任意後見契約の手続きについて~その2~

こんにちは。

行政書士・社会福祉士よしかわ事務所の吉川昇平です。

 

前回のコラムで、任意後見契約の手続きについて

  • 受任者を決める
  • 授与する代理権の内容を決める

この2点をお伝えしました。

 

今回は、その次の段階を見ていきましょう。

 

 

任意後見契約に必要な書類を準備する

 

受任者(頼む相手)と、授与する代理権の内容(代わりにやってもらうことの内容)が決まったら、必要書類をそろえます。

 

任意後見契約を結ぶには、次のような書類が必要となります。

  • 本人の印鑑登録証明書
  • 本人の戸籍謄本
  • 本人の住民票
  • 任意後見人になる人の印鑑登録証明書
  • 任意後見人になる人の住民票

 

なお、印鑑登録証明書は発行後3か月以内のものに限りますのでご注意ください。

 

 

任意後見契約書案の作成

 

任意後見契約は、必ず公正証書で結ぶ必要があります。

公正証書とは、公証役場の公証人が作成する証書です。公正証書によらない任意後見契約は無効になります。

 

公正証書により契約が結ばれるまでには、まず最初に委任者である本人と受任者との間で任意後見契約書案を作成します。受任者は本人の意思を十分に確認しながら、その意思にかなう案を作成します。

 

そして、契約形態を決めます。

契約形態は、以前のコラムでも紹介した「将来型」「移行型」「即効型」があり、本人との面談を通じて本人の判断能力や生活実態、希望など見極めたうえで適当な契約形態を選びます。

 

また、代理権の範囲を明確に定めるため、授与する代理権の内容を代理権目録として作成し任意後見契約書に別紙として添付します。

 

 

任意後見契約公正証書の作成

 

本人と受任者の間で作成した任意後見契約書案をもとに、公証人と相談して契約書の文案を完成させ、契約内容を確定します。そして、契約書の文案が完成したら本人と受任者がそろって公証役場へ出向き、「任意後見契約公正証書」を公証人に作成してもらいます。

 

任意後見契約公正証書を作成するにあたって、本人の判断能力と契約を結ぶ意思を確認するため、公証人は原則として本人と面接するものとされています。もし、判断能力に疑いがある場合は、医師の診断書等を求められる場合があります。

 

公証人との相談や任意後見契約公正証書作成の日程については、お近くの公証役場へ電話で問い合わせのうえ、事前に予約を取りましょう。任意後見契約公正証書の作成時は本人、受任者とも実印を忘れずに持参してください。

 

なお、本人が病気やケガで入院中、または高齢などの理由で公証役場に出向けない場合は、公証人に自宅や病院または入所施設などに出向いてもらって作成することも可能です。

 

 

任意後見契約公正証書作成費用

 

公正証書作成に要する費用は、以下のとおりです。

 

  • 公証役場の手数料・・・・・・・・・1万1,000円
  • 法務局に登記するための手数料・・・1,400円
  • 法務局に収める印紙代・・・・・・・2,600円
  • 郵送料金・・・・・・・・・・・・・540円
  • 正本等の作成手数料・・・・・・・・1枚につき250円×枚数

 

任意後見契約公正証書を作成するには、上記の手数料等をもとに計算され、1契約につきおおむね2万円から2万3,000円程度が必要となっています。

 

なお、公証人に自宅や病院等に出向いてもらった場合の手数料は50%加算され、公証人へ支払う日当(1万円。ただし、4時間を超えるときは2万円)と交通費の実費が必要になります。

 

また、任意後見契約と併せて、通常の財産管理委任契約等の委任契約を同時に結ぶ場合はその契約につき上記の①と⑤がさらに必要になります。そして、受任者が複数で、各受任者が権限を単独で行使(各自代理)できる定めがあるときは、受任者の数だけ契約の数が増えることになり、その分だけ費用も増えることになります。ただし、受任者が複数であっても、権限を共同で行使(共同代理)の場合には、1契約として手数料が計算されます。

 

 

以上が任意後見契約の手続きの概要です。

いかがでしょうか。

 

公証役場で任意後見契約公正証書を作成するまでの準備については、専門家に頼むことも可能です。

 

弊所は、必要書類の準備や任意後見契約書案の作成、公証人との打ち合わせなどのサポートができます。ぜひ、気軽にご相談ください。

 

次回は、任意後見とともに、やっておきたい備えについてご紹介したいと思います。

 

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