遺言の作成件数が 1 万 5 千件以上減って自筆証書遺言書の保管件数が 1 万2千件以上となり、公正証書遺言が自筆証書遺言へと一部流れた傾向が見て取れます。
そして令和3年には、そこから双方が増加傾向となったため、その合計の件数が12万件を超えました。


このデータが示すように、今後はこれまで以上に遺言書の作成件数が増えていくのではないかと予想されます。またそうあるべきだと私は考えます。


遺言書は財産の在る無しに関わらず、ほぼ全ての人に必要ではないかと実務に携わっている中で感じるからです。

次回に続きます。

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行政書士奥本雅史事務所

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介護職の離職理由について

こんにちは

行政書士・社会福祉士よしかわ事務所の吉川です。

コロナ感染者の数もゆるやかに減少してきました。

社会経済活動も少しずつ元に戻ってきそうですね。

コロナへの対応で、働き方もずいぶん変わりました。

テレワークも浸透して、多様な働き方が普及しました。

色んな面でメリットも報告されています。

しかし一方で、テレワークができない職種もあります。

その一つが介護職です。

介護の職場では、相変わらず人手不足が深刻な状況となっています。

人手不足には色んな要因があると思いますが、今回は離職する理由について調べてみました。

  

公益財団法人介護労働安定センターが行った

「令和2年度介護労働者の就業実態と就業意識調査」において、前職を辞めた理由についてアンケートが実施されています。

  

その結果を見ると、様々な理由があるなかで、職場の人間関係に問題があったためという回答が2番目に多くなっています。

1番多かった回答が結婚・妊娠・出産・育児ですので、実際に「辞めたい」と考えた理由としては職場の人間関係の問題が大きな要因だと思います。

他にも法人や施設・事業所の理念や運営のあり方に不満があったためという理由も上位になっています。

  

これは仕事に対するやりがいや達成感が得られないことにもつながっていると考えられます。所属している職場の考え方、つまり社長や上司の言葉に共感できないと何を目標に仕事をするのかわかりません。

また、一生懸命に働いているのに評価されず給料が上がらなかったりすると、仕事に対するモチベーションは下がってしまいます。

  

そして、上司や同僚との関係が悪くなってしまうと、誰にも相談できずに離職を決意するというケースもあります。

これらの根本的な原因は社内でのコミュニケーション不足によるものが一因になっていると考えられます。

介護施設の経営において、人材確保の課題は年々重要性を増しています。

いかに職員が辞めずに続けてもらえるかということに注力しなければならない時代です。

  

コミュニケーションが大事というのはわかってはいるけど難しい

きっとこんな思いを持っている方も多いのではないでしょうか。

  

人間関係の問題、コミュニケーション不足による離職は介護職に限った話ではなく、どこの職場でも大なり小なり抱えている問題です。

  

そこで、何か役に立つことをお伝えできないかと考えました。

「ラポール」という言葉を聞いたことがありますか?

  

社会福祉士の相談援助技術において、人間関係を良好にしてコミュニケーションしやすくする方法としてラポール構築のスキルというものを学びます。

ラポールはフランス語が語源の言葉で、「調和した関係」「心が通い合う関係」という意味を持っています。

  

心理学の世界では、カウンセリングで対話を重ねる中でクライエントとカウンセラーの間に生まれる、リラックスした関係や信頼関係を指しています。

クライエントはカウンセラーとの間にラポールが形成されなければ、心の中の悩みを吐き出すことはできません。

同じように、仕事の上でも、上司と部下、同僚との関係、顧客との関係、あるいはコーチングの関係でも、ラポールの形成はとても重要です。

  

職場内では、上司、リーダーによって雰囲気が変わります。良好なコミュニケーションが行われると離職率も下がるでしょう。しかし、よかれと思った言動でも一歩間違えればパワハラといわれる時代、難しいと悩む方も多いのではないかと思います。

  

ラポールを形成するための最初のコミュニケーションで、「でも」や「けれども」など相手の言葉を否定するような言い回しは要注意です。なぜなら自分を否定するような相手とのラポールの形成は難しいからです。

  

相手の話に割り込んだり否定したりして、相手の話を遮断せず、相手の話を引き出すために心遣いや共感を示すことが大切になります。

そして個人的に特に重要だと思うのが「傾聴すること」です。以前のコラム「対人援助の基本“傾聴“について」でお伝えした内容は、職場内のコミュニケーションでも役に立つと思います。よろしければご参照ください。

  

会社としては、せっかくお金と時間をかけて採用した優秀な人材が流出してしまうのは非常に残念ですし、大きな損失になりますよね。

良好なコミュニケーションは自然発生しないと言われます。意識的な取り組みが必要になってきます。今回のラポールという考え方も参考にしていただければ幸いです。

   

  

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