オーバーステイに気づいたら…

奈良県王寺町(大阪梅田からJR大和路線で35分)で開業しています。

特定行政書士&申請取次行政書士の若林かずみです。

 

「オーバーステイに気づいたら…」

私が在留外国人でオーバーステイに気づいたとしたら…

正直、フリーズすると思います。

 

まず、そのためにも、

ビザの期限は常に意識をすること

余裕をもってビザの更新申請をすること

 

1)では、更新の申請の提出がギリギリになってしまい、

申請の結果が出ない間に、ビザの期限が過ぎてしまった場合、オーバーステイになるのでしょうか?

この場合は、オーバーステイにはなりません。

更新の申請が受理されれば、ビザの期限満了日から将来に向かって2ケ月間は結果が出なくてもオーバーステイになることはありません。

ただ、この2ケ月を過ぎると、やはりオーバーステイになってしまいます。

入国管理局も配慮して対応しているようですが、2ケ月を過ぎるような場合には、入国管理局に相談しましょう。

 

2)では、ビザの期限が過ぎてから気づいた場合、どうしたらいいのでしょうか?

 

ビザの期限が過ぎてオーバーステイになった場合には、

すぐに入国管理局に自ら出頭し、事情を説明しましょう。

この際、就労ビザで入国していたような場合には、

就労先の企業の責任者に入国管理局に同行してもらい、事情を説明してもらいましょう。

また、日本人配偶者がいるのであれば、日本人配偶者とともに出頭しましょう。

子供がいるのであれば、一緒に連れて行く方がよいでしょう。

 

入国管理局に出頭すると、そのまま収容されてしまうのではないか?と思いがちですが、必ずしもそうではありません。

また、出国命令による帰国を希望しない場合には、「在留特別許可」を願い出ることになるのですが、その場合に、自ら出頭したことがプラスの要素として考慮されます。

 

ここで、在留特別許可申請が認められるかどうかは、入国管理局の審査官の裁量により決まるのですが、その際、プラスの要素とマイナスの要素を考慮して、プラスの要素が多い場合には、在留許可を与える方向になると言われています。

具体的に、どのような要素がプラスに働き、どのような要素がマイナスに働くのかについては、法務省が「在留特別許可に係るガイドライン」

http://www.moj.go.jp/content/000007321.pdf

としていくつかの要素を挙げていますので、これを参考にされると良いと思います。

 

いずれにしても、オーバーステイにならないのが一番ですので、

ビザの期限は常に意識するようにしてください。

 

 

特定行政書士、申請取次行政書士(immigration lawyer

AFP、法務博士、コスモス成年後見サポートセンター会員、

若林かずみ(wakabayashi kazumi

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遺言書⑧ 〜自筆証書遺言 後編〜

こんにちは、相続手続きと遺言書作成専門の行政書士奥本雅史事務所の奥本です。

今回も引き続き、自筆証書遺言についてお話しをいたします。
まずは簡単におさらいをしておきたいと思います。

自筆証書遺言とは読んで字のごとく、全文を自筆により作成する遺言書のことでした。
本文の内容はもちろん、日付と氏名を自書して、押印をすることが必要です。

《自筆証書遺言の作成例》

また自筆証書遺言は相続開始後、遅滞なく家庭裁判所で検認を受けなければなりません。(封印されていた時は開封せずに家庭裁判所へ提出します)
違反した場合は五万円の過料が科されます。

前回はこの検認手続きまでご説明をいたしました。

さて、自筆証書遺言には変更や誤りがあった場合の訂正の方法にも厳格な要件が求められています。ここでもう一度要件を見てみましょう。

《要件》
①遺言者が全文、日付、氏名を自書し、印を押す。
②加除その他の変更は、遺言者がその場所を指示し、これを変更した旨を付記してこれに署名し、かつその変更の場所に印を押す。

要件の②、言葉を書き加えたり削除したりする場合には、その場所を指示して押印をし、変更した旨を付記してさらに署名をしなければなりません。

《加除その他の変更の例》

この例のように、訂正した行の欄外に「本行2字加入」と記載し署名をする方法や、遺言書の末尾に『付記』として「本遺言書◯行目中 ◯◯を△△と訂正した」等と記載し署名をする方法などがあります。
いずれの場合でも、署名が無ければ加除訂正は無効となってしまうため注意が必要です。

このように、自筆証書遺言は費用がかからないというメリットがある一方で、作成には厳格な要件が求められているため要件を欠いて遺言書が無効になってしまうというケースを招く恐れがありました。

その点も踏まえ、昨年の民法改正では自筆証書遺言の要件が緩和されることとなりました。(施行は平成31年1月13日から)

これまでは全文自筆であることが求められていたため、財産の目録も当然すべて自筆で書かなければなりませんでした。

しかし不動産を多数所有している場合などは、そのすべてについて所在や地番等を細かく記入する必要があり、大変な労力がかかるとともに、誤記が発生する可能性などもありました。

そこで今回の改正では、財産目録を添付する場合には、ワープロで作成したものや、第三者によって代筆されたもの、また不動産登記事項証明書や銀行の預金通帳等の写し(コピー)でも良いとされました。

ただし、その目録が複数枚に渡る場合はそのそれぞれに署名押印をしなければなりません。また目録が両面になる場合は、裏表とも署名押印が必要です。

なお、財産目録の加除訂正に関しても変更箇所の指定と押印、変更した旨の付記と署名が必要となります。

このように、自筆証書遺言はその要件によく注意をすれば、ご自分で作成することもできます。

しかし、将来的な争いを招かないようによく検討された遺言書を作るためには、やはりプロのアドバイスが必要となります。

当事務所では自筆証書遺言の作成についてのご相談もお受けしておりますので、どうぞお気軽にお問い合わせください。

 

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一般社団法人の役割について

奈良県行政書士

こんにちは。奈良県奈良市の行政書士ユウ法務事務所の木村友紀です。

この時期は、確定申告の時期になるんですが、心づもりしていても相変わらず全然終わらないな~とため息が出そうになりますね。。。

 

さて、前回は一般財団法人の役割についてお伝えしましたので、

一般財団法人の役割について

詳しくはコチラ↑

今回は一般社団法人の役割についてお伝えしていきたいなと考えています。一般社団法人とは何か?どのような特徴があるのか?など初めての人でも分かりやすいように解説をしてきますので、是非最後までお読みください。

一般社団法人とは?

起業支援
行政書士ユウ法務事務所起業支援業務のページへ↑

前回の一般財団法人のときには、株式会社は「営利社団法人」であるとの説明をさせて頂きました。これに対して、一般社団法人は非営利の法人であると考えられています。非営利とは、文字通り「営利ではない」という意味です。前回にも営利・非営利の話が出てきましたので、今回は解説を行いたいと思います。

非営利とは、営利を目的としないのだから、ボランティアのような団体なのではないかと考え方もいらっしゃるのではないでしょうか?実は、非営利という名称がついているからと言って、営利を出してはいけないわけではないのです。法律上の「営利」とは、剰余金としての利益の分配を行うことを言います。株式会社をイメージして頂くと分かりやすいのですが、上場会社では、その株式会社の株式を保有していると配当金ということでお金をもらうことが出来るタイミングがあるかと思います。これが、営利組織としての株式会社の特徴ですが、一般社団法人の場合には、利益が生じたとしても、このように構成員に利益を分配することが出来ないようになっています。

ここで、それならばやはりボランティアではないのかという指摘が入るかもしれませんが、実はそうではありません。利益の受け取り方として、「分配」として受け取るのではなく、「給与」や「報酬」という形で受け取ることになっているわけです。お金の受け取り方も一概ではなく、様々な概念・考え方があることが分かりますよね。

さて、今回は簡単に一般社団法人について触れてみました。少しでもどのような法人であるかイメージして頂けましたでしょうか。真剣に社団法人設立について検討しているということであれば、ご相談頂けますと更に詳しい説明をさせて頂きますので是非お気軽にお問い合わせください。

以上の点につきまして、何かご不明な点がございましたらお気軽にお問い合わせいただければと思います。奈良県の行政書士

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“社会福祉士”ってどんな資格?

こんにちは。

行政書士・社会福祉士よしかわ事務所の吉川昇平です。

 

年が明けて早くも半月が過ぎましたね。

みなさま、お正月はいかがお過ごしでしたか?

 

私はお正月休みに今年の目標を立てました。

こころ新たに頑張っていきたいと思います。

2019年もどうぞよろしくお願いいたします。

 

さて、本題に入る前にみなさまに質問があります。

 

“社会福祉士”をご存知ですか?

 

私の事務所名にも入っている“社会福祉士”ですが、

国家資格なの?

何をする人?

どんな仕事をしているの?

どこで働いているの?

など聞かれることが少なくありません。

 

そこで、今回は“社会福祉士”についてお伝えしたいと思います。

 

社会福祉士とは

 

社会福祉士は、昭和62年に制定された 「社会福祉士及び介護福祉士法」で位置づけられた、社会福祉業務に携わる人の国家資格です。

 

「社会福祉士及び介護福祉士法」を見ると、

社会福祉士とは「専門的知識及び技術をもって、身体上もしくは精神上の障害があること、または環境上の理由により日常生活を営むのに支障がある者の福祉に関する相談に応じ、助言、指導、福祉サービスを提供する者又は医師その他の保健医療サービスを提供する者その他の関係者との連携及び調整その他の援助を行うことを業とする者」とされています。

 

何だか長くてわかりにくいですね。

簡単に言うと、身体上や精神上または環境上の理由で日常生活に困っている人の相談に応じ、助言、指導、関係機関との連絡及び調整などを行う相談援助の専門職です。

 

■ 社会福祉士の仕事と職場

 

では、社会福祉士はどこでどんな仕事をしているのか見ていきましょう。

 

社会福祉士が働く職場としては介護保険施設、障がい者施設、児童養護施設などの社会福祉施設が多数を占めます。

 

あとは、医療機関、社会福祉協議会、行政機関、独立型社会福祉士事務所が代表的なものです。その他、教育委員会や更生保護施設などで活躍する社会福祉士も増えてきました。

 

ほとんどの社会福祉士は、組織に所属していて、相談員や施設長といった役職を持つ人も多くいます。専門的な相談窓口を備える機関では社会福祉士資格が必須となっています。

 

上記のように、社会福祉士を必要とする職場は数多く、仕事の範囲や対象も多岐にわたります。基本的には、お年寄りや身体・知的障がい者、ひとり親家庭などの相談にのり、それぞれの状況に応じた支援を行います。さらには、行政や医療機関など各関連施設をつなぐ役割も担います。

 

近年、日本社会では少子高齢社会が進み、さまざまな福祉的課題を抱えています。

生活者の困りごとが多様化、複雑化、潜在化、長期化するなかで、社会福祉士はあらゆる場面で専門性を発揮することが期待されています。

 

■ 社会福祉士の資格について

 

社会福祉士資格は、国家資格ですが、医師や行政書士のように「業務独占」の資格でなく、「名称独占」の資格です。

 

「名称独占」とは、資格をもたない者が、「社会福祉士」という名称を勝手に使用してはならないということで、社会福祉士資格を持っていなければ就けない職種は現在のところありませんが、市区町村の地域包括支援センターでは必置資格になっていますし、求人には、社会福祉士資格を条件としたり、希望しているケースが増えています。

 

また、最近では独立型社会福祉士として事務所を構える人も増えており、福祉施設のアドバイザーや研修講師などで活躍される方もいらっしゃいます。

 

資格を取得するには福祉系の大学を卒業し受験資格を得るパターンが多いですが、その他にも社会福祉士養成校に通ったりするなど複数の道が用意されています。

誰でも受験できるわけではないので、受験資格を得て国家試験を受けるまでの道のりは結構長いものです。

 

■ 成年後見制度と社会福祉士

 

成年後見制度において、社会福祉士は福祉を通じて被後見人に身近な存在であるという実績があります。

弁護士、司法書士に次いで社会福祉士も後見人に関連する業務を行ってきた実績や能力、その取り組みが評価されているため第三者後見人・職業後見人の就任数も多くなっています。

 

最近では、独立型社会福祉士事務所を経営しながら成年後見を受任される方が増えています。

 

日本社会福祉士会、各都道府県社会福祉士会では「権利擁護センターぱあとなあ」という成年後見の専門団体を運営していて、所属している社会福祉士は日々専門職としての研鑽を積んでいます。そして、所定の成年後見人養成研修を修了した社会福祉士が成年後見人等の候補者として登録されています。

 

まとめ

 

最後に社会福祉士の役割を3つのキーワードでまとめたいと思います。

(参考:兵庫県社会福祉士会ホームページ)

 

【つなぐ】

ご利用者やそのご家族が生活の中で困ったことがあった時に、お話をよくうかがって、解決するために最も適したサービスに「つなげる」という役割を担います。

 

【ささえる】

病気、障害、生活資金、悪質な詐欺、子育て、災害…。生きていく上で様々な困難や危機に出会った時に法律や制度、地域に有るサービス、専門的な知識が必要となる情報などを適切に助言し、生活を「ささえる」チカラになることが、社会福祉士の仕事です。

 

【まもる】

預貯金や住居の財産管理、生活を支える福祉サービスの利用を本人に代わって契約するなど、成年後見人としてご利用者を「まもり」ます。

また、高齢の方や障害のある方を「まもる」ため、地域の自治体や弁護士などの専門職と連携し、虐待防止にも積極的に取り組んでいます。

 

 

以上、大まかな説明になってしまいましたが、少しでも社会福祉士のイメージを持っていただけたら幸いです。

 

社会福祉士が活動する分野は本当に幅広く、多岐にわたります。

そのため国家試験の試験科目は19科目もあるんです。

 

生活課題を抱え、福祉の支援が必要な方がいらっしゃれば専門職の社会福祉士がお役に立てると思います。

 

弊所も福祉専門の行政書士事務所として、また社会福祉士としてみなさまのお悩みやお困りごとを解決できるよう頑張ってまいります!

 

きっとお役に立てることがあります。ちょっとしたことでも遠慮なくご相談ください。

 

今後のコラムでは、色んな分野で活躍する社会福祉士の活動や専門技術をご紹介したいと思います。

 

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新年1発目 ご挨拶と風営法関連業務

 

明けましておめでとうございます。

いよいよ平成最後の年となりましたが、
皆様お正月はどう過ごされたでしょうか?

巷では「平成最後の~」という言葉を耳にしますが、
私にはまだなんとなく実感がありません。

振り返ってみると平成というのはすごい時代ですね。

ケータイ電話が当たり前となり、インターネットの普及
により世界中と当たり前のようにやり取りが出来るよう
になり、それに伴いビジネスの環境やライフスタイルが
激変した時代だと思います。

 

ただ一方で、苦しい経験をした時代でもありました。
阪神大震災や東日本大震災、豪雨による災害などを経験し、
他にもバブル崩壊やリーマンショックなどの金融危機、また
地球環境の変化にも不安を覚えた時代でした。

この30年の経験を経て、次はどんな時代に進むのでしょうか。

さて、本題に入ります。

今までは建設業のことばかり書いてきましたが、今回以降は
風営法に関する許認可や届出、ニュースなどについてお伝え
したいと思います。

これは単純に私が建設業以外のことも書いてみたくなったことと、
風営法関連業務に携わっている方の許認可の意識が高まっていると
感じたこと、さらに他法令により今後さらに風営法の許認可の相談
が増えるだろうと予測しているからです。

この辺は、次回以降お伝えできればと思っています。

ただ、風営法に関する許認可といっても幅が広い。
ラウンジやスナック、居酒屋に始まり、パチンコ店やマージャン店、
クラブなど多岐にわたりますので、時間をかけゆっくりやっていこう
と思います。

それでは本年も宜しくお願い致します。

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遊休農地の活用方法

奈良県王寺町(大阪梅田からJR大和路線で35分)で開業しています。

特定行政書士&申請取次行政書士の若林かずみです。

 

さて、平成30年10月10日に、奈良県の田原本町と奈良県行政書士会の間で、遊休農地等対策に関する協定が締結されました。これは、関西では初めて、全国では2例目になります。

この協定では、田原本町の農地が遊休農地になることを防止すべく、その対策と啓発活動を奈良県行政書士会とが協働して推進することを目的としています。

 

この協定では、主に遊休農地発生の「防止」に力点が置かれていますが、今回のコラムでは、遊休農地が発生した場合、その活用方法について説明したいと思います。

 

1)遊休農地とは?

 

まず、そもそも「遊休農地」とは、どのようなものを指すのでしょうか。

遊休農地には、次のように2種類あります。

 

1号遊休農地(農地法第32条第1項第1号の農地)    

現に耕作されておらず、かつ、引き続き耕作されないと見込まれる農地

2号遊休農地(農地法第32条第1項第2号の農地)
利用の程度が周辺の地域の農地に比べ著しく劣っている農地

 

遊休農地と似た概念として「耕作放棄地」があります。「遊休農地」と「耕作放棄地」の違いについては、私個人のブログ記事をご参照下さい。(奈良発!女性行政書士若林かずみのブログ~日々是好日http://yawaragi-office.com/archives/351

 

2)農地を農地のまま活用する方法

 

ⅰ)他の農家に売却する

 

他の農家に当該農地を売却し、譲り受けた農家が当該農地で耕作を行うことになります。

この場合であっても、農業委員会の許可が必要となります。

 

ⅱ)他の農家に貸す方法

 

他の農家に当該農地を貸し、借り受けた農家が当該農地で耕作を行うことになります。

この場合、当該農地を貸しだすのに賃料が発生する場合でも(賃貸借契約)、賃料が発生しない場合であっても(使用貸借契約)、農業委員会の許可が必要となります。

また、これらの契約を解除する場合にも、農業委員会の許可が必要となります。

 

ⅲ)市民農園として活用する方法

 

市民農園として貸し出し、借り受けた市民が当該農地で耕作を行うことになります。

市民農園の形態には次のような3つの形態があります。

➀市民農園整備促進法による形態

➁特定農地貸付法による形態

➂農園利用方式による形態

 

例えば、奈良県生駒市では、現在3ケ所で市民農園が設置されています。

(生駒市HPhttp://www.city.ikoma.lg.jp/0000001697.html

 

市民農園として活用する場合には、農業指導を依頼されることもあります。

 

ⅳ)農地集積バンクを利用する方法

 

農地の譲受先や借り手が見つからない場合には、農地集積バンク(農地中間管理機構)を利用する方法があります。

 

これは、小規模で点在している農地をまとめることによって経営規模を拡大したい農家に提供する目的で整備された制度です。

 

農地集積バンク(農地中間管理機構)は都道府県単位に設置されています。例えば、奈良県では、「公益財団法人 なら担い手・農地サポートセンター」が県知事から指定を受けた公的機関として設置されています。(http://www.nara-ninanou.sakura.ne.jp/

 

特に貸借では、農地法による当事者間の直接契約に比べて、市町村が介在する点と期間満了で農地が返還される(法定更新がない)点で優れています。

借り手が必ず見つかるというわけではありませんが、借り手が見つかれば、政府からの協力金名目で、農地の広さに応じた金額が交付されますので、遊休農地として放置していることを考えれば、収入になります。

 

3)農地を転用(農地以外の目的で使用すること)し、農地以外で活用する方法

 

農地が転用できる農地区分にあるのであれば、活用方法を決めて、農業委員会へ農地転用の申請をすることになります。

 

4)農地の転用を前提として売却・賃貸して活用する方法

 

農地が転用できる農地区分にあるのであれば、活用方法を決めた上で、当該農地を売却、賃貸することができますが、この場合にも、農業委員会へ農地転用の申請をすることになります。

 

このように、農地の転用については、そもそも農地が転用できる農地区分であるかどうかによって異なってきます。これについては、また、別の機会に説明いたします。

 

 

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遺言書⑦ 〜自筆証書遺言 前編〜

こんにちは、相続手続きと遺言書作成専門の行政書士奥本雅史事務所の奥本です。

2018年も残すところあと10日ほどとなりました。
年末年始となれば、普段は離れて暮らしているご家族が実家で集まるという方も多くおられるのではないでしょうか。

せっかく家族が顔を合わせる機会ですので『相続や遺言書の話なんて縁起が悪い』などと言わず、一度じっくりそんな話をされてみてはいかがでしょう。

とは言え、、、現実にはなかなか話しづらいものですよね。

でも例えば、「親父は株をやってないの?」とか「自分が(存在を)聞かされてない土地とか無いよね?」などという財産に関する話題をそれとなく切り出してみたり、親戚で相続が起こった場合には相続人の関係はどのようになるのかをみんなで一緒に考えてみるといったことが、話の良いきっかけになるかもしれません。
また、エンディングノートを持参して記入を(あえて)手伝ってもらうというのも一つの手です。

自然な話の流れの中で、自分達の相続について客観的に見つめることができれば大変有意義だと思いますし、そこまで話が進まなかったとしても何か知らなかった新事実が一つ確認できただけで大成功です。

昨今、相続や遺言書に対する意識は徐々に高まりつつありますが、一般的にはまだまだ敬遠されがちな話題でしょう。相続の時に必要な財産などの情報について、一度に全部を聞くことは無理だったとしても、少しずつでもいいので確認をしていくことが大事だと思います。
この年末年始にはぜひ試してみてください。

さて、今回からは『普通方式』の遺言書についてお話しします。遺言書には、死を覚悟した時になってから書くものだけではなく、ある『思い』が生まれた時に書くものもあります。
例えば相続の時に家族が揉めるのを防ぎたい、自分の死後には財産をこう使って欲しい、そういった思いが生まれた時にそれを実現するため『早いうちから』準備をしておくのが普通方式の遺言書です。

普通方式の遺言書には、「自筆証書遺言」「秘密証書遺言」「公正証書遺言」の3つがあります。

まずは自筆証書遺言についてです。
この自筆証書遺言は、この度改正される民法で要件が緩和されることになりました。しかし、改正民法が施行されるまでの間に作成された遺言書に関しては現行の民法の規定が適用されますので、今回は執筆時点(2018年12月21日)の現行の民法に則ってお話しをいたします。

自筆証書遺言は、文字通り遺言者本人が全文を自筆により作成するものです。

自分で書いて自分で保管するため、費用も特にかからず一番手軽に作成できるのですが、作成に当たっては法律で要件が厳格に定められており、その要件を満たしていなければせっかく書いた遺言書が無効になってしまう場合があります。民法第968条で定められている自筆証書遺言の要件は以下の通りです。

《要件》
①遺言者が全文、日付、氏名を自書し、印を押す。
②加除その他の変更は、遺言者がその場所を指示し、これを変更した旨を付記してこれに署名し、かつその変更の場所に印を押す。

全てを自筆で作成するのは、遺言者の最終意思、真意を尊重し、偽造や変造を防止するためです。
したがって、パソコン、ワープロ、タイプライター等により作成することや、他人に代筆させることはできません。

また日付についても遺言者の自書が必要とされています。これは、遺言作成時の遺言者の遺言能力の有無(遺言能力が無い場合の例: 遺言作成時に15歳に達していない、認知症や精神疾患により意思能力がないと判断される場合)や、内容が異なる複数の遺言がある場合に、その先後を明らかにするためです。日付が無い遺言は無効となります。

日付は年月日を明らかにして記します。西暦、元号はどちらでも構いません。日付は遺言の成立の日が確定できれば問題ないので「平成○○年の私の誕生日」「還暦の日」などという記載でも構いません。

ただし、「○月吉日」という記載は日付の特定を欠くものとして裁判では無効と判断されています。

押印も原則として遺言者自身がしなければなりません。印鑑については認印でも構いませんが、実印がより望ましいです。

また自筆証書遺言は、遺言の保管者がいる場合には保管者が、いない場合には遺言書を発見した相続人が相続の開始を知った後遅滞なく、家庭裁判所に『検認』を申し立てる必要があります。

検認は遺言の有効・無効を判断するものではなく、家庭裁判所が相続人に対して遺言の存在を知らせるとともに、遺言書の形状、加除訂正の状態、日付、署名などを確認してあとから偽造されたり変造されたりすることを防ぐためのものです。検認を経ないで遺言を執行した場合は5万円以下の過料が科されます。
もし遺言書が封印されている場合は、家庭裁判所で相続人またはその代理人の立会いのもとに開封しなければなりません。違反すると5万円以下の過料が科されます。

少し長くなりましたので、続きはまた後編で。

 

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一般財団法人の役割について

奈良県の行政書士

こんにちは。奈良県奈良市の行政書士ユウ法務事務所の木村友紀です。

もう師走になりましたね。1年ももう終わると考えるとシミジミした気分になりますね。

さて、今回は以前より取り上げたいと考えていました一般財団法人の役割について考えていきたいと思います。一般財団法人って、どのようなイメージがありますか?何か漠然と慈善事業的なことをしているのでしょうか?早速見ていきましょう。

一般財団法人とは?

一般財団法人とは、どのような組織のことを言うのでしょうか?一般財団法人とよく一緒に出てくる法人の形態として、一般社団法人があります。

広く「社団法人」というと、「人の集まり」であると捉えられています。ちなみに、株式会社の法的性質は営利社団法人ですね。株式会社は利益を上げることを目的とした人の集まりということになります。これに対して、利益を上げることを目的としない法人のことを非営利社団法人などと称されますが、この辺りは少し複雑ですのでまたの機会にでも取り上げることに致しましょう。

これに対して、財団法人は「お金の集まり」であると捉えるのが教科書的な解釈です。ところが、これでは少しよく分かりませんね。簡単に申し上げると、お金を集めて特定の目的のために運用をするための法人であるということになります。

一般財団法人の3つの特徴

それでは、ここからいくつかの一般財団法人の特徴についてご紹介しましょう。

事業の目的は制限なし

一般財団法人の例として、よくイメージされやすいものとして「美術館」、「博物館」などがあります。こうした公益目的なものでなくても、一般の事業体として設立して問題はありません。

事業の目的によっては公益財団法人化も

先程一般財団法人の事業目的は問わないということを申し上げましたが、もし事業目的を公益に関するものにした場合には、公益認定を受けることによって「公益財団法人」となることもできます。公益財団法人についても機会があれば、お話しすることに致しましょう。

構成員として少なくとも7名必要

株式会社では、少ないものだと取締役一人いれば登記により設立することが出来ますが、一般財団法人の場合には構成員として評議員3名、理事3名、そして監事1名を置かなければいけないことになっています。人が集まらなければ財団法人を設立することが難しいというのが特徴の一つと言えるでしょう。

 

さて、今回は簡単に一般財団法人について触れてみました。少しでもどのような法人であるかイメージして頂けましたでしょうか。真剣に財団法人設立について検討しているということであれば、ご相談いただけますと更に詳しい説明をさせて頂きますので是非お気軽にお問い合わせください。

以上の点につきまして、何かご不明な点がございましたらお気軽にお問い合わせいただければと思います。奈良県の行政書士

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日常生活自立支援事業を利用するための手続きについて

こんにちは。

行政書士・社会福祉士よしかわ事務所の吉川昇平です。

 

12月になりました。

早いもので、今年も残すところわずかとなりました。

なんだか、急にせわしい気分になってきたのは私だけでしょうか。

みなさま、いかがお過ごしですか?

 

先日、年末の恒例行事となっている漫才の頂上決戦「M-1グランプリ」が放送されました。

私はお笑いが大好きで、毎年楽しみにしています。

今年もたくさん笑わせてもらいました。

 

最終決戦に残った3組はやはり実力がありますね。とても面白かったです。

特に気になったのは「和牛」というコンビです。去年、一昨年と連続で2位。

多くの人が、今年こそは!という期待を持って見守っていたのではないかと思います。

そして、期待通りの漫才を見せてくれました。

 

結果は惜しくも2位。僅差でしたね。

ただ、和牛の実力は誰もが認めるところだと思います。今後も楽しみです。

 

ところで、和牛が最終決戦で披露したネタが「オレオレ詐欺」でした。

母親がオレオレ詐欺に引っかからないように、息子が実際に電話をかけて訓練するという設定です。漫才自体はとても面白かったのですが、私はオレオレ詐欺の怖さを改めて感じました。

 

多くの人は、「自分は大丈夫」または、「自分の親は大丈夫」と思っているのではないでしょうか。

私もそう思っていました。しかし、巧妙な話術で気付かぬうちに騙されることがあるのではないかと感じました。

 

特に、高齢になると年とともに判断力が低下するケースもあります。病気や事故などが原因で判断力が低下することもあります。

そんな時は、周囲の人のサポートが必要です。また、いろんな制度や支援機関の力を借りることも必要になるでしょう。

 

漫才を楽しみながら、社会問題についても考えるきっかけになりました。

とても奥が深い漫才でした。

そして、オレオレ詐欺に騙される人をなくすために自分に何かできることがないだろうかと考える機会にもなりました。

 

さて、前置きが長くなりましたが、今回も前回のコラムに引き続き「日常生活自立支援事業」についてお伝えしていきます。

 

今回は日常生活自立支援事業を利用するための流れや支援の内容についてお伝えしていきます。

 

日常生活自立支援事業を利用するまでの流れ

1.相談受付

まずは、相談を受け付けるところから始まります。本人やそのご家族からの相談のほか、地域の民生委員·児童委員、地域包括支援センター、ケアマネジャー、ホームヘルパーなどから相談が寄せられることによって、初期相談を行います。そして、ここから事業を利用するための手続きが始まります。

 

相談を受け、援助の必要性があると考えられる場合は、専門員が本人のもとを訪問して、日常生活自立支援事業の利用についての意向や意思を確認します。

 

この事業では、本人や家族からの相談よりも、本人や家族にかかわっている関係機関からの相談がきっかけとなることが少なくありません。

 

そのため、専門員は本人へ丁寧な説明を行い、また本人の生活上の希望を十分に聞きながら利用の意思を確認します。

 

2.利用できるか具体的な調査をする

次に、本人の利用希望が確認されたら、専門員は、契約締結判定ガイドラインに基づき、具体的な調査を行います。この段階で、本人に日常生活自立支援事業の利用契約を結ぶ能力があるかどうかの確認と、提供するサービスの特定を行います。

 

もし、この段階で、本人に契約を結ぶ能力(契約締結能力)があるかどうか疑わしい場合には、都道府県社会福祉協議会に設置されている契約締結審査会に審査を依頼することになります。

 

そして、契約締結審査会の審査結果によって、契約締結能力があると判断された場合には、次の段階に進むことができます。

 

契約締結能力がないと判断された場合には、本人にその旨を知らせるとともに、成年後見制度の利用等も含め、その人にとってふさわしい生活を送ることができるように、行政や支援団体等の関係機関につなぎます。

 

3.契約書·支援計画を作成して契約を結ぶ

本人の意向が確認され、契約締結能力にも問題がないと判断されたら、専門員は契約書案や支援計画案を本人に示します。そして、今後日常生活自立支援事業において、どのような援助を行っていくかを説明し本人の合意を得ます。

 

その後、1週間をめどに、再度、本人のもとを訪問し、本人の意思の確認、契約内容の理解の再確認をしたうえで、契約を締結します。

 

4.援助の開始

契約が締結されれば、生活支援員が、契約書や支援計画に基づいてサービスを提供します。また、契約を結んでから3ヵ月後に、サービスの実施状況を確認し、支援計画の評価を行います。その後も、契約書に定められた一定期間ごとに支援計画の評価を実施します。

 

5.契約の終了

本人が解約を申し出た場合、本人が死亡した場合、本人の意思が確認できないために本人の生活にふさわしい新たな支援計画を作成できない場合には契約を終了することになります。

 

ここまでが、日常生活自立支援事業を利用するまでの流れになります。

続いて、利用料金と支援内容です。

 

【利用料金について】

相談開始から契約を締結するまでの相談支援は無料です。

契約が締結された後、契約に基づいて行われる生活支援員による援助については、原則として自己負担となります。

 

利用料については、実施主体ごとの判断によるため金額が異なりますが、平均すると、1時間あたり、およそ1200円前後となっています。

なお、生活保護を受給されている方については、公費により補助されることになっています。

 

【支援内容について】

具体的な援助の方法として、相談·助言·情報提供、連絡調整、代行、代理が想定されていますが、本人の自己決定を尊重するために、なるべく「相談・助言・情報提供」「連絡調整」を中心に援助を行い、本人自らが各種の手続きを行うことができるよう援助することを基本としています。

 

相談·助言·情報提供には、生活支援員が、市区町村の行政窓口や金融機関の窓口に本人とともに出向き、本人自らが手続きできるよう、言葉の解説をしたり、記入方法などの助言をしたりすること(同行での相談と助言)も含まれます。

 

代行とは、本人が作成した契約書類等を福祉サービス事業者に届けたり、本人から現金を預かって福祉サービスの料金を事業者に支払うなどといったことです。

 

代理は、本人に代わって第三者が法律行為を行うことをいいます。日常生活自立支援事業では、この代理の援助は限定して行うこととしています。

 

この事業で想定している代理権の範囲は、在宅福祉サービスの利用手続き、本人が指定した金融機関口座の払戻しに限られています。代理の援助を利用する場合には、代理権の範囲は契約により定められることになります。

 

金銭管理については、ガス·電気·水道などのライフラインや住居の確保など、本人の生活基盤を支えるための重要なものであり、金銭管理ができなくなると、生活が成り立たなくなってしまいます。認知症高齢者や障害のある人など、判断能力の不十分な人が在宅生活を継続するためには、金銭管理は重要な要素です。

 

日常生活自立支援事業は、判断能力が不十分な人の金銭管理の支援を行うことで、本人の生活の安定を実現し、自立を支援することも目的としています。

 

ここまで、日常生活自立支援事業についてお伝えしてきました。

この事業は、みなさんの地域にある社会福祉協議会が実施しています。気になった方は最寄りの社会福祉協議会へお問い合わせください。

弊所でもご相談をお受けしています。

生活の中で不安に思うことなど、ちょっとしたことでも大丈夫です。お気軽にご相談ください。

 

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成年後見制度と日常生活自立支援事業

こんにちは。

行政書士・社会福祉士よしかわ事務所の吉川昇平です。

 

最近は朝と晩の冷え込みが厳しくなってきましたね。

気がつけば、もう11月。我が家では寝具の入れ替え、衣替えなど冬支度を始めました。

 

今年も残り2か月です。

寒さに負けず、2018年のラストスパート、頑張りたいと思います。

 

さて、今回は、社会福祉法に基づく「日常生活自立支援事業」についてお伝えしたいと思います。

 

日常生活自立支援事業とは

判断能力が十分でない人に対して、福祉サービスの利用に関する手続きの援助を行ったり、地域において自立した生活が送れるように支援することを目的として導入されました。

 

判断能力が十分でない人を支える事業というと、成年後見制度が思い浮かびますよね。

「日常生活自立支援事業」と「成年後見制度」

この2つの制度はよく似ていますが明確な違いもあります。

 

では、順番に説明していきましょう。

 

日常生活自立支援事業がつくられた背景

まず、日常生活自立支援事業がつくられた背景からみていきます。

介護保険法の施行によって、利用者みずからがサービスを選択し、サービス提供者と契約を結び、その契約に基づいて福祉サービスを利用するしくみが基本となりました。

 

しかし、福祉サービスを利用する人の中には、判断能力が必ずしも十分でない人も少なくありません。そうした人々にとって、自分で福祉サービスを選択し、契約を結ぶという行為は容易ではありません。

 

そのため、一連の流れを援助するしくみが必要となったのです。そのしくみとして、日常生活自立支援事業が誕生しました。判断能力が低下した人が安心してサービスを選び、契約を結ぶことができるように支援する成年後見制度も目的としては共通しています。

 

実施主体は社会福祉協議会

日常生活自立支援事業を実施する主体は、都道府県·指定都市社会福祉協議会です。

厚生労働省は、日常生活自立支援事業を創設した際に、全国のあらゆる地域で実施できるようにするため、全国的なネットワークをもつ公益的な団体であり、すでに各地で先駆的な取組みを行っている社会福祉協議会を中心とした事業としました。

 

都道府県·指定都市の社会福祉協議会が事業を実施するにあたっては、市区町村社会福祉協議会等に委託することができます。また、利用者の利便性を考慮して、事業の一部については、地域のNPO法人や当事者団体にも委託することができるようにもなっています。ほとんどの場合は社会福祉協議会ですね。

 

成年後見制度と比べてみると、法定後見では、家庭裁判所に申立てますし、任意後見では公証役場で公証人に任意後見契約書を作ってもらいます。日常生活自立支援事業は社会福祉協議会が中心になっているところが大きな特徴です。

 

日常生活自立支援事業で受けられるサービス

では、日常生活自立支援事業ではどのようなことを行っているのでしょうか。

認知症高齢者など、判断能力の不十分な人が地域において自立した生活を送ることができるよう、以下のサービスを中心とした援助を行っています。

 

  • 福祉サービスの利用援助

福祉サービスの利用援助では、福祉サービスの利用または利用中止のために必要な手続き·福祉サービスの利用料を支払う手続き、福祉サービスについての苦情解決制度の利用手続きに関する援助を行います。

また、住宅改造、住居の賃借、日常生活上の消費契約や住民票の届出などの行政手続に関する援助なども行います。

 

  • 日常生活における金銭管理

日常生活における金銭管理では、年金や福祉手当を受けるために必要な手続き、医療費の支払いに関する手続き、税金や社会保険料、公共料金を支払う手続き、日用品等の代金を支払う手続きに関する援助を行います。

また、これらの支払いに伴う預貯金の払戻し、預貯金の解約、預貯金の手続きに関しても援助を行います。

 

  • 書類預かりサービス

書類預かりサービスでは、利用者の書類等を預かります。

預かることのできる書類としては、年金証書、預貯金の通帳、契約書類·保険証書、実印、銀行印などがあります。

実施主体である社会福祉協議会の判断により、預貯金通帳等の書類預かりサービスを、福祉サービスの利用援助とあわせて実施することができます。

 

利用者は、居住している地域の社会福祉協議会と契約して利用する

日常生活自立支援事業を利用する場合、社会福祉協議会との契約になります。この点も成年後見制度と違う点です。

具体的な流れは次回のコラムでお伝えしますね。

 

対象者は判断能力の不十分な人

では、この事業は、どのような人が対象になるのでしょうか。

それは認知症高齢者、知的障害者、精神障害者など、判断能力が日常生活を送るうえで必要な福祉サービスの利用に関して、自分の判断で適切に決定することが困難な人です。同時に、この事業の契約内容について判断し決定できる能力を有していると認められることが必要です。

 

つまり、「判断能力が不十分である」、「日常生活自立支援事業の契約内容について判断できる」といういずれの要件にも当てはまる人が対象になります。

なんだか矛盾しているようにも思えますね。

 

もう少し具体的に言うと、認知症などで判断能力が多少衰えたけど、日常的な生活を支援してもらえれば、まだまだ住み慣れた地域で自立した生活が送れる場合は、日常生活自立支援事業の利用が考えられます。

 

なお、認知症の診断、療育手帳や精神保険福祉手帳などの所持が利用の要件になることはありません。

 

一人暮らしなどで少し不安があるという人も利用できますし、もし、判断能力がもっと低下してしまったら成年後見制度につなげます。また成年後見制度と併用するケースもあります。

 

日常生活自立支援事業を利用するためのしくみ

改めて日常生活自立支援事業を利用するためのしくみを確認すると、サービスは本人と社会福祉協議会が利用契約を結んで行うことになります。

 

そして、実際にどんな人が支援してくれるかというと、福祉サービスの利用援助や金銭管理などの具体的な援助は、社会福祉協議会に雇用される「専門員」と「生活支援員」が行います。

 

専門員は、初期相談から、本人に必要な援助の決定(支援計画の策定)、この事業に必要な契約締結能力の確認、契約締結に関する業務を行います。

 

生活支援員は、支援計画に基づき、定期的もしくは本人から依頼があったときに援助を行います。

専門員および生活支援員は、当然ながら常に本人の自己決定を尊重する権利擁護の視点に立って援助を行っています。

 

以上が日常生活自立支援事業の概要です。

成年後見制度を利用するほどではないけれど、何か不安があって支援が必要ではないかと考えられる人は地域の社会福祉協議会にご相談ください。

 

弊所でも日常生活自立支援事業や成年後見制度のご相談をお受けしています。

お気軽にご相談ください。お待ちしています。

 

次回は日常生活自立支援事業を利用するための手続きや実際の支援の流れをお伝えしたいと思います。

 

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