遺言書⑭ 〜秘密証書遺言 後編〜

こんにちは、相続手続き・遺言書作成専門の行政書士 奥本雅史事務所の奥本です。

今回は、秘密証書遺言についてもう少し詳しく見ていきたいと思います。

秘密証書遺言の本文の訂正・加除については、自筆証書遺言の規定が準用されます。
すなわち、『遺言者がその場所を指示し、変更した旨を付記して署名をし、かつ変更した箇所に押印をすること』が必要です。(詳しくは 〜遺言書⑧〜で)

秘密証書遺言を作成するためには、公証役場で2名以上の証人に立ち会ってもらわなければなりません。この証人の資格については、公正証書遺言の規定が準用されます。つまり、

①未成年者
②推定相続人および受遺者、これらの配偶者および直系血族
③公証人の配偶者、4親等内の親族、書記および使用人

以外の者です。
公正証書遺言の場合とは違って遺言の内容までは知られることが無いので、知人・友人などに頼みやすいという点はあるかも知れません。ですがやはり秘密を守れる信頼できる人物を選んで依頼するということは大切でしょう。なお、代筆した筆者を証人から除くという規定は存在しないため、筆者も証人になることができると解されています。

成年被後見人が秘密証書遺言を作成する際には、立ち会った医師が『遺言者が遺言をするときにおいて精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く状態に無かった旨(きちんと遺言の内容を理解することができる状態だったという証明)』を封紙に記載して署名捺印をしなければなりません。

秘密証書遺言の保管についてですが、公証役場が保管してくれるのは『秘密証書遺言による遺言書が作成された』という事実だけで遺言書の原本を保管する訳では無いので、自分でしっかりと管理をしなければなりません。これに関しては、現状(令和元年8月現在)の自筆証書遺言と同じく、紛失・改ざん・隠蔽等の危険性があると言えます。

秘密証書遺言の場合、遺言者が亡くなった後、遺言書を家庭裁判所へ提出し検認の申し立てをする必要があります。この際には遺言書の封を開けずに裁判所へ提出しなければなりません。(検認を経ないで遺言を執行した場合や、封を開けてしまった場合は五万円以下の過料が科されます。)

秘密証書遺言を作成する際、公証役場に支払う手数料は11,000円です。公正証書遺言を作成する場合と比べると、安く作成することができます。

秘密証書遺言が実際に利用されている件数は、実はそれほど多くはありません。
『遺言書の内容は秘密にしたまま、作成した事実だけは残すことができる』という秘密証書遺言の特徴は、一見すると魅力的にも感じます。

ですが、公正証書遺言の作成と同じぐらい手間がかかる上に、遺言書の内容面や保管面での不安、検認が必要なことなどを考え合わせれば、公正証書遺言を作成する方がより賢明と言えるでしょう。

もちろん当事務所では、秘密証書遺言の作成についてもご相談をお受けしておりますので、どうぞお気軽にお問い合わせください。

 

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