奈良県王寺町(大阪梅田からJR大和路線で35分)で開業しています。
特定行政書士&申請取次行政書士の若林かずみです。
さて、平成30年10月10日に、奈良県の田原本町と奈良県行政書士会の間で、遊休農地等対策に関する協定が締結されました。これは、関西では初めて、全国では2例目になります。
この協定では、田原本町の農地が遊休農地になることを防止すべく、その対策と啓発活動を奈良県行政書士会とが協働して推進することを目的としています。
この協定では、主に遊休農地発生の「防止」に力点が置かれていますが、今回のコラムでは、遊休農地が発生した場合、その活用方法について説明したいと思います。
1)遊休農地とは?
まず、そもそも「遊休農地」とは、どのようなものを指すのでしょうか。
遊休農地には、次のように2種類あります。
〇1号遊休農地(農地法第32条第1項第1号の農地)
現に耕作されておらず、かつ、引き続き耕作されないと見込まれる農地
〇2号遊休農地(農地法第32条第1項第2号の農地)
利用の程度が周辺の地域の農地に比べ著しく劣っている農地
遊休農地と似た概念として「耕作放棄地」があります。「遊休農地」と「耕作放棄地」の違いについては、私個人のブログ記事をご参照下さい。(奈良発!女性行政書士若林かずみのブログ~日々是好日http://yawaragi-office.com/archives/351)
2)農地を農地のまま活用する方法
ⅰ)他の農家に売却する
他の農家に当該農地を売却し、譲り受けた農家が当該農地で耕作を行うことになります。
この場合であっても、農業委員会の許可が必要となります。
ⅱ)他の農家に貸す方法
他の農家に当該農地を貸し、借り受けた農家が当該農地で耕作を行うことになります。
この場合、当該農地を貸しだすのに賃料が発生する場合でも(賃貸借契約)、賃料が発生しない場合であっても(使用貸借契約)、農業委員会の許可が必要となります。
また、これらの契約を解除する場合にも、農業委員会の許可が必要となります。
ⅲ)市民農園として活用する方法
市民農園として貸し出し、借り受けた市民が当該農地で耕作を行うことになります。
市民農園の形態には次のような3つの形態があります。
➀市民農園整備促進法による形態
➁特定農地貸付法による形態
➂農園利用方式による形態
例えば、奈良県生駒市では、現在3ケ所で市民農園が設置されています。
(生駒市HP;http://www.city.ikoma.lg.jp/0000001697.html)
市民農園として活用する場合には、農業指導を依頼されることもあります。
ⅳ)農地集積バンクを利用する方法
農地の譲受先や借り手が見つからない場合には、農地集積バンク(農地中間管理機構)を利用する方法があります。
これは、小規模で点在している農地をまとめることによって経営規模を拡大したい農家に提供する目的で整備された制度です。
農地集積バンク(農地中間管理機構)は都道府県単位に設置されています。例えば、奈良県では、「公益財団法人 なら担い手・農地サポートセンター」が県知事から指定を受けた公的機関として設置されています。(http://www.nara-ninanou.sakura.ne.jp/)
特に貸借では、農地法による当事者間の直接契約に比べて、市町村が介在する点と期間満了で農地が返還される(法定更新がない)点で優れています。
借り手が必ず見つかるというわけではありませんが、借り手が見つかれば、政府からの協力金名目で、農地の広さに応じた金額が交付されますので、遊休農地として放置していることを考えれば、収入になります。
3)農地を転用(農地以外の目的で使用すること)し、農地以外で活用する方法
農地が転用できる農地区分にあるのであれば、活用方法を決めて、農業委員会へ農地転用の申請をすることになります。
4)農地の転用を前提として売却・賃貸して活用する方法
農地が転用できる農地区分にあるのであれば、活用方法を決めた上で、当該農地を売却、賃貸することができますが、この場合にも、農業委員会へ農地転用の申請をすることになります。
このように、農地の転用については、そもそも農地が転用できる農地区分であるかどうかによって異なってきます。これについては、また、別の機会に説明いたします。
特定行政書士、申請取次行政書士(immigration lawyer)
AFP、法務博士、コスモス成年後見サポートセンター会員、
若林かずみ(wakabayashi kazumi)
和(yawaragi)行政書士事務所
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