自筆証書遺言書の保管④

こんにちは、相続手続きと遺言書の作成を専門にしております行政書士奥本雅史事務所の奥本です。


前回は、『自筆証書遺言書保管制度』を利用する場合の独特の様式についてご説明しました。
これらの規定は、法務局(遺言書保管所)で遺言書保管官が、遺言書をスキャナで取り込み画像データ化するために設けられているものです。そのため特に周囲の余白に関しては厳しく、1 文字でもなんらかの文字等がはみ出してしまっている場合には、書き直さなければ預かってもらうことができないので注意が必要です。


また、民法では遺言書に記す署名について、本人が特定できるものであれば雅号やペンネームでも構わないと定めていますが、この制度を利用する際には、戸籍どおりの氏名で記載しなければなりません。これも他の様式とは異なる独特の規定です。


さて、様式に従って遺言書を作成したら、次に『遺言書の保管申請書』を作成します。
これは法務局のホームページからダウンロードすることができますので、ダウンロードしてからパソコンで入力するか、用紙を印刷してから手書きにより作成します。(申請書は機械で読み取りますので、プリンタへ出力する際に拡大や縮小をしないこと、また手書きの場合は明瞭に記入するようにしてください)


申請書は、遺言により財産を譲る対象が相続人のみの場合は5 枚ですが、受遺者がたくさん存在するという場合は、それぞれの受遺者につき住所・氏名・生年月日の記述が必要となりますので追加で枚数が増えます。

遺言書と申請書を作成したら、保管の申請を行う遺言書保管所を決めます。

保管の申請が行えるのは、
・遺言者の住所地を管轄する遺言書保管所
・遺言者の本籍地を管轄する遺言書保管所
・遺言者が所有する不動産の所在地を管轄する遺言書保管所
です。(ただし、2 通目以降追加で保管の申請をする場合は、最初に保管の申請をした遺言書保管所でしか申請を行うことが出来ません。)

申請窓口は予約制となっています。申請する遺言書保管所を決めたら手続きを行う日を予約します。各法務局によって手続きの対応可能な時間がまちまちですので、よく確認するようにしてください。一例ですが、奈良地方法務局では月曜から金曜の9 時・10 時・14 時・15 時から、桜井支局では月曜から金曜の10 時からと15 時からが隔週で入れ替わりとなっています。
予約は30 日前から予約日の前々日の午前中まで行えます。(当日の予約は不可です)


なお、遺言書の保管の申請ができるのは、遺言者本人のみです。代理人による申請や、郵送による申請はできません。よって病気等の理由で、遺言書保管所へ出頭することが出来ない場合は、この制度を利用することができません。

次回に続きます。

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