日常生活自立支援事業を利用するための手続きについて

こんにちは。

行政書士・社会福祉士よしかわ事務所の吉川昇平です。

 

12月になりました。

早いもので、今年も残すところわずかとなりました。

なんだか、急にせわしい気分になってきたのは私だけでしょうか。

みなさま、いかがお過ごしですか?

 

先日、年末の恒例行事となっている漫才の頂上決戦「M-1グランプリ」が放送されました。

私はお笑いが大好きで、毎年楽しみにしています。

今年もたくさん笑わせてもらいました。

 

最終決戦に残った3組はやはり実力がありますね。とても面白かったです。

特に気になったのは「和牛」というコンビです。去年、一昨年と連続で2位。

多くの人が、今年こそは!という期待を持って見守っていたのではないかと思います。

そして、期待通りの漫才を見せてくれました。

 

結果は惜しくも2位。僅差でしたね。

ただ、和牛の実力は誰もが認めるところだと思います。今後も楽しみです。

 

ところで、和牛が最終決戦で披露したネタが「オレオレ詐欺」でした。

母親がオレオレ詐欺に引っかからないように、息子が実際に電話をかけて訓練するという設定です。漫才自体はとても面白かったのですが、私はオレオレ詐欺の怖さを改めて感じました。

 

多くの人は、「自分は大丈夫」または、「自分の親は大丈夫」と思っているのではないでしょうか。

私もそう思っていました。しかし、巧妙な話術で気付かぬうちに騙されることがあるのではないかと感じました。

 

特に、高齢になると年とともに判断力が低下するケースもあります。病気や事故などが原因で判断力が低下することもあります。

そんな時は、周囲の人のサポートが必要です。また、いろんな制度や支援機関の力を借りることも必要になるでしょう。

 

漫才を楽しみながら、社会問題についても考えるきっかけになりました。

とても奥が深い漫才でした。

そして、オレオレ詐欺に騙される人をなくすために自分に何かできることがないだろうかと考える機会にもなりました。

 

さて、前置きが長くなりましたが、今回も前回のコラムに引き続き「日常生活自立支援事業」についてお伝えしていきます。

 

今回は日常生活自立支援事業を利用するための流れや支援の内容についてお伝えしていきます。

 

日常生活自立支援事業を利用するまでの流れ

1.相談受付

まずは、相談を受け付けるところから始まります。本人やそのご家族からの相談のほか、地域の民生委員·児童委員、地域包括支援センター、ケアマネジャー、ホームヘルパーなどから相談が寄せられることによって、初期相談を行います。そして、ここから事業を利用するための手続きが始まります。

 

相談を受け、援助の必要性があると考えられる場合は、専門員が本人のもとを訪問して、日常生活自立支援事業の利用についての意向や意思を確認します。

 

この事業では、本人や家族からの相談よりも、本人や家族にかかわっている関係機関からの相談がきっかけとなることが少なくありません。

 

そのため、専門員は本人へ丁寧な説明を行い、また本人の生活上の希望を十分に聞きながら利用の意思を確認します。

 

2.利用できるか具体的な調査をする

次に、本人の利用希望が確認されたら、専門員は、契約締結判定ガイドラインに基づき、具体的な調査を行います。この段階で、本人に日常生活自立支援事業の利用契約を結ぶ能力があるかどうかの確認と、提供するサービスの特定を行います。

 

もし、この段階で、本人に契約を結ぶ能力(契約締結能力)があるかどうか疑わしい場合には、都道府県社会福祉協議会に設置されている契約締結審査会に審査を依頼することになります。

 

そして、契約締結審査会の審査結果によって、契約締結能力があると判断された場合には、次の段階に進むことができます。

 

契約締結能力がないと判断された場合には、本人にその旨を知らせるとともに、成年後見制度の利用等も含め、その人にとってふさわしい生活を送ることができるように、行政や支援団体等の関係機関につなぎます。

 

3.契約書·支援計画を作成して契約を結ぶ

本人の意向が確認され、契約締結能力にも問題がないと判断されたら、専門員は契約書案や支援計画案を本人に示します。そして、今後日常生活自立支援事業において、どのような援助を行っていくかを説明し本人の合意を得ます。

 

その後、1週間をめどに、再度、本人のもとを訪問し、本人の意思の確認、契約内容の理解の再確認をしたうえで、契約を締結します。

 

4.援助の開始

契約が締結されれば、生活支援員が、契約書や支援計画に基づいてサービスを提供します。また、契約を結んでから3ヵ月後に、サービスの実施状況を確認し、支援計画の評価を行います。その後も、契約書に定められた一定期間ごとに支援計画の評価を実施します。

 

5.契約の終了

本人が解約を申し出た場合、本人が死亡した場合、本人の意思が確認できないために本人の生活にふさわしい新たな支援計画を作成できない場合には契約を終了することになります。

 

ここまでが、日常生活自立支援事業を利用するまでの流れになります。

続いて、利用料金と支援内容です。

 

【利用料金について】

相談開始から契約を締結するまでの相談支援は無料です。

契約が締結された後、契約に基づいて行われる生活支援員による援助については、原則として自己負担となります。

 

利用料については、実施主体ごとの判断によるため金額が異なりますが、平均すると、1時間あたり、およそ1200円前後となっています。

なお、生活保護を受給されている方については、公費により補助されることになっています。

 

【支援内容について】

具体的な援助の方法として、相談·助言·情報提供、連絡調整、代行、代理が想定されていますが、本人の自己決定を尊重するために、なるべく「相談・助言・情報提供」「連絡調整」を中心に援助を行い、本人自らが各種の手続きを行うことができるよう援助することを基本としています。

 

相談·助言·情報提供には、生活支援員が、市区町村の行政窓口や金融機関の窓口に本人とともに出向き、本人自らが手続きできるよう、言葉の解説をしたり、記入方法などの助言をしたりすること(同行での相談と助言)も含まれます。

 

代行とは、本人が作成した契約書類等を福祉サービス事業者に届けたり、本人から現金を預かって福祉サービスの料金を事業者に支払うなどといったことです。

 

代理は、本人に代わって第三者が法律行為を行うことをいいます。日常生活自立支援事業では、この代理の援助は限定して行うこととしています。

 

この事業で想定している代理権の範囲は、在宅福祉サービスの利用手続き、本人が指定した金融機関口座の払戻しに限られています。代理の援助を利用する場合には、代理権の範囲は契約により定められることになります。

 

金銭管理については、ガス·電気·水道などのライフラインや住居の確保など、本人の生活基盤を支えるための重要なものであり、金銭管理ができなくなると、生活が成り立たなくなってしまいます。認知症高齢者や障害のある人など、判断能力の不十分な人が在宅生活を継続するためには、金銭管理は重要な要素です。

 

日常生活自立支援事業は、判断能力が不十分な人の金銭管理の支援を行うことで、本人の生活の安定を実現し、自立を支援することも目的としています。

 

ここまで、日常生活自立支援事業についてお伝えしてきました。

この事業は、みなさんの地域にある社会福祉協議会が実施しています。気になった方は最寄りの社会福祉協議会へお問い合わせください。

弊所でもご相談をお受けしています。

生活の中で不安に思うことなど、ちょっとしたことでも大丈夫です。お気軽にご相談ください。

 

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