介護キャリア段位制度と介護士の専門性の向上について

こんにちは。

行政書士・社会福祉士よしかわ事務所の吉川です。

 

7月に入り、暑い日が続いていますね。連日熱中症で救急搬送される方が大勢いらっしゃるようですので、みなさんも十分ご注意ください。

 

さて、先日ネットやテレビで「底辺の職業ランキング一覧」というものが話題になりましたね。

 

ランキングには、介護士をはじめ、社会を支える大切な仕事が列挙されていて、底辺の職業というくくり方にはとても憤りを覚えました。

 

何のためにこのようなランキングを作成したのか・・・

少し考えれば、これらの仕事のお世話にならずには生活はできないことくらいわかりそうなものです。

まったく感謝も感じられない不快なニュースでした。

 

この記事は、批判が殺到して削除されているため確認できませんでしたが、「何を底辺職だと思うのかは人それぞれ」とか、「一般的に底辺職と呼ばれている仕事は、社会を下から支えている仕事で、そのような方がいるからこそ、今の自分があるのだということには気づきましょう」と書かれていたそうです。

 

何か、執筆者の自己保身というか、批判されないように先に言い訳をしているようで、逆に悪意を感じました。本当に思っているのであれば、このような失礼な記事は書かないですよね。本当にがっかりしました。

 

みなさんは、どう感じましたか?

 

私は介護の仕事を長くやってきました。

介護士の視点で考えてみると、腹が立つ思いがある一方で、もっと介護の仕事の魅力を多くの人に知ってもらうことも必要ではないかと感じました。

 

また、この記事では、「誰でもでき、給料が安く、きつい仕事」などと書かれていたそうです。

 

介護の仕事は、誰でも簡単にできる仕事ではありません。

介護を必要とする人の、生活・生命・人生を支えるためには、専門的な知識と技術、それに高い倫理観がなければ務まらない仕事です。

 

しかしながら、誰でもできる仕事というイメージは、少なからずあって、全産業平均年収に比べると介護職の年収は50万円以上低いという現実が、さらにその専門職としての社会的な評価を下げているように思えてなりません。

 

やはり、介護は誰でもできる仕事ではないということを知ってもらうためにも、介護の専門性を社会に知らしめることが必要です。そして、その専門性に見合った報酬が得られる仕組みが求められるのではないでしょうか。

 

このようなことを考えている時に、厚生労働省から発表された介護保険最新情報で介護キャリア段位制度の記事が目に留まりました。

 

介護キャリア段位制度は、平成24年度に内閣府が開始した「実践キャリア・アップ戦略」の一つとして始まりました。

 

全国的に標準化された「介護技術評価基準」に基づき、評価者が、介護士の実践的な職業能力の評価を行う制度です。

わかりやすく言うと、個人の主観などによらない”共通のものさし”で介護士の能力をレベル認定する制度です。

 

具体的には、講習を受けた評価者(アセッサーと呼ばれる)が介護士の「できる度合い(実践的スキル)」を評価します。その結果を実施機関のレベル認定委員会が認定します。ご興味のある方は、厚生労働省のホームページなどのサイトで詳細をご覧ください。

 

介護業界では、介護福祉士という国家資格がありますが、この資格では一定の知識のレベルが評価できますが、実際の現場での実践的なスキルは測りにくい面があります。

 

知識としてわかっていることと、それが実践できることは違います。

 

専門的な介護は、とても奥が深く、科学的な根拠を持って行われるものです。

 

そして、介護を必要とされる方の生活、生命、人生を支えているという重い責任も背負っています。ですから、誰でもできるわけではないのです。

 

一昔前は、KKD(経験・勘・度胸)で何とかなっていた時代もありましたが、今となっては専門職としての知識、技術、経験が求められます。

 

この介護キャリア段位制度では、「現場で実際に何ができるか」を測る評価基準であるため、OJTツールとして積極的に活用できるというメリットもあります。

つまり、この評価基準を満たせるように人材育成を行い、介護士が切磋琢磨して日々の業務を通して成長することが出来ます。

 

ひいては、介護業界全体の専門性の向上にもつながります。

 

ただ、今年に入ってからの調査によると、この制度を取り入れている介護事業所は少なく、監督官庁である各自治体においても普及に積極的ではないようです。

 

その理由として、この制度に取り組んだからといって介護報酬が上がるわけではなく、あくまでも事業者が任意で行うものになっているため、人手不足の介護現場では、優先順位が下がってしまうのではないかと考えられます。

または、制度自体の認知度が低いという点もあるかもしれません。

 

やはり、専門性の高い介護士には、プラスの報酬が入るようにして、専門性と給料が比例していくような仕組みが必要だと感じます。

 

同時に、介護業界で専門性の向上に取り組み、誰でもできる仕事ではないということを広く知ってもらうことも大切だと思います。

 

さいごに、誰もが病気や障害で介護が必要になる可能性があります。

もし介護が必要になっても安心して暮らせる社会が続くように、介護士の担い手が増えることを願いつつ、介護の仕事の魅力が、多くの人に理解してもらえることを願っています。

 

私も介護業界に携わる一人として精進していきたいと思います。 

 

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