【特定技能】介護分野の技能試験と日本語試験

こんにちは。

行政書士・社会福祉士よしかわ事務所の吉川昇平です。

みなさま、いかがお過ごしでしょうか。

コロナウィルスの感染者が減少傾向になってきましたね。

ワクチン接種がもうじき始まりそうです。

少しだけ希望がわいてきました。

早く元の暮らしに戻れるようにと祈りながら生活を送っている今日この頃です。

今回のコラムは、引き続き特定技能の話題です。

特定技能1号の在留資格を取得するためには、技能試験及び日本語試験に合格する必要があります。

この試験はどんな問題が出るのか?

採用する側にとっても、その外国人がどの程度の知識を持っているのか気になりますよね。

そこで、介護分野の技能試験及び日本語試験の問題や難易度についてご紹介したいと思います。

試験は、

①技能試験

②2種類の日本語試験

があります。

①技能試験

介護分野の技能試験のことを「介護技能評価試験」といいます。

問題は学科試験40問と実技試験5問の合計45問あり、試験時間は60分です。

学科試験40問の試験内容は以下の科目から出題されます。

・介護の基本(10問)

・こころとからだのしくみ(6問)

・コミュニケーション技術(4問)

・生活支援技術(20問)

実技試験5問は、判断等の形式による実技試験課題が出題されます。

厚生労働省のホームページで公表されている例題を見てみましょう。

【問題】

自己決定を支援する上で把握すべき内容として、適切なものを1つ選びなさい。

1 家族の意向

2 介護を必要とする人の希望

3 医師の判断

4 経済状況

自己決定に関する問題です。

介護職にとって基本中の基本ですね。

この問題は日本語の意味がわかれば簡単に解けそうです。

正答は2です。

ではもう一つ見てみましょう。

【問題】

老化にともなう高齢者のからだの変化に関して、正しいものを1つ選びなさい。

1 個人差は少ない。

2 低い音は、聞こえにくくなる。

3 暑さ寒さを、感じやすくなる。

4 視野が狭くなる。

この問題も基本であり、必須の知識です。

高齢者の特徴を理解したうえで、個別の状態に合わせて介護を提供します。

正答は4ですね。

問題1、2、3の記述はすべて逆のことを言っています。

他の問題も見てみましたが、介護技能評価試験は、現場で必須の基本的な知識を問う問題のようです。

次に日本語試験を見てみましょう。

②2種類の日本語試験

2種類の日本語試験とは、

1.国際交流基金日本語基礎テスト又は日本語能力試験N4以上

及び

2.介護日本語評価試験

です。これらに合格することが必要です。

介護の仕事は、高齢者とのコミュニケーションがとれないと話になりません。

最低限の日常会話と介護に関する日本語を理解することが求められます。

試験は全15問を30分で答える試験です。

15問の試験内容は以下の科目から出題されます。

・介護のことば(5問)

・介護の会話・声かけ(5問)

・介護の文書(5問)

では、介護日本語評価試験の例題を見てみましょう。

【問題】

したのきいろの文字の ことばと だいたい おなじ いみのものは どれですか。

いちばん いいものを 1・2・3・4から ひとつ えらんで ください。

タンさん、この箱(はこ)を更衣室(こういしつ)に持(も)って行(い)ってください。

1 着替(きが)えをするところ

2 会議(かいぎ)をするところ

3 食事(しょくじ)をするところ

4 運動(うんどう)をするところ

正答:1

いかがでしたか?

介護の仕事をしている方であれば、当たり前のことを聞かれているように感じるかもしれませんね。日本語の問題は簡単に見えますが、この程度の日本語が理解できないと仕事はできませんよね。

公表されている最新の試験結果のデータでは、国によってバラつきがありますが、60%~90%の合格率のようです。ネパールでは90%以上の合格率が続いています。

試験では基本的な知識が問われています。難易度は決して高くないため、合格することはできるかもしれません。

しかし、実際に介護現場で働くことになれば、試験の知識だけで職責を果たすことは難しいと思います。

つまり、特定技能1号で外国人を雇用する際は、教育体制を十分に整えておくことが肝要だということです。介護の指導はもとより日本語教育や日本での生活サポートも欠かせません。

新たな在留資格「特定技能」が創設され、介護分野での受け入れが始まってからもうすぐ2年が経とうとしています。今後、特定技能 1 号の本格的な受入れが始まる見込みです。

人材不足でお悩みの際は、特定技能による外国人の雇用も選択肢の一つとして検討できるのではないかと思います。

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