法定相続情報証明制度②

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こんにちは、相続手続きと遺言書作成専門の行政書士奥本雅史事務所の奥本です。

前回は法定相続情報証明制度の創設によって、相続手続き時に戸籍謄本の束を提出する代わりに、法務局がその内容を証明した『法定相続情報一覧図の写し』を提出することで、相続人となる方が複数の提出先(金融機関、法務局等)への手続きを同時に進めることができるようになった、というお話しをしました。

このように相続人の負担を軽減するための制度が創設されることになった背景に、日本全国で増えつつある『所有者不明土地』の問題があります。

公共事業で道路や施設などを作ろうとする時、建設予定地に所有者の分からない土地が存在していたために、土地の取得が思うように進まず事業が滞るケースなどが全国的に発生しています。

平成29年の所有者不明土地問題研究会の発表によると、所有者が不明となっている土地の面積の合計は約410万ヘクタールで、すでに九州の面積368万ヘクタールをも上回っていると推計されています。

土地所有者が不明となってしまう原因のひとつとして、『相続発生時に不動産の所有権移転登記がされていない』という点が挙げられます。

登記は『第三者に対して所有権を主張するため』の制度ですので、本来であれば不動産を相続した人が自分の所有権を主張するために、積極的に名義変更の登記をすべきものです。

しかし『相続時に必ず登記をしなければならない』という“義務”ではないため、「登記をしなさい」という通知が来るわけでもありませんし、登記を怠ったとしても罰則などはありません。

また登記をしなくても、そのまま以前と変わらず家に住み続けたり、田畑や土地を使い続けることなどもできるため、面倒だからと登記をしなかったり、よく分からないため結果的に放置してしまっているといったケースが多く見られ問題視されています。

この問題解決のための一端として、相続手続きを簡便化して相続人の便宜を図り、不動産の所有権移転の登記を確実に遂行してもらおう、というのが法定相続情報証明制度の狙いであると言えます。

相続登記を何代もの間行わないと、関係する相続人が膨大な数になってしまうこともあります。所有権移転の登記のためには、現在の相続人全員の合意が必要となるため、手続きの完了までには多大な労力と時間を費やすことになるでしょう。

また、ご先祖様から受け継いだ家や土地を、いざ活用しようと思っても、所有権移転の登記がされていなければ、売却や各種の手続きを行うことは困難です。
今一度、興味を持っていただいて、ご自身が関係する可能性のある不動産の名義について確認をされてみてはいかがでしょうか?

※なお、行政書士は登記手続きを代行することはできません。
当事務所では登記を提携の司法書士さんにお願いしております。

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