「後見制度支援信託」について

こんにちは。

介護・福祉の専門オフィス

行政書士・社会福祉士よしかわ事務所の吉川昇平です。

 

毎日暑い日が続きますね。

外に出ると直射日光が刺さる様な感じで照りつけてきます。

家の中に居ても、窓を開けると熱風が入ってきて一瞬で汗だくです。

クーラーがないと熱中症になりますね。

私は事務所でアイスクリームを食べながら仕事に勤しんでおります。

みなさまも水分補給を心がけて熱中症にはご注意くださいね。

 

 

今回のコラムは「後見制度支援信託」についてご紹介したいと思います。

 

これまでのコラムでもご紹介してきましたが、成年後見制度の下では、後見人は被後見人の財産を管理するという大きな権限が与えられます。

 

しかし、残念ながら一部の後見人が被後見人の財産を流用してしまうという事例が毎年発生しています。

 

そこで、成年後見人等による不正行為を未然に防止するための方策として、「後見制度支援信託」という制度があります。

 

後見制度支援信託とは、家庭裁判所が関与して、被後見人の財産を信託財産にして財産を守る制度です。

 

おおまかに説明すると、本人の財産のうち、日常生活の支払いをするのに必要十分な金銭を預貯金等として後見人が管理し、普段は使用しない多額の金銭を信託銀行等に信託するというしくみです。

 

信託財産については元本が保証されますし、預金保護制度の対象にもなります。

ただし、信託することのできる財産は、金銭に限られています。

 

後見制度支援信託を利用すると、信託財産の払戻しや追加、信託契約の解約をするにはあらかじめ家庭裁判所が発行する指示書が必要となります。

 

つまり、家庭裁判所のチェックが入ることになるので、後見人の不正行為を防ぐことができますし、他の関係者から見てもわかりやすく適正で安全な財産管理が可能になるんですね。

 

また、被後見人の財産は信託財産となり信託銀行等が管理することになりますので、財産管理をめぐる家族間のトラブルを防いだり、後見人が行う財産管理の負担を軽減する、といったメリットも期待できます。

 

この制度は成年後見と未成年後見において利用することができますが、保佐、補助及び任意後見では利用できないので注意が必要です。

 

今年の3月29日のコラムでお伝えしたとおり、これから家庭裁判所は親族を後見人に選任する方向で考えているようです。

 

親族後見人の負担軽減や不正防止の観点からも、今後さらに後見制度支援信託の活用が増えるのではないかと思います。

 

後見人の不正があると、ニュースで大きく取り上げられます。

一部の後見人の行為が成年後見制度自身の信頼を損ねています。

 

後見制度支援信託は、後見人の不正を未然に防ぎ、ご本人の財産を適切に管理するための一つの方法です。

 

このような取り組みを通して、成年後見制度の社会的な信用を高めていけたらいいと思います。そして、誰もが安心して使えるような制度になることを願いながら私も努力していきたいと思います。

 

成年後見制度に関するお悩みは、よしかわ事務所までどうぞお気軽にご相談ください。

 

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今後の後見人の報酬について

こんにちは。

介護・福祉の専門オフィス

行政書士・社会福祉士よしかわ事務所の吉川昇平です。

 

すっきりしない天気が続いてますが、みなさまいかがお過ごしでしょうか。

梅雨明けまでもう少しかかりそうですね。

 

先日、研修会に参加してきました。

何の研修かというと、「成年後見人材育成研修」です。

 

この研修は、社会福祉士会の「権利擁護センターぱあとなあ」(以下、ぱあとなあ)への入会及び成年後見人等の候補者名簿登録をするために必須の研修です。

 

つまり、社会福祉士として成年後見の仕事をするためには、社会福祉士会に入会し、ぱあとなあにも所属することが必要なんですね。

 

私は事務所を開業する時に、成年後見業務も考えていたので、社会福祉士会に入会しました。もちろんぱあとなあにも所属できるものと思っていましたが、3年間かけて基礎研修というものを受けないと、ぱあとなあの入会研修が受けられないことが判明しました。

 

基礎研修とは社会福祉士としての専門性をみっちり叩き込まれる研修です。

この3年間の研修を終えて、ようやくぱあとなあ入会研修の切符を手に入れたというわけです。

 

これだけ多くの研修が求められるのは、やはり成年後見人の責任の重さからでしょう。

私はすでにNPO法人に所属して成年後見の仕事をしていますが、この機会に学びを深め、実務に活かしたいと思います。

 

さて、今回のコラムは成年後見人、保佐人、補助人(以下、成年後見人等)の報酬について書いてみたいと思います。

成年後見人等の仕事をするうえで、とても重要な話題です。

 

今年の3月の下旬に、最高裁が全国の家庭裁判所に対し、成年後見人等に与える報酬の算定方法を変更するように促す通知を出したと新聞で報道されました。

 

成年後見人等の報酬に関することは民法に定められています。

 

“家庭裁判所は、後見人及び被後見人の資力その他の事情によって、被後見人の財産の中から、相当な報酬を後見人に与えることができる。(民法862条)”

 

 

ちなみに、奈良家庭裁判所後見係は以下のように報酬の目安を公表しています。

 

【基本報酬】

成年後見人等が、通常の後見事務を行った場合の基本報酬の額=月額2万円。

 

ただし、

管理財産額が1000万円を超え5000万円以下の場合

基本報酬額=月額3万円~4万円

 

管理財産額が5000万円を超える場合

基本報酬額=月額5万円~6万円

 

基本報酬額の修正

・収益不動産が多数ありその管理が複雑

・親族間に意見の対立がありその調整が必要な事案

・被後見人等の身上監護が困難な事案

・成年後見人等の不正があり後任の成年後見人等がその対応にあたる事案

などの場合には、上記基本報酬額の50パーセントの範囲内で加算した額を基本報酬額とすることがある。

 

【付加報酬】

(1)訴訟等の特別の行為により、被後見人の財産を増加させた場合

経済的利益額に応じて付加報酬額を決めるが、事案の内容に応じて、30%の範囲内で増減することがある。

(2)特別の後見事務を行った場合

後見開始時に財産調査を行った場合、終了時の引継事務を行った場合、施設入所契約を行った場合には、事務内容に応じて、それぞれ5万円以内、10万円以内、20万円以内で付加報酬額を決める。

(3)(2)の付加報酬を増額する特段の事情がある場合

10万円から30万円の範囲内で付加報酬額を決める。

 

このように、基本報酬については利用者の財産額に応じて目安が示されています。

 

これまで、後見事務は財産管理に偏っているケースがあると言われていました。

 

これは極端なケースですが、専門職後見人の中でも、財産管理がメインの仕事であるからと言って、本人に面会しようとしない後見人や、施設などへ行っても本人に会わず施設職員と事務手続きだけ交わして帰る後見人もいると聞いたことがあります。

 

その割に、ある程度の報酬を払う利用者からは「後見人が報酬に見合う仕事をしない」といった不満が出ていました。

 

報道によると最高裁はこの算定方法を、業務量や難易度によって金額を調整する方法に改めるようです。

 

これから特に重視されるのは、本人の意向を確認し、関係者と連携しながら生活の質を向上させるような後見事務です。

 

そうすると、介護や福祉サービスの調整、契約をはじめとする身上保護に関する事務への報酬がより手厚くされることが想定されます。

 

認知症の方、身寄りのない方、所得の低い方など福祉的ニーズが高いケースが増えていますし、社会福祉士の専門性への期待が高まるのではないかと思います。

 

今後は本人の身上保護をより重視した事務に改善されていくことを期待したいですね。

そして、本人の意思決定支援についても重視されていくことを切に願います。

 

私も行政書士、社会福祉士として社会の期待に応えられるよう努力したいと思います。

 

成年後見制度は報酬の考え方をはじめ、必要な人が安心して利用できるように色んな面で改善が進められています。引き続き、今後の動向をチェックして、お伝えできることがあればコラムで発信していきますね。

 

弊所では、成年後見制度をはじめ、福祉に関するご相談をいつでもお受けしています。

お気軽にご連絡ください。

 

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見守り契約について

こんにちは。

行政書士・社会福祉士よしかわ事務所の吉川昇平です。

 

先日、「老人ホームで90代男性が孤独死 明石の施設2週間気付かず」

という報道がありました。

 

テレビや新聞でご覧になった方も多いと思います。

 

24時間スタッフが常駐する兵庫県明石市の介護付き有料老人ホームで、入居者の90代男性が居室で「孤独死」していたそうです。

 

この施設は夜間も看護師やヘルパーが常駐していますが、男性は介護サービスや室内の清掃サービスを利用していなかったとのこと。

 

どんな事情があったかはわかりません。

 

でも、なぜ防げなかったのか、そしてなぜ2週間も気が付かなかったのか

本当に悔やまれます。

 

明石市は、経緯や原因を究明する緊急検証チームを市役所内に設置したそうです。

しっかり調査をして、再発防止策につなげてほしいと思います。

 

 

さて、話は変わりますが、今回は見守り契約についてお伝えしたいと思います。

 

最近、ひとり暮らしの方から将来の備えについてご相談いただくことがあります。

 

最初は漠然と不安な気持ちをお話しされますが、詳しく聞いていくと、財産のこと、病気のこと、介護のこと、そして死後の遺産整理のことなど、何を不安に感じておられるのかが具体的にわかってきます。

 

でも根本にあるのは、ひとり暮らしなので何かあった時に誰にも助けてもらえないのではないかという不安です。

 

そして、家族や近所との付き合いが少なく、頼れる人がいないため、気軽に相談したり、重要な手続きを頼める人がほしいと望まれるケースもあります。

 

 

このような場合、以前のコラムでもお伝えした任意後見契約の説明に加えて

「見守り契約」をお勧めしています。

 

「見守り契約」とは、おもにひとり暮らしで判断能力がしっかりしている高齢者との間で、定期的に訪問・連絡をとることにより、健康状態や生活状況などを把握し安全に生活できるようにサポートする契約です。

 

本人が病気などのときには受診、入院の手配をしたり、親族に連絡したりできます。

さらに、何か困ったことが起きた場合の相談相手にもなることができます。

 

この契約は、契約書による当事者間の合意のみで効力が生じ、内容も自由に定めることができますが、契約内容を確実に履行するためには、公証役場で公正証書により契約をしておいたほうがよいかもしれません。

これは、任意後見契約書作成時に同時に作成が可能です。

 

そうすることで、頻繁に本人の判断能力等を把握して、任意後見契約に移行すべきかどうか判断することができます。

 

「見守り契約」を活用することで、ひとり暮らしの高齢者の安心につながるのではないかと思います。

 

現在、日本ではひとり暮らしの高齢者がどんどん増加しています。

 

平成29年版高齢社会白書によると、

 

65歳以上の一人暮らし高齢者の増加は男女ともに顕著であり、

昭和55(1980)年には男性約19万人、女性約69万人、

高齢者人口に占める割合は男性4.3%、女性11.2%であったが、

 

平成27(2015)年には男性約192万人、女性約400万人、

高齢者人口に占める割合は男性13.3%、女性21.1%となっている。

 

との記述があります。

 

今後もひとり暮らしの高齢者は増加することが想定されます。

誰もが他人事ではありません。

 

 

自分が将来ひとり暮らしになるかもしれない

自分の家族がひとり暮らしになるかもしれない

家の近所にもひとり暮らしの高齢者がいるかもしれない

 

地域包括支援センターに勤める知り合いの話では、地域のひとり暮らしの高齢者を訪問した際に、家族や友人に迷惑をかけたくないという理由から、大変な生活状況でも助けを求めず一人で頑張る方が多いそうです。

 

でも、誰もがしんどい時に気軽に「助けて」と言える人が必要だと思いますし、もし困っている人がいたら、気にかけたり声をかけられる地域社会でありたいですよね。

 

孤独死を防ぐためには人とのつながりが欠かせません。

 

家族や住民同士の人間関係が希薄であるために孤独死に繋がる、つまり「関係の貧困」が孤独死に影響しているとの指摘もあります。

 

見守り契約のような法的な絆、安心を得られる精神的な絆が必要な時代がやってきているのではないでしょうか。

 

弊事務所では、見守り契約をはじめ、ひとり暮らしの不安などについてご相談をお受けしております。一緒に考えながらよりよい方向へ進めるようお手伝いさせていただきます。

 

お気軽にご相談ください。

 

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成年後見制度の診断書の書式の改定と本人情報シートの導入について

こんにちは。

 

安心をお届けする介護・福祉の専門オフィス

行政書士・社会福祉士よしかわ事務所の吉川昇平です。

 

ゴールデンウィークも後半になってきましたね。

みなさまはいかがお過ごしでしょうか。

 

10日間連休の方、お仕事の方

海外旅行、温泉旅行などに行かれる方、家でゆっくりされる方

様々な10日間を過ごされていると思います。

 

そして、平成から令和へ新しい年号に変わりました。

世間はお祝いムード、私もなんとなくワクワクしています。

令和の時代も平和で穏やかな時代になるといいですね。

 

さて、今回のコラムも成年後見制度に関するニュースをお届けします。

 

平成31年4月より、成年後見制度の利用にあたって必要な「診断書の書式」が改定されました。そして、新たに「本人情報シート」というものが導入されることになりました。

順に見ていきましょう。

 

まず、この一連の経緯を見てみると、平成28年5月に「成年後見制度の利用の促進に関する法律」が施行され、平成29年3月に、「成年後見制度利用促進基本計画」が閣議決定されました。

 

そして、成年後見制度利用促進基本計画において、医師が診断書を作成する際に、本人に関わっている福祉関係者からの情報、つまり本人の置かれた家庭的・社会的状況等に関する情報も考慮できるように診断書の在り方について検討することとされました。

 

このような基本計画を踏まえ、医師が医学的判断を、より的確に表現することができるよう「診断書の書式」が改定され、さらには福祉関係者が本人の生活状況等に関する情報を記載し、医師に伝えるためのツールとして、新たに「本人情報シート」が導入されたようです。

 

これまでも、成年後見制度の利用開始の申立てにあたり、本人の精神上の障害の有無を確認するため、医師が作成した診断書を提出することになっていました。

 

また、法律上、家庭裁判所が成年後見制度の利用開始を認めるか否かの判断をする際には、原則として、本人の精神の状況について鑑定をしなければなりません。

ただし、明らかに鑑定の必要がないと認めるときは、鑑定を行う必要はないとされています。

 

つまり、診断書の提出のみで鑑定の必要がないと判断されるケースがあったということです。

 

最高裁判所事務総局家庭局から出されている成年後見関係事件の概況(平成30年1月~ 12月)によると、

 

成年後見関係事件の終局事件のうち、鑑定を実施したものは、全体の約8.3%(前年は約8.0%)であった。

 

となっています。

ほとんどのケースで鑑定が行われず、医師の診断書のみで医学的判断がされていることがわかります。

 

成年被後見人となった場合には、本人の権利をまもることができる反面、行為能力が制限されることにもなります。

本人に大きな影響があることから、補助・保佐・後見の判別は、十分な情報に基づき、適切に行われるべきです。

 

しかし、成年後見制度の診断書は精神科等の専門医しか書けないという決まりはなく、これまでの仕組みでは、本人の能力を正確に見極めることが不十分なまま、後見等の審判がなされていたケースもあるのではないかと思います。

このことは、利用者の不満につながり、成年後見制度の利用が進まなかった原因の一つとして考えられます。

 

今回の診断書の書式改定のポイントとして、「判断能力についての意見欄の見直し」や「判定の根拠を明確化するための見直し」があります。これまで財産管理能力に偏った部分のチェック項目を変更したり、判定の根拠については自由記載だった精神上の障害の有無と程度について、判定の根拠を具体的に記載する欄が設けられています。

 

さらに、補助資料としての本人情報シートの導入によって、医師は、本人の生活状況や必要な支援の状況等を含め、十分な資料に基づき、より的確に判断することができるようになります。

 

新しい診断書の書式及び本人情報シートの作成に当たっては、認知症や障害がある方の各関係団体や、医療・福祉に携わる関係団体から意見を聴取するなどして検討されたようです。利用される方の立場から意見が述べられ、少しでも利用者本位の内容に改善されたことはよかったと思います。

 

今回の診断書の改定、本人情報シートの導入が利用者の判断能力に応じた自己決定権の尊重や本人保護といった制度趣旨の実現につながり、また利用者がメリットを実感できる制度へとつながることを期待したいですね。

 

弊所では、成年後見制度に関するご相談をお受けしています。

お悩みの際にはお気軽にご連絡ください。

 

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最高裁の考え方「これからは親族後見人」!?

こんにちは。

 

安心をお届けする介護・福祉の専門オフィス

行政書士・社会福祉士よしかわ事務所の吉川昇平です。

 

 

桜も咲き始め、春らしくなってきましたね。

 

 

先週、マリナーズのイチロー選手が引退を発表されました。記者会見をご覧になった方も多いと思います。

 

私は学生時代、野球部に所属していました。

イチロー選手に憧れて試合で「振り子打法」を真似してみました。(残念ながら打率は上がりませんでした)

 

特に憧れたのはイチロー選手の「レーザービーム」です。

外野からの返球でランナーを刺す(アウトにする)姿は見ていて本当に憧れます。

 

バットでの記録が注目されやすいですが、走塁、守備も超一流なんですよね。まさに走攻守の3拍子がそろったスーパースターです。

 

イチロー選手の会見を見ていて一番印象に残ったのは、生き方について語った場面です。

 

~少しずつの積み重ね、それでしか自分を超えていけないと思うんですよ~

 

あくまでも測りは自分の中にあって、自分がやると決めたことを信じてやっていくという主旨の話もされていました。

メジャーリーグで歴史的な活躍をした世界のイチロー選手。

この偉大な記録の背景には、凄まじい努力と、自分の弱さに負けない強い精神力があるんだろうなあ・・・と想像しました。

 

そんなイチロー選手の言葉を聞きながら、私も努力を惜しまず、成長できるように頑張りたいと思いました。

 

 

 

前置きが長くなりましたが、本題に入りましょう。

 

今回は成年後見制度に関する興味深いニュースがありましたのでご紹介させていただきますね。

 

平成31年3月18日

厚生労働省にて第2回成年後見制度利用促進専門家会議が開催されました。

詳しい資料は厚生労働省HPでご確認ください。

https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_03991.html

 

 

この会議で、成年後見制度をめぐって最高裁判所が「後見人には身近な親族を選任することが望ましい」との考え方を示しました。

 

私は以前のコラムで

 

後見人になった家族の不正などが背景にあり、弁護士ら専門職の選任が増えていて、家族でも選任されるとは限らないとお伝えしていました。

 

しかし、この傾向が大きく変わる可能性があります。

 

これまで、家庭裁判所が親族らの不正を防ぐ観点から、専門職の選任を増やす傾向がありました。

 

しかしながら、現在判断力の低下によって権利を護る必要がある人の数に比べ、制度を利用している人の数は低迷しています。

 

色んな原因があると思いますが、大きな原因の一つとして、後見人の担い手不足があるのではないかと思います。

専門職の後見人は数が限られています。一人で何十人も担当することは実務的に不可能です。

 

各自治体で市民後見人の養成なども進められていますが、全国的に十分な担い手が確保できているとはいえない状況です。

 

最高裁は基本的な考え方として、「後見人にふさわしい親族など、身近な支援者がいる場合は、本人の利益保護の観点から親族らを後見人に選任することが望ましい」と提示しました。

 

恐らく、親族に後見人として就任してもらわないと担い手が足りないことが明らかになってきたのではないかと想像します。

 

また、後見人の交代についても、「不祥事など極めて限定的な現状を改め、状況の変化に応じて柔軟に交代・追加選任を行うとする。」とも言っています。

 

これまで、一度就任したら簡単に辞任できませんでした。

 

これは色んな人に後見人の担い手として活動してもらえるようにと考えているようにも聞こえます。

 

ただし、色んな人が後見人として活動する場合、責任を持って後見活動を行わないと、被後見人の権利が侵害されてしまいます。

 

 

最高裁家庭局は、後見人の選任は各裁判官が個々の事案ごとに判断するため「あくまで一つの参考資料」と説明していますが、最高裁の考え方が表明されたことによる影響は必至ではないでしょうか。

 

今後どのような制度運用がなされるのか引き続き注目していきたいと思います。

 

これから認知症患者数が増加することが想定されています。例え、認知症になったとしても安心して暮らせる社会でありたいですね。

 

そのためには、私たち国民が関心を持って制度をチェックしていくことも大切だと思います。

また、新しい情報があればコラムでご紹介させていただきます。

 

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社会福祉士と成年後見制度

こんにちは。
安心をお届けする介護・福祉の専門オフィス
行政書士・社会福祉士よしかわ事務所の吉川昇平です。
今回も引き続き、「社会福祉士」について書いてみたいと思います。

 

最近、ニュースやワイドショーで千葉県で起こった児童虐待、そして小学校でのいじめの問題が報じられています。その内容を知れば知るほど本当にあったことなのかと衝撃を受けました。

 

教育委員会、児童相談所の対応、また小学校の先生の不適切な言動に批判が寄せられています。一番つらい思いをしているのは子供たちです。

 

今後、どのようにして子供たちを守るのかを真剣に考えないといけません。私も他人事ではなく自分事として何かできることがないか考えているところです。

 

また、社会福祉士という立場で考えると、子どもの人権を護るという使命があります。虐待やいじめの問題には家族関係や経済状況などに福祉課題を抱えているケースが少なくありません。このような痛ましい事件が起こるたびに、社会福祉士が専門性をさらに発揮していく必要性を感じます。

 

現在、児童相談所や教育委員会で頑張っている社会福祉士に期待しつつ、日本社会福祉士会としても何らかのアクションがあれば協力していきたいと思います。

 

さて、今回のコラムでは、社会福祉士と成年後見制度についてもう少し詳しくお伝えしてみようと思います。前回も簡単にご紹介しましたが、相談援助の専門職、社会福祉士が成年後見制度で担っている役割をお伝えしたいと思います。

 

社会福祉士が成年後見活動に取り組んでいることは、前回のコラムの通りです。

 

活動の根底には「社会福祉士の倫理綱領」があります。活動の拠り所ですね。 これは研修などで徹底的に学びます。とても大事です。

 

その中に、「人間の尊厳」という言葉があり、すべての人間をかけがえのない存在として尊重するとしています。社会福祉士の活動における原則であり出発点だと思っています。

 

社会福祉士には、支援を必要とする人々の生活と権利を擁護することが、社会福祉士という専門職としての価値と原則を具体化するものとしてとらえていて、成年後見制度などの権利擁護の法制度を理解し、積極的に活用していく力が求められています。

 

そして、社会福祉士は地域包括支援センターや権利擁護センターなどで実際に権利擁護に関する相談に対応しています。

 

成年後見制度などの権利擁護制度を利用する必要のある人は、判断能力の衰えや虐待を受けている場合など、自ら主張すること、支援を求めることや制度を活用することができにくい特徴があります。

 

ですので、この人たちが制度を利用し、その利益を享受することができるようにするためには、入り口としての相談が極めて重要になります。

 

この権利擁護相談において社会福祉士は、福祉に関する相談援助、連絡調整の専門職としての役割が期待されています。この期待に応えるには勉強が欠かせません。多くの社会福祉士は勤務外で時間を確保して研修会などで勉強しています。私も頑張らなくては・・・

 

また、成年後見制度は、制度の発足当初から「複雑でわかりにくい」「なじみにくい」などの声が多く、制度利用のための身近な専門相談機関の心要性が指摘されてきました。

 

このような背景もあり、前述の地域包括支援センターは、専門的·継続的な視点から高齢者の権利擁護のための支援を行うことを目的とし、事業内容として成年後見制度の利用支援や高齢者虐待への対応等を実施しています。

 

これらの業務を遂行する専門職として、社会福祉士が配置されているんですね。私の知り合いにも地域包括支援センターで頑張っている社会福祉士がたくさんいます。みなさんから聞く話には、教科書には載っていない色んなエピソードがあります。その中には実務でしか得られない貴重な経験があり、いつも学ばせていただいてます。

 

このように、成年後見制度などの権利擁護に関する相談は、地域包括支援センターが地域の窓口となっています。そこで、しっかり相談者に寄り添いながら、必要な支援をしてくれたり、専門機関や専門家につないでくれます。

 

弊所は地域包括支援センターや地域のケアマネジャーさんからご相談いただくこともあり、協力しながら高齢の方の生活が安定し、安心して暮らせるように支援させていただいています。

 

相談援助を仕事とする社会福祉士は、相談援助技術というものを学んでいます。 社会福祉士に限らず、人と関わる仕事において相談援助技術は必要な技術ですし、役に立ちます。相談に来られた方が安心して話せるかどうか、信頼できるかどうかは相談を受ける立場としてはとても重要です。

 

私も引き続き、自己研鑽に努めようと思います。
機会があれば、役に立つ相談援助技術のご紹介もしていきたいと思います。

 

弊所では地域の方のご相談をはじめ、医療、福祉専門職の方からのご相談もお受けしております。

お悩みやお困りごとをしっかりお聞きし、一緒に解決策を考えます。
お気軽にお問い合わせください。

 

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日常生活自立支援事業を利用するための手続きについて

こんにちは。

行政書士・社会福祉士よしかわ事務所の吉川昇平です。

 

12月になりました。

早いもので、今年も残すところわずかとなりました。

なんだか、急にせわしい気分になってきたのは私だけでしょうか。

みなさま、いかがお過ごしですか?

 

先日、年末の恒例行事となっている漫才の頂上決戦「M-1グランプリ」が放送されました。

私はお笑いが大好きで、毎年楽しみにしています。

今年もたくさん笑わせてもらいました。

 

最終決戦に残った3組はやはり実力がありますね。とても面白かったです。

特に気になったのは「和牛」というコンビです。去年、一昨年と連続で2位。

多くの人が、今年こそは!という期待を持って見守っていたのではないかと思います。

そして、期待通りの漫才を見せてくれました。

 

結果は惜しくも2位。僅差でしたね。

ただ、和牛の実力は誰もが認めるところだと思います。今後も楽しみです。

 

ところで、和牛が最終決戦で披露したネタが「オレオレ詐欺」でした。

母親がオレオレ詐欺に引っかからないように、息子が実際に電話をかけて訓練するという設定です。漫才自体はとても面白かったのですが、私はオレオレ詐欺の怖さを改めて感じました。

 

多くの人は、「自分は大丈夫」または、「自分の親は大丈夫」と思っているのではないでしょうか。

私もそう思っていました。しかし、巧妙な話術で気付かぬうちに騙されることがあるのではないかと感じました。

 

特に、高齢になると年とともに判断力が低下するケースもあります。病気や事故などが原因で判断力が低下することもあります。

そんな時は、周囲の人のサポートが必要です。また、いろんな制度や支援機関の力を借りることも必要になるでしょう。

 

漫才を楽しみながら、社会問題についても考えるきっかけになりました。

とても奥が深い漫才でした。

そして、オレオレ詐欺に騙される人をなくすために自分に何かできることがないだろうかと考える機会にもなりました。

 

さて、前置きが長くなりましたが、今回も前回のコラムに引き続き「日常生活自立支援事業」についてお伝えしていきます。

 

今回は日常生活自立支援事業を利用するための流れや支援の内容についてお伝えしていきます。

 

日常生活自立支援事業を利用するまでの流れ

1.相談受付

まずは、相談を受け付けるところから始まります。本人やそのご家族からの相談のほか、地域の民生委員·児童委員、地域包括支援センター、ケアマネジャー、ホームヘルパーなどから相談が寄せられることによって、初期相談を行います。そして、ここから事業を利用するための手続きが始まります。

 

相談を受け、援助の必要性があると考えられる場合は、専門員が本人のもとを訪問して、日常生活自立支援事業の利用についての意向や意思を確認します。

 

この事業では、本人や家族からの相談よりも、本人や家族にかかわっている関係機関からの相談がきっかけとなることが少なくありません。

 

そのため、専門員は本人へ丁寧な説明を行い、また本人の生活上の希望を十分に聞きながら利用の意思を確認します。

 

2.利用できるか具体的な調査をする

次に、本人の利用希望が確認されたら、専門員は、契約締結判定ガイドラインに基づき、具体的な調査を行います。この段階で、本人に日常生活自立支援事業の利用契約を結ぶ能力があるかどうかの確認と、提供するサービスの特定を行います。

 

もし、この段階で、本人に契約を結ぶ能力(契約締結能力)があるかどうか疑わしい場合には、都道府県社会福祉協議会に設置されている契約締結審査会に審査を依頼することになります。

 

そして、契約締結審査会の審査結果によって、契約締結能力があると判断された場合には、次の段階に進むことができます。

 

契約締結能力がないと判断された場合には、本人にその旨を知らせるとともに、成年後見制度の利用等も含め、その人にとってふさわしい生活を送ることができるように、行政や支援団体等の関係機関につなぎます。

 

3.契約書·支援計画を作成して契約を結ぶ

本人の意向が確認され、契約締結能力にも問題がないと判断されたら、専門員は契約書案や支援計画案を本人に示します。そして、今後日常生活自立支援事業において、どのような援助を行っていくかを説明し本人の合意を得ます。

 

その後、1週間をめどに、再度、本人のもとを訪問し、本人の意思の確認、契約内容の理解の再確認をしたうえで、契約を締結します。

 

4.援助の開始

契約が締結されれば、生活支援員が、契約書や支援計画に基づいてサービスを提供します。また、契約を結んでから3ヵ月後に、サービスの実施状況を確認し、支援計画の評価を行います。その後も、契約書に定められた一定期間ごとに支援計画の評価を実施します。

 

5.契約の終了

本人が解約を申し出た場合、本人が死亡した場合、本人の意思が確認できないために本人の生活にふさわしい新たな支援計画を作成できない場合には契約を終了することになります。

 

ここまでが、日常生活自立支援事業を利用するまでの流れになります。

続いて、利用料金と支援内容です。

 

【利用料金について】

相談開始から契約を締結するまでの相談支援は無料です。

契約が締結された後、契約に基づいて行われる生活支援員による援助については、原則として自己負担となります。

 

利用料については、実施主体ごとの判断によるため金額が異なりますが、平均すると、1時間あたり、およそ1200円前後となっています。

なお、生活保護を受給されている方については、公費により補助されることになっています。

 

【支援内容について】

具体的な援助の方法として、相談·助言·情報提供、連絡調整、代行、代理が想定されていますが、本人の自己決定を尊重するために、なるべく「相談・助言・情報提供」「連絡調整」を中心に援助を行い、本人自らが各種の手続きを行うことができるよう援助することを基本としています。

 

相談·助言·情報提供には、生活支援員が、市区町村の行政窓口や金融機関の窓口に本人とともに出向き、本人自らが手続きできるよう、言葉の解説をしたり、記入方法などの助言をしたりすること(同行での相談と助言)も含まれます。

 

代行とは、本人が作成した契約書類等を福祉サービス事業者に届けたり、本人から現金を預かって福祉サービスの料金を事業者に支払うなどといったことです。

 

代理は、本人に代わって第三者が法律行為を行うことをいいます。日常生活自立支援事業では、この代理の援助は限定して行うこととしています。

 

この事業で想定している代理権の範囲は、在宅福祉サービスの利用手続き、本人が指定した金融機関口座の払戻しに限られています。代理の援助を利用する場合には、代理権の範囲は契約により定められることになります。

 

金銭管理については、ガス·電気·水道などのライフラインや住居の確保など、本人の生活基盤を支えるための重要なものであり、金銭管理ができなくなると、生活が成り立たなくなってしまいます。認知症高齢者や障害のある人など、判断能力の不十分な人が在宅生活を継続するためには、金銭管理は重要な要素です。

 

日常生活自立支援事業は、判断能力が不十分な人の金銭管理の支援を行うことで、本人の生活の安定を実現し、自立を支援することも目的としています。

 

ここまで、日常生活自立支援事業についてお伝えしてきました。

この事業は、みなさんの地域にある社会福祉協議会が実施しています。気になった方は最寄りの社会福祉協議会へお問い合わせください。

弊所でもご相談をお受けしています。

生活の中で不安に思うことなど、ちょっとしたことでも大丈夫です。お気軽にご相談ください。

 

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成年後見制度と日常生活自立支援事業

こんにちは。

行政書士・社会福祉士よしかわ事務所の吉川昇平です。

 

最近は朝と晩の冷え込みが厳しくなってきましたね。

気がつけば、もう11月。我が家では寝具の入れ替え、衣替えなど冬支度を始めました。

 

今年も残り2か月です。

寒さに負けず、2018年のラストスパート、頑張りたいと思います。

 

さて、今回は、社会福祉法に基づく「日常生活自立支援事業」についてお伝えしたいと思います。

 

日常生活自立支援事業とは

判断能力が十分でない人に対して、福祉サービスの利用に関する手続きの援助を行ったり、地域において自立した生活が送れるように支援することを目的として導入されました。

 

判断能力が十分でない人を支える事業というと、成年後見制度が思い浮かびますよね。

「日常生活自立支援事業」と「成年後見制度」

この2つの制度はよく似ていますが明確な違いもあります。

 

では、順番に説明していきましょう。

 

日常生活自立支援事業がつくられた背景

まず、日常生活自立支援事業がつくられた背景からみていきます。

介護保険法の施行によって、利用者みずからがサービスを選択し、サービス提供者と契約を結び、その契約に基づいて福祉サービスを利用するしくみが基本となりました。

 

しかし、福祉サービスを利用する人の中には、判断能力が必ずしも十分でない人も少なくありません。そうした人々にとって、自分で福祉サービスを選択し、契約を結ぶという行為は容易ではありません。

 

そのため、一連の流れを援助するしくみが必要となったのです。そのしくみとして、日常生活自立支援事業が誕生しました。判断能力が低下した人が安心してサービスを選び、契約を結ぶことができるように支援する成年後見制度も目的としては共通しています。

 

実施主体は社会福祉協議会

日常生活自立支援事業を実施する主体は、都道府県·指定都市社会福祉協議会です。

厚生労働省は、日常生活自立支援事業を創設した際に、全国のあらゆる地域で実施できるようにするため、全国的なネットワークをもつ公益的な団体であり、すでに各地で先駆的な取組みを行っている社会福祉協議会を中心とした事業としました。

 

都道府県·指定都市の社会福祉協議会が事業を実施するにあたっては、市区町村社会福祉協議会等に委託することができます。また、利用者の利便性を考慮して、事業の一部については、地域のNPO法人や当事者団体にも委託することができるようにもなっています。ほとんどの場合は社会福祉協議会ですね。

 

成年後見制度と比べてみると、法定後見では、家庭裁判所に申立てますし、任意後見では公証役場で公証人に任意後見契約書を作ってもらいます。日常生活自立支援事業は社会福祉協議会が中心になっているところが大きな特徴です。

 

日常生活自立支援事業で受けられるサービス

では、日常生活自立支援事業ではどのようなことを行っているのでしょうか。

認知症高齢者など、判断能力の不十分な人が地域において自立した生活を送ることができるよう、以下のサービスを中心とした援助を行っています。

 

  • 福祉サービスの利用援助

福祉サービスの利用援助では、福祉サービスの利用または利用中止のために必要な手続き·福祉サービスの利用料を支払う手続き、福祉サービスについての苦情解決制度の利用手続きに関する援助を行います。

また、住宅改造、住居の賃借、日常生活上の消費契約や住民票の届出などの行政手続に関する援助なども行います。

 

  • 日常生活における金銭管理

日常生活における金銭管理では、年金や福祉手当を受けるために必要な手続き、医療費の支払いに関する手続き、税金や社会保険料、公共料金を支払う手続き、日用品等の代金を支払う手続きに関する援助を行います。

また、これらの支払いに伴う預貯金の払戻し、預貯金の解約、預貯金の手続きに関しても援助を行います。

 

  • 書類預かりサービス

書類預かりサービスでは、利用者の書類等を預かります。

預かることのできる書類としては、年金証書、預貯金の通帳、契約書類·保険証書、実印、銀行印などがあります。

実施主体である社会福祉協議会の判断により、預貯金通帳等の書類預かりサービスを、福祉サービスの利用援助とあわせて実施することができます。

 

利用者は、居住している地域の社会福祉協議会と契約して利用する

日常生活自立支援事業を利用する場合、社会福祉協議会との契約になります。この点も成年後見制度と違う点です。

具体的な流れは次回のコラムでお伝えしますね。

 

対象者は判断能力の不十分な人

では、この事業は、どのような人が対象になるのでしょうか。

それは認知症高齢者、知的障害者、精神障害者など、判断能力が日常生活を送るうえで必要な福祉サービスの利用に関して、自分の判断で適切に決定することが困難な人です。同時に、この事業の契約内容について判断し決定できる能力を有していると認められることが必要です。

 

つまり、「判断能力が不十分である」、「日常生活自立支援事業の契約内容について判断できる」といういずれの要件にも当てはまる人が対象になります。

なんだか矛盾しているようにも思えますね。

 

もう少し具体的に言うと、認知症などで判断能力が多少衰えたけど、日常的な生活を支援してもらえれば、まだまだ住み慣れた地域で自立した生活が送れる場合は、日常生活自立支援事業の利用が考えられます。

 

なお、認知症の診断、療育手帳や精神保険福祉手帳などの所持が利用の要件になることはありません。

 

一人暮らしなどで少し不安があるという人も利用できますし、もし、判断能力がもっと低下してしまったら成年後見制度につなげます。また成年後見制度と併用するケースもあります。

 

日常生活自立支援事業を利用するためのしくみ

改めて日常生活自立支援事業を利用するためのしくみを確認すると、サービスは本人と社会福祉協議会が利用契約を結んで行うことになります。

 

そして、実際にどんな人が支援してくれるかというと、福祉サービスの利用援助や金銭管理などの具体的な援助は、社会福祉協議会に雇用される「専門員」と「生活支援員」が行います。

 

専門員は、初期相談から、本人に必要な援助の決定(支援計画の策定)、この事業に必要な契約締結能力の確認、契約締結に関する業務を行います。

 

生活支援員は、支援計画に基づき、定期的もしくは本人から依頼があったときに援助を行います。

専門員および生活支援員は、当然ながら常に本人の自己決定を尊重する権利擁護の視点に立って援助を行っています。

 

以上が日常生活自立支援事業の概要です。

成年後見制度を利用するほどではないけれど、何か不安があって支援が必要ではないかと考えられる人は地域の社会福祉協議会にご相談ください。

 

弊所でも日常生活自立支援事業や成年後見制度のご相談をお受けしています。

お気軽にご相談ください。お待ちしています。

 

次回は日常生活自立支援事業を利用するための手続きや実際の支援の流れをお伝えしたいと思います。

 

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任意後見とともに備えておきたいこと

こんにちは。
行政書士・社会福祉士よしかわ事務所の吉川昇平です。

今回は任意後見とともに備えておきたいことをご紹介したいと思います。

先日、テレビのバラエティー番組で終活の特集をやってました。

出演している芸能人が自分の終活について紹介したり、お墓選びや終の住処をさがすなどの内容でしたが、終始楽しい雰囲気でした。

「死ぬことを考えるなんて縁起が悪い」と思われていた時代もありましたが、現在は終活の認知度が上がり、そのイメージも変わってきているようです。

また、朝のワイドショーでも終活に関する特集をよく見かけます。
お墓見学ツアーなるものが人気だとか・・・

それだけ終活に関心を持っている人が多いということですよね。
高齢期を安心して過ごしたいという希望は誰もが持っていると思います。

ところで、「終活」という言葉は日常的に使われていますが、みなさんはどんな意味で使っていますか?

私は、財産の整理(相続の準備)や葬儀、お墓の準備など今のうちに決めておくことかなと思っていました。

一般社団法人終活カウンセラー協会のホームページには、

「終活とは人生のエンディングを考えることを通じて“自分”を見つめ、“今”をよりよく、自分らしく生きる活動」

と書いてありました。
今をよりよく、自分らしく生きるために終活があるのですね。
そして、死ぬことを考えることにより、今をどう生きるのかを考えることにつながるようです。

「これから残りの人生をどう生きるか」

趣味や生きがいをもって楽しく生きていくことを考えるのはもちろん大事なのですが、そのためには不安を解消するための対策も必要です。

高齢期に抱える不安として、お金のこと、健康のこと、介護のこと、葬儀・お墓のことなど様々です。

前回のコラムでお伝えした任意後見契約は、認知症による判断能力の低下に対する備えでしたね。これも一つの備えではありますが、任意後見契約だけではカバーできないこともあるんです。

たとえば、葬儀のことやお墓のことは任意後見契約ではカバーできません。

なぜなら、任意後見契約は本人が死亡してしまったら契約が終了するからです。

亡くなった後のことは親族に任せることになりますが、葬儀ができるような親族がいない場合や、いても任せられない場合には、「死後事務の委任契約」という方法があります。

死後事務の委任契約では、亡くなった後の親族などへの連絡や葬儀社の手配、役所の手続き、火葬、納骨、自宅の整理などが頼めます。

たとえば、葬式は誰が行い、葬儀費用は誰が支払うのかといったことも、決めておくことで相続トラブルを防ぐことができます。

また、最近の葬儀は、家族葬など簡素化されたり、お墓に関しては散骨や樹木葬への関心が高く、多様化しています。つまり、葬儀やお墓に関する考え方や希望も多様化しています。

自分の遺志を実現しようと思えば、誰がいくらの費用で何をするのかを、生前に決めておく必要があります。

「死後事務の委任契約」は葬儀や散骨、樹木葬など、自分の死後に生ずる事務を生前に委任しておく契約です。この契約は本人が死亡すると同時に始まります。

死後に他人に迷惑をかけたくない、死後のことも自分で決めておきたいという希望を実現するために「死後事務の委任契約書」という備えがあります。

この死後事務の委任契約と任意後見契約を同時に契約することによって、判断能力が低下してから亡くなった後までカバーすることが可能になります。

最近は、一人暮らしの高齢者が増えていて、孤独死のニュースを耳にすることが多くなってきました。また、遺体の引き取り手のない事例が増加し社会問題にもなっています。

親族がいても疎遠になっていたり、事情があって死後の面倒まで頼めないこともあります。

このような事例が増えていることから、死後事務の委任契約が注目されています。

以前のコラムでご紹介した「財産管理等委任契約」「任意後見契約」そして、今回ご紹介した「死後事務の委任契約」は同時に公正証書で作成できます。弊所では、ご希望をお聞きしながら契約書の原案をご提案いたします。その他終活に関連することも遠慮なくご相談下さい。

 

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任意後見契約の手続きについて~その2~

こんにちは。

行政書士・社会福祉士よしかわ事務所の吉川昇平です。

 

前回のコラムで、任意後見契約の手続きについて

  • 受任者を決める
  • 授与する代理権の内容を決める

この2点をお伝えしました。

 

今回は、その次の段階を見ていきましょう。

 

 

任意後見契約に必要な書類を準備する

 

受任者(頼む相手)と、授与する代理権の内容(代わりにやってもらうことの内容)が決まったら、必要書類をそろえます。

 

任意後見契約を結ぶには、次のような書類が必要となります。

  • 本人の印鑑登録証明書
  • 本人の戸籍謄本
  • 本人の住民票
  • 任意後見人になる人の印鑑登録証明書
  • 任意後見人になる人の住民票

 

なお、印鑑登録証明書は発行後3か月以内のものに限りますのでご注意ください。

 

 

任意後見契約書案の作成

 

任意後見契約は、必ず公正証書で結ぶ必要があります。

公正証書とは、公証役場の公証人が作成する証書です。公正証書によらない任意後見契約は無効になります。

 

公正証書により契約が結ばれるまでには、まず最初に委任者である本人と受任者との間で任意後見契約書案を作成します。受任者は本人の意思を十分に確認しながら、その意思にかなう案を作成します。

 

そして、契約形態を決めます。

契約形態は、以前のコラムでも紹介した「将来型」「移行型」「即効型」があり、本人との面談を通じて本人の判断能力や生活実態、希望など見極めたうえで適当な契約形態を選びます。

 

また、代理権の範囲を明確に定めるため、授与する代理権の内容を代理権目録として作成し任意後見契約書に別紙として添付します。

 

 

任意後見契約公正証書の作成

 

本人と受任者の間で作成した任意後見契約書案をもとに、公証人と相談して契約書の文案を完成させ、契約内容を確定します。そして、契約書の文案が完成したら本人と受任者がそろって公証役場へ出向き、「任意後見契約公正証書」を公証人に作成してもらいます。

 

任意後見契約公正証書を作成するにあたって、本人の判断能力と契約を結ぶ意思を確認するため、公証人は原則として本人と面接するものとされています。もし、判断能力に疑いがある場合は、医師の診断書等を求められる場合があります。

 

公証人との相談や任意後見契約公正証書作成の日程については、お近くの公証役場へ電話で問い合わせのうえ、事前に予約を取りましょう。任意後見契約公正証書の作成時は本人、受任者とも実印を忘れずに持参してください。

 

なお、本人が病気やケガで入院中、または高齢などの理由で公証役場に出向けない場合は、公証人に自宅や病院または入所施設などに出向いてもらって作成することも可能です。

 

 

任意後見契約公正証書作成費用

 

公正証書作成に要する費用は、以下のとおりです。

 

  • 公証役場の手数料・・・・・・・・・1万1,000円
  • 法務局に登記するための手数料・・・1,400円
  • 法務局に収める印紙代・・・・・・・2,600円
  • 郵送料金・・・・・・・・・・・・・540円
  • 正本等の作成手数料・・・・・・・・1枚につき250円×枚数

 

任意後見契約公正証書を作成するには、上記の手数料等をもとに計算され、1契約につきおおむね2万円から2万3,000円程度が必要となっています。

 

なお、公証人に自宅や病院等に出向いてもらった場合の手数料は50%加算され、公証人へ支払う日当(1万円。ただし、4時間を超えるときは2万円)と交通費の実費が必要になります。

 

また、任意後見契約と併せて、通常の財産管理委任契約等の委任契約を同時に結ぶ場合はその契約につき上記の①と⑤がさらに必要になります。そして、受任者が複数で、各受任者が権限を単独で行使(各自代理)できる定めがあるときは、受任者の数だけ契約の数が増えることになり、その分だけ費用も増えることになります。ただし、受任者が複数であっても、権限を共同で行使(共同代理)の場合には、1契約として手数料が計算されます。

 

 

以上が任意後見契約の手続きの概要です。

いかがでしょうか。

 

公証役場で任意後見契約公正証書を作成するまでの準備については、専門家に頼むことも可能です。

 

弊所は、必要書類の準備や任意後見契約書案の作成、公証人との打ち合わせなどのサポートができます。ぜひ、気軽にご相談ください。

 

次回は、任意後見とともに、やっておきたい備えについてご紹介したいと思います。

 

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